ふみの「“今の私”を見てほしい」 『ノノガ』を経て激動のソロデビュー、葛藤の中で見つけた未来への強い意志
何気ない日常の景色や、言葉にならない感情をすくい上げるような歌で支持を集めるシンガーソングライター・ふみの。現在も路上ライブを続けながら、音楽番組『ミュージックステーション』やフェス『JOIN ALIVE 2026』への初出演を果たし、その歌声は着実に多くのリスナーへと届いている。そんなふみのが、ドラマ『Tokyo Middle 30』(フジテレビ系)の主題歌「東京」をリリース。さらに、ニューアルバムのリリースとツアーの開催も控える中、楽曲に込めた思いや制作の背景、変わらず路上に立ち続ける理由、そしてこれから見据える景色について話してもらった。(編集部)
路上ライブツアー、『Mステ』出演、ドラマタイアップ……デビューから激動の半年間
ーーデビューから半年が経った現在の心境から聞かせてください。
ふみの:もう半年経ったとは思えないくらい早いです! この半年間でたくさんの活動をさせていただいて、すごくありがたいことだなと思いますし、恵まれた環境にいることを日々実感しています。
ーー特に印象に残ってることはありますか?
ふみの:5月に初めて『Mステ』(テレビ朝日系『ミュージックステーション』)に出演して、『ずっとこんなステージに立ち続けたいな』と思いました。当時、同じステージに他のアーティストさんがいることが初めての経験だったんですよ。素晴らしいアーティストの方々と同じステージに立って、その前で歌わせていただくっていうのがすごく印象深い出来事でした。
デビューした時に感じたことですが、夢を叶えたとしても、ただ時間を過ごしているだけだと得られるものも得られないというか、自分なりに何かを得ようと意識することが大事だと思っていて。そういう意味では、『Mステ』で得たものとして具体的に言うと、素晴らしいアーティストの皆さんと、同じステージに立てる環境にいられたことです。出演者の中でソロアーティストは私だけだったんですが、だからといって萎縮するのではなく、「同じアーティストとして堂々とステージに立たなければ」と強く意識するようになりました。そうした意識を持って臨めたことは、私にとって本当に貴重な経験で、大きな成長につながったと感じています。
ーーソロのシンガーソングライターとして音楽活動をしていることに関してはどう感じてます?
ふみの:歌ってる、表現してる、伝えてるって感覚は、一人だとより一層強くなるというか。最初から最後まで自分一人で表現するので、私の音楽をしてるなって思いますね。様々な場所に行ったり、いろんな人と出会って、関わっていくなかで、私は本当に自由にやらせていただいてると感じることが多くて……すごく恵まれてるなと思います。ちょうど5月くらいから、時間が過ぎるのがより早く感じるようになったんですよね。
ーー5月8日にドラマ『未解決の女 警視庁文書捜査官 season3』の主題歌として書き下ろした3rdシングル「よくあるはなし」をリリースして、6月からは『全国路上ライブツアー~はじまりとはじめまして~』がスタートしました。
ふみの:今も路上ライブツアーの真っ最中なんですけど、すごく楽しいです。場所によって雰囲気がガラッと変わるのがいいなと思ってて。各地お客さんの雰囲気も、音楽の乗り方も全然違うのが印象的でしたし、本当にたくさんの人に集まっていただいて、すごくありがたいなと思います。想像してたのとは全然違った路上ライブになってます。
ーーデビューから半年経った今、弾き語りで全国を回っているのは、ご自身にとってどんな経験になってますか。
ふみの:いろんな人に私を知ってほしいっていうのと、今だから届けられる私の音楽を聴いてほしいっていう気持ちが強いですね。歌っている時に立ち止まってくれる方がいるのが見えたり、私について調べてくれていたりっていうのを目にすると、本当に今のタイミングで路上ライブができて良かったと思うんです。私の中で、路上ライブは音楽そのものが軸になっている場所という感覚があって。私の路上ライブツアーも、今の私だからこそ聴かせられる音が各地で響いているはずなので、その場その場で音楽そのものを聴いてもらえているのはすごく嬉しいですね。
