ヤングスキニー、歌の中でしか言えない“本当”のこと ドラマー・しおんラストライブ、結成6周年の足跡

人がロックバンドに求めるものは、高い音楽性だったり心に染みるメッセージだったりと、さまざまだと思う。ヤングスキニーのフロントマン・かやゆー(Vo/Gt)は、初のベストアルバムのタイトル同様、常々「歌の中でしか、本当のことは言えないから」と発言している。それはライブも同じなのだろう。
バンド結成6周年を迎えた2026年8月15日。恒例の周年企画ライブ『ヤンスキ大宴会』はしおん(Dr)のラストライブでもあった。それに先駆けてというか、まさにかやゆーの主義が100%の純度で詰まった、しおんへの嘘偽りのない手紙のような新曲「あいつバンド辞めるんだってさ」がリリースされたばかりだ。どうしたって今回の『ヤンスキ大宴会』はしおんのラストライブであることは意識から離れなかったが、当該曲も含め、エンタメ性が前面に出るライブの場でも、ヤングスキニーというバンドがしおんの脱退を過剰にも矮小にもせず事実として受け止めていることが、このバンドに対する信頼も裏づけていた。
嘘のない歌が紡ぐ原点
この日の国際展示場駅周辺は『コミックマーケット108』とヤングスキニーのライブに向かう人が混在し、若者にとっての夏休みの光景を出現させていたのも面白かったのだが、いざSGC HALL ARIAKEに到着すると、開演ギリギリまで通路でセルフィーを撮るファンの多さにこのバンドのカラーを垣間見る。
場内の暗転とともにバンドロゴが投影され、ギターの逆再生と環境音のSEに乗りしおん、りょうと(Ba)、ゴンザレス(Gt)、少し遅れてかやゆーが登場すると、イントロに悲鳴に近い歓声が上がり「愛鍵」からのスタート。ステージ上のメンバーがバックスクリーンに投影され、特にかやゆーの正面からのショットが強い。だが、絵面は強いのに曲が醸す孤独感とかやゆーのアップが、現場の熱とは裏腹に不思議と非現実感を生み出す。そのまま「ヒモと愛」、一転、危ういムードの真っ赤なライトとレーザーが突き刺す「8月の夜」と続く。歌が直接心臓を刺してくる痛みで、ものの10分足らずでホールは彼らの世界に染まっていた。


周年ライブを大きなホールでできることに感謝しつつ、ゴンザレスのハーフパンツの短さにツッコミも入れる力みのなさもいかにも彼ららしい。「では、ヤンスキならではの関白宣言」という曲振りから「関白宣言」へ。現世代のジャズ以降のセンスが活きるりょうと(Ba)のよく動くベースに感嘆していると、「ゴミ人間、俺」で歌詞を一部「分かった上で6年間追いかけてるんでしょ」とアレンジすると、ファストな「愛の乾燥機」に繋ぐ。恋愛でも、好きなバンドを応援することでも、100%の熱量なんてものほど疑わしいものはないのかもしれない。思わず自分を顧みることになるかやゆーの歌が、むしろ緊張をほぐす。
しおんが、このホールは武道館をコンパクトにしたようだと話し、「好きに楽しんで。しんどくなったら座ってもいいんで」と笑顔で告げ、かやゆーは「今日は俺らがバンドを続けてこられた祝いの日だから、盛り上がってもらえますか?」と話すと、知名度上昇のきっかけとなった「本当はね、」を展開。かやゆーが「ちょうど6年前ぐらいに書いた曲を」と告げ、「バンドマンの元彼氏」へ。物語のディティールが違っても、もうこんな恋愛はできないかもねと思わせるこの力は一体なんなのだろう。ファンが自分自身の思い出と向き合うための最強の装置を、ヤングスキニーは作り出せるのだ。

初期ナンバー「ロードスタームービー」や「別れ話」でファンを引き込み、生きていく場所や人間関係の変化を歌いつつ、その中で「変わるのも変わらないのもあなた自身だし、僕自身でもある」と話し、かやゆーのシンガーソングライター的な資質が光る「東京」へ。原点を見据える曲群に続いて、洒脱なオルタナR&B調の「ベランダ feat. 戦慄かなの」をこの日はひとりで歌う。かやゆーは途中フロアに降りて、まるでディナーショーのごとく自然に振る舞っていた。続くアカペラ始まりの「コインランドリー」は、オリジナルよりもオフビートなドラミングにしおんの幅広いスキルとセンスを実感。彼のネオソウル寄りのプレイを、今後どこかで聴くことはできるのだろうかーーそんなことも頭を掠める。そして「三茶物語」ではメンバー全員にサビを歌うように指示。さらには客席から歌いたい猛者をステージに上げたところ、バンドマン男子だったという偶然も。その後もシンガロングはどんどん大きくなり、かやゆーの個人的な経験が往年の歌謡曲レベルの普遍性を湛えていたのはなんとも頼もしい。























