リアルピース ソロインタビュー Vol.4:なお「大好きだったものが全部大嫌いに変わった」 急旋回の人生と音楽の才能

直感で「この人と一緒にやりたい!」と思ってオーディションを受けた

――暗い時期があったんですね。

なお:はい。毎日夜10時まで練習して、2時間かけて家に帰り、朝5時に起きて、また2時間かけて大学に行くという生活も厳しかったし、先生と顔を合わせるのもツラくて。音大なんて進まなければよかったと思うレベルだったんですけど、そこで大学をやめるのか、このまま続けるのかを考えて……トランペット専攻から音楽教育専攻に転コースするという手段を取りました。本当は声楽科に行きたかったんですけどね。トランペット専攻の時に副科で声楽の授業を受けていたんですけど、学年でトップだったんです。声楽の試験って、歌ったあとにチーンと鳴らされて終わることが多いんですけど、僕の時だけ教授がスタンディングオベーションしてくれたくらい(笑)。

――民謡の経験が活きたんでしょうか。

なお:民謡とリンクするところはあったのかもしれないです。声楽だったらもっとうまくいきそうだなと思って、声楽科に行こうかとも思ったんですけど。その時2年生だったので、3年から声楽科にいったら単位を取るためには1年半くらい留年しないと卒業できなかったんですよね。だったら声楽は副科で続けようと思って、音楽教育専攻を選びました。そんななかで、声楽の延長としてミュージカルに興味を持ち始めるんです。ミュージカルは、ポップスと違ってクラシック寄りの発声じゃないですか。

――たしかに。

なお:ディズニーやミュージカルの曲も好きだったので、ミュージカルの世界を目指そうと思って。大学に行きつつ、芸能事務所に入って、いろいろな舞台のオーディションを受けたんですけど……最終オーディションまでは進むのに、全部そこで落とされちゃうんですよ。あまりにも落ち続けるから「どうしようかな?」と思いながら、事務所が俳優の道を推してくれたので、ドラマに出させてもらったりしていました。でも、やっぱり演じるより音楽が好きだから音楽をやりたいなあと思っていたところに、リアルピースのオーディションの話がきたんです。

――そこでリアルピースにつながるわけですね。「音楽活動をしたい」という気持ちで加入したんですか。

なお:リアルピースは自分たちで音楽を作るし、歌って踊るアイドル的な活動もすると言われて、そこがいちばん惹かれたところでした。YouTuberというのにもちょっとした憧れはありましたけど、(惹かれ度合は)YouTuber 40%、歌手活動 60%くらいだったと思います。

――メンバーと初めて会った時はどういう印象でしたか?

なお:最初のオーディションの時は、まだかずぅがひとりで始めたばかりで、動画を1本か2本出しているくらいだったんですよ。でも、その時点で「この人、面白いな」という印象がありました。だから、最初のきっかけとしてはまったく音楽は関係なかったです。直感で「この人と一緒にやりたい!」と思ってオーディションを受けたんですよね。そこから話を聞いていったら、音楽もやると言うし、「絶対に入りたい!」という気持ちになって。最後のオーディションで、かずぅ、こーた、かちょーにめちゃくちゃ熱い思いを伝えて、合格できました。

――また新しいことを始めるような感覚だったんでしょうか。

なお:完全にゼロからのスタートでした。音楽ジャンルもポップスで、知識はゼロでしたけど、逆に楽しみでしたね。「また新しい音楽を学べるんだ!」って。日本の伝統芸能から始まって、クラシックを学んでからのポップスという。

――最後にポップスがくるのが面白いですね。実際、リアルピースの音楽を歌ったり踊ったりしてみていかがでしたか。

なお:新鮮でしたね。K-POPとかは好きで聴いていたので、そういうイメージかと思ったら、そういうわけでもないじゃないですか。すごくキャッチーでインパクトがある、ノリノリの曲が多くて。振り付けも印象的で、想像と全然違って楽しかったです。「このメンバーならたしかにこれが合うよな」と納得できたし、毎日新鮮でガムシャラにやっていました。楽しい日々でしたね。

“人生にとってかけがえのない存在”に捧げる目標

――引っ込み思案から俺様期、一転して凹んだ時期を経て、リアルピースに入った時はどういうモードだったんですか。

なお:自分のことが大嫌いなモードは、まだ引きずってました。音楽に対しては、「触れたくない」というところから、大学在学中に「やっぱり好きだ」という気持ちに戻れたんですよ。でも、トラウマは根強くて、自分嫌いの部分は直らなかった。自信を失ったことで、高校時代に偉そうにしていた自分のこともいろいろ思い返すんですよね。「あんなにいい気になってバカじゃないの?」「音楽はひとりでやるものじゃなく、みんなで作っていくものじゃん」って……。でも、そこで恩師の言葉を思い出したんです。「愛を持って接しろ」という言葉は、こういうことだったんだ、と。音楽だけじゃなく、人に対しても、モノに対しても、全部に愛を持って接することで音楽も人生も豊かになるんだと、そこでようやく気づけました。

――恩師の存在は偉大ですね。

なお:本当に。僕、今現在の性格はそんなに悪くないと思うんですけど(笑)、こうなれたのも先生の言葉があったからです。先生のおかげで優しくなれた。じゃなきゃ、今も俺様だっただろうし、リアルピースのオーディションにも受かっていなかったかもしれない。先生は、僕の人生にとってかけがえのない存在です。卒業後も何回か会いに行って「頑張ってるらしいな」「見ててくださいね!」というような話をしていたし、絶対にいつか先生に恩返ししたいと思っていたんですけど……リアルピースを始めてすぐくらいの頃に亡くなってしまったんです。でも、絶対に見守ってくれていると思うから、「日本一になる」というリアルピースの目標とは別に、「恩師に恩返しする」という自分の目標を決めました。世界中に自分の愛のこもった音楽を広めて、それによって恩師の先生に「やったよ!」と恩返しをするのが目標です。

――素敵ですね。今は、自分のことも好きになれてきましたか。

なお:うーん……ちょっと好きになってきたかな。ずっと嫌いな状態が続くなかで、リアルピースの活動を始めて。だんだん見てくれる人が増えて、褒めてくれたり、かっこいいと言ってくれたり、「こういうふうに接してくれるのが嬉しい」という声をもらううちに、少しずつ自信が戻ってきました。その自信のかたちは、昔のような「自分ってかっけえ!」みたいな自信とは違って、先生の言葉どおり愛を持った状態なんですよね。心にしっかりと強いものを持った状態でついた自信だから、全然感覚が違う。だから……今は結構好きです、自分のこと。

――リアルピースの活動が心のケアになった側面もあるんですね。

なお:そうです。だから、完璧な状態の渡邊尚介がリアルピースに入ったのではなく、未完成な状態の渡邊尚介がリアルピースに入って、“なお”になって、活動を通して成長していっているところだと思います。自信がついたり、いろいろな技術を磨いたり、見た目にも磨きをかけたりして、どんどん成長しているのを感じてもらえていたら嬉しいです。飾らない、ありのままの自分を見せて「かっこいい」と思ってもらえることが、本当の自信に繋がるんだと思う。どうしてもかっこつけちゃう時はありますけど(笑)、自分が持っている素直なところは隠さずに出していきたいと思っています。

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