ーー7月19日には『JOIN ALIVE』にも出演しましたね。
ふみの:野外フェスでライブをすることが初めてだったんですよ。実は少し緊張していたんですが、路上ライブをやっていてよかったと思いましたね(笑)。外の声の響きとか、路上ライブで積んできた経験が出せた感じがあって。路上ライブでは観ている方も撮影しながら聴いてくださることが多いんですけど、『JOIN ALIVE』では手を挙げてくださったり、拍手してくれたり、みんなでひとつの音楽を楽しめている感覚がよりありました。ライブはそれぞれ、違った良さがありますよね。
あと、ステージ裏であいみょんさんにご挨拶できました! 小学2年か3年の時にギターを始めたんですけど、当時、あいみょんさんをずっと聴いていたので、本当に嬉しかったですし、すごく優しかったです。「小学生の時からずっと聴いてます」とお伝えしたら、「シンガーソングライター同士、頑張ろうね」って言ってくださって。私のことを“シンガーソングライター”として認識してくれていたことがすごく嬉しかったです。
ーーそして、7月23日にドラマ『Tokyo middle 30』の主題歌として書き下ろした新曲「東京」がリリースされました。
ふみの:書き下ろすにあたって、最初に楽曲の方向性についてお話をいただいていたのですが、今の自分とすごく重なる要素があって、逆に書くのが難しかったです。
ーードラマ側からはどんなリクエストがあったんですか。
ふみの:30代女性が主人公のドラマの主題歌を、なぜ私に依頼してくださったのかを伺って。過去に想像していた“未来の自分”と“現在の自分”の姿に葛藤しながらも、「自分らしい人生とは何か」を模索していくドラマなんですが、夢に向かって頑張る時期を過ごしている今の私と合致すると言っていただいたんです。私も夢と現実のギャップみたいな部分に共感するものがありましたし、最初にもお話しした通り、最近感じている「時間が早く流れる」という感覚も近いなと。一番を書き終わってから、アレンジするタイミングで台本を読ませていただいたんですけど、その時に主人公たちのセリフと、私が思ってたことが当てはまって。もうちょっといい表現があるかもしれないと思って、何度も何度も歌詞を書き直しました。
ーー今の自分と似てるっていうのはどんな部分ですか。
ふみの:音楽活動や生活をする中で選択のタイミングがどんどん増えてくると、いつの間にか選択した未来がすぐそこに来ていて、そしてあっという間に過去になっていく。選択の連続の中で、今決めるべきことを逃してしまうこともあったりして、描く未来に対して抱いている葛藤みたいな部分は物語の主人公たちが体験していることにも重なるなと思いました。
ーー選択ってことでいうと、2ndシングル「ホットライン」でも〈答えのある2択〉というフレーズがあったり、「よくあるはなし」でも〈選ばれたあなた/選んだ僕〉という歌詞があります。
ふみの:そうですね。高校を卒業して大学や専門に行くのか。オーディションに参加するのか、しないのか。オーディションが終わった後に、「ふみのはグループがいいの? それともソロがいいの?」とちゃんみなさんに聞かれたり、デビュー曲をちゃんみなさんが作ってくれた曲にするのか、自分で作詞作曲した曲にするのかーー。ずっと選択の連続だったんですよ。
ーー10代の最後に人生における大きな選択を次々と迫られてますね。
ふみの:だから、そういう言葉が歌詞に入ってるのかもしれない。でも、私に限らず、みなさんも日々選択の連続だと思うんですね。今日、何を食べるかとか、どの服を着るとか。そういうのも含めて、私は選択に迷うタイプなんです。音楽以外のどっちにしてもいいような選択は、今もまだまだ決められないんですけど!
ーーでは、デビューから半年経って、シンガーソングライターになるという夢を叶えた今、夢と現実のギャップは何か感じてますか。
ふみの:今はとにかくひたすらにやりたいこと・やるべきことに向き合っているので、夢と現実と大きく言ってしまうとないかもしれないんですけど、描く未来に向かって歩んでいるなかで直面する細かな決断とか、そういう部分はいっぱいあります。