なぜ“今こそ”爆風スランプなのか? 「すごく事件性があると思います」――35年ぶり日本武道館帰還までの道のり

爆風スランプ、“事件性”に溢れた現在地

 バンドの最初期にライブでやっていた未音源化の曲「ええじゃないか」を、ゲストに小島よしおが加わってレコーディングしたバージョンと、加わっていないバージョン。そして、「大きな玉ねぎの下で」「Brave Love, TIGA」「東の島にブタがいたVol.3」「東京ラテン系セニョリータ」の4曲を再レコーディングした2026年バージョン。以上の6曲を収めたミニアルバム『今こそ! 爆風スランプ』を7月22日にリリースする爆風スランプは、8月11日には、日本武道館でワンマンライブを行う。

 デビュー40周年の2年前=2024年の26年ぶりの正式な再集結の時、新曲「IKIGAI」の発表と、新録&リマスタリングのベストアルバムのリリースと、4本のツアーに狂喜したが、「あ、でも、日本武道館はないのか」と思ったファンは、多かったのではないか。自分もそうだったので。それだけに、今回の日本武道館は、本当にうれしい。『今こそ! 爆風スランプ』のこと、日本武道館のことを、4人に聞いた。(兵庫慎司)

不思議な体験、得た自信、凍結と解凍……再集結の実感

――ファンみんな期待していたと思うんです、爆風スランプと言えば日本武道館なので。

サンプラザ中野くん(以下、中野くん):僕は、再集結が決まった時から、武道館をやりたいとは思っていたんですけど、2024年のツアーがそれなりの成功裏に終わらないと、スタッフも含めて誰も「やろう」と言わないとも思って。だから、あのツアーをやってみて、「これなら次のステップに行ける」「武道館をやろう」という感じでした。ちゃんと段階を踏んだというか。

――あのツアーの手応えを、それぞれ教えていただけますか。

ファンキー末吉(以下、末吉):久しぶりだったけど、なんか普段の感じだったなあ。バンドが続いていて、そのまま凍結されて、解凍されたという。全然ブランクを感じずにやれました。

バーベQ和佐田(以下、和佐田):僕も、もっと戸惑うかなって思ってたんですけど……しばらくやっていないバンドって、メンバーがフロントに並ぶとすごく距離があるように感じるものなんですけど、それがなくて。「不思議な体験だな」と思いましたね。ブランクを感じなかった。

パッパラー河合(以下、河合):90年代にもライブを観ていたスタッフが「あの頃とまったく同じでしたよ」って言ってくれたので、「よし!」と思って自信を得ました。だから、同じことを武道館でも言ってもらえたらな、と。

中野くん:やっぱり自転車みたいなもんで、「久々に乗ったけど、なんとか乗れるね」って。で、ちょっと慣れてきたらスピード出るみたいな感じでしたね。

――早速新曲についてですが、「ええじゃないか」を小島よしおさんとやろうというアイデアはどこから?

中野くん:今の爆風スランプでタイアップもなく普通に新曲を作っても、なかなか世のなかに広まるもんじゃないだろうな、とにかく事件性のある曲を出したいな、と思いまして。それで私が知恵を絞って、小島よしおくんがいるじゃないか、と(笑)。小島よしおくん、日本のフレディ・マーキュリーと言われるぐらい今子どもたちに大人気じゃないですか。営業をやりまくっていて、「そんなの関係ねえ」を何千人もの子どもたちがコールアンドレスポンスしている。その動画を観て、「すごいぞ、小島よしお!」と。

――彼がいたWAGEが、爆風と同じアミューズだったんですよね。

中野くん:そうです。お笑い5人組で早稲田大学で活動していて、アミューズに入ってきまして。僕も大学が早稲田だったので、何度もライブを観に行ったりしていたんですね。その後、解散に至って、アミューズをやめて2年後ぐらいかな? 小島くんがブレイクして。小島くんが子どもに人気があるってことは、その親の世代がいるわけですよ。子どもが集まるイベントというのは、親が連れて行くわけだから。戦隊ものとか、仮面ライダーとかと一緒で。

