Vaundy、Official髭男dism、Fujii Kaze、Mrs. GREEN APPLE……熱気を高めて背中を押す、“野球”を彩った楽曲たち
『第108回全国高等学校野球選手権大会』が8月5日より開幕し、球児たちの熱い戦いに注目が集まる。そんな今年の甲子園を彩る楽曲が、Vaundyによる「かげろう」だ。
同大会の応援ソングおよび『熱闘甲子園』(ABCテレビ/テレビ朝日系)のテーマソングとして書き下ろされた「かげろう」は、Vaundy初のロックンロールソングでもある。ドラム、ギター、ベースがじわじわと高揚感をかき立てるイントロに始まり、熱量をまとったバンドサウンドとシャウト気味のボーカルが聴き手の胸を揺さぶる。〈この涙誰のために流せばいい〉〈この涙何のために流せばいい〉という自問自答にも似たフレーズは、喜びにも悔しさにも涙を流す高校野球の光景と重なるようで、大会に懸ける球児たちの青春をも想起させる。Vaundyが「“熱”と“闘い”を込めた」(※1)と語るように、グラウンドに立つ者たちの覚悟を真正面から描いた楽曲と言えるだろう。
過去にも数々の名曲が生まれてきた『熱闘甲子園』のテーマソングだが、2019年に発表されたOfficial髭男dismの「宿命」もそのひとつだ。イントロから鳴り響く明るいブラスサウンドは、アルプススタンドに響く吹奏楽の音色を思わせる。大会は勝負である以上、歓喜に沸く者がいる一方で、涙を飲んでグラウンドを去る者もいる。だからこそ、〈夢じゃない 夢じゃない 涙の足跡〉や〈奇跡じゃなくていい 美しくなくていい〉といった歌詞は、結果だけではなく、彼らが積み重ねてきた努力の日々をまっすぐに肯定してくれる言葉だ。不安やプレッシャーに負けそうになりながらも、〈宿命ってやつを燃やして 暴れ出すだけなんだ〉と前へ進もうとする姿を描いた本曲は、甲子園を目指すすべての球児の背中を力強く押している。
“野球”を彩る楽曲は、甲子園だけにとどまらない。たとえば、Fujii Kaze(藤井 風)の「My Place」は、高校野球とは異なるスケールで野球に寄り添った一曲だ。『ワールド・ベースボール・クラシック』(WBC)史上初となる公式サウンドトラック『2026 World Baseball Classic』に収録された本曲は、ラテンテイストのリズムと鼓動を速めるようなビート、英語と日本語を行き来する歌詞によって、世界各国の文化が交わる『WBC』ならではの空気感が表現されている。どんな舞台でも自らの場所に変えていく力強い意志が込められているようで、〈You'll be the only shining star〉(あなたが輝く星になるんだ)という言葉からは、ピッチで戦う選手だけでなく、それぞれの夢に挑む人々へのエールも感じられる。
Mrs. GREEN APPLEの「ライラック」は、高校野球を舞台にしたTVアニメ『忘却バッテリー』(テレビ東京系)のオープニングテーマとして書き下ろされた。曲中にも〈主人公の候補/くらいに自分を思っていたのに〉というフレーズがあるが、『忘却バッテリー』もまた、才能に恵まれた者やその才能に心を折られた者など、それぞれが抱える葛藤と再挑戦の物語が描かれている。楽曲は夏らしい疾走感にあふれており、後半の転調を経て、開放的なラストブロックへと向かっていく。傷みを受け止めて前を向く姿を思わせるようなドラマチックな展開で、アニメのタイアップや野球という枠を越えて、多くの人の心に響く応援歌となっている。
多くの人の背中を押してきた、“野球”をテーマにした楽曲。今年の夏も、甲子園で繰り広げられる数々のドラマに寄り添い、その熱気をさらに高めてくれるだろう。
※1:https://realsound.jp/2026/06/post-2420091.html