――(笑)。そうですね。

中野くん:子どもはもちろん観るけども、お母さんが「この主役の子、かわいいわね」って、2世代にわたって影響があるわけですよね。そういうのを考えると、小島くんのファンの親御さんの世代にも響くかな、と。

河合:爆風スランプが休止して30年近く経っているので。20代の若い人たちに、「爆風スランプ知ってる?」って聞くと――。

末吉:あんまり知らないんだよね。生まれてから今まで、爆風スランプが活動していなかったから。

河合:10年前だったら20代も知ってたんだけど、最近は本当に……自分では有名なバンドだと思ってたから、すごくショックでもあって。爆風スランプは知らなくても、サンプラザ中野くんは知ってるだろうな、と思ったら、それも「聞いたことないです」とか言うから、またショックで。

末吉:でも、「Runner」は知ってるんだよね。

河合:そうなの。曲は知ってるんだよね。だから、そこが結び付いてないっていう。

1982年、爆風スランプ結成超初期の幻の曲「ええじゃないか」

サンプラザ中野くん(Vo)
サンプラザ中野くん(Vo)

――で、小島さんに参加してもらう曲を、音源化されていない超初期の「ええじゃないか」にしようと言い出したのは?

中野くん:私です。「ええじゃないか」というのは、そもそも幕末にええじゃないか運動が盛り上がって。これが明治政府樹立とともに、消えたんですよね。僕自身、去年、一昨年ぐらいの予想として、これから政治が荒れる時がくるぞと思っていたから、そこにぶつけてみようと思ったんです。爆風が話題性というか、衝撃を与えられるとしたらこれだなと思ったりもして。

河合:この曲は、もともと末吉が爆風スランプ結成時に1曲目に持ってきた、1982年の曲なんだよね。

末吉:コードがEとGで「ええじゃないか ええじゃないか」って言うだけのデモをスタジオに持って行って、みんなで作り上げた曲です。

中野 セッションのなかで、歌詞とかメロディとか構成とかをうにゃうにゃやりながらなんとか作って。その1週間後のライブで、初めてお披露目した。

末吉:それが初期の代表曲になって。むちゃくちゃ盛り上がってた。

爆風スランプ 「よしおと爆風の、ええじゃないか盆踊り~武道館で編」Official Music Video

――僕はこの曲を知らなかったんですが、いつ頃までライブでやっていたんですか?

河合:1984年にデビューして……デビューしてからは、やってないような気がするな。

末吉:そのあと「ほら、アホになる」っていう曲ができて、それに入れ替わったの。方向性が似ている曲なのもあって。

――ああ、その曲は覚えています。〈私のIQ高すぎる 高すぎるったら高すぎる〉っていう。

中野くん:そうそうそう。その歌詞、今の今まで忘れてた(笑)。

和佐田:(笑)。

――その「ほら、アホになる」や「ええじゃないか」みたいな、未音源化の初期の曲って、まだまだあるんですか?

中野くん:ありますね。発掘しますよ、ええ。

河合:僕、好きな曲があるんだけど、中野がすごいイヤがるんです。

中野くん:タイトルを言うのもイヤな「愉快な坊さん」(笑)。

末吉:ああ、あったねえ。僕は大好きなんだけど、中野は嫌いだったんだよね。

中野くん:途中にすごくプレッシャーのかかる部分があるんですよ、おもしろいことを言わなきゃいけないっていう。「喝! 修行が足りない!」って始まって――。

末吉:説教する。その日その日のお客を説教して。

河合:で、“坊さん”だから、最終的に悟らなきゃいけないんですよ。

末吉:最後に「悟ったー!」って言って終わるんだけど、キツいよね、毎回ネタを繰らなきゃなんないから。武道館ではやんないの?

中野くん:はははは!

河合:和佐田さん、知らないでしょ?

和佐田:うん、今初めて聞いた(笑)。

河合:その曲もデビュー前にやらなくなったから。

末吉:ツラかったんだと思う。

中野くん:ツラかったです(笑)。でも、復活候補曲に入れときます。

サンプラザ中野くん(Vo)

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