元カレの言葉が変えた人生、アジアでの熱狂、“見せる自分”と“秘める自分”……茉ひるが語る挑戦の全貌

元カレの言葉から始まったシンガー人生、思わぬ爆発的ヒットへの歓喜
――茉ひるさんが音楽を始めた背景として、コロナ禍で趣味だった陸上ができなくなり、その頃に失恋をされたことも重なったそうですね。曲作りというのは、まずは何から始まったんですか。
茉ひる:いろいろなことが重なって「自分は何がしたんだろう?」と人生の迷子になっていた時期に、元カレに「音楽やってみたら?」と言われたことがきっかけで曲を作ってみようと思ったのがきっかけで。はじめは当然、曲作りの仕方もわからなかったんですが、スマホのなかに振られた当時の感情を細かく書き留めていた膨大なメモがあったんです。最初は曲にするためではなく、ただ自分の感情を残しておきたくて書いていたものでした。そのメモのなかから歌詞を作り、トラックに乗せていくところから曲作りを始めました。
――だから、実体験をもとにしたラブソングが生まれていったんですね。
茉ひる:そうですね。狙って作ったものではなく、自分の人生をそのまま音楽にしているので、自分自身にとっても嘘がないというのが私の曲作りの根幹にあります。
――SNSで注目を集めるきっかけとなったのが、体育座りで歌っている動画だったそうですね。
茉ひる:その頃は音楽をやろうと志して、修行のつもりで毎日カラオケにこもって練習していたんですが、何時間も歌っていると疲れてきてしまって。座って歌おうと体育座りで歌い始めたのが、たまたま広がっただけなんです(笑)。実は、“修行”と称してカラオケに通い始めて3日目で最初のバズが起きたので、自分でも本当に驚きました。
――過去のMVにも茉ひるさんが車を運転するシーンがたびたび入っていますが、車好きの方からも人気を集めたのはどういう流れだったんですか。
茉ひる:私は三重県出身で、会社に行くのもどこへ行くのも車という車文化のなかで育ちました。なので、運転しながら歌うのは日常の風景だったんです。その姿を動画にして載せ始めたところ、海外の車好きの方々に見てもらう機会が爆発的に増えていって。そのご縁で車のイベントに呼んでいただいたり。これも、体育座りと同じで何かを狙ったわけではなく、自然なスタイルに注目してもらって広まっていった結果だと思っています。
――アジア圏で茉ひるさんの音楽が広がっていったことも、狙ったわけではなかった、と。
茉ひる:はい。活動を始めてから毎日SNSのフォロワーさんの属性やコメント、DMをチェックしていたので「香港の人が増えているな」ということは早い段階で気づけました。そこからもっと深く届けるために、歌詞を広東語や繁体字の字幕に変えて投稿するようにしたんです。
――そうやって工夫しながら、海外のファンの方と密に交流されているんですね。
茉ひる:以前、一度海外で私の音楽が広まりかけた時に、それに気づいてはいたものの日本語だけで発信し続けて、リスナーさんを減らしてしまった苦い経験があったんです。だからこそ「チャンスを逃したくない、ちゃんと寄り添いたい」という想いで動くようになりました。
――今回のEP『Cinema』は茉ひるさんのエアリーでパワフルな歌の素晴らしさや、メロディラインへのこだわりが詰まった一枚に仕上がっています。メジャー契約後、初となる記念すべき作品でもあるわけですが、どんな内容にしたいと考えていましたか。
茉ひる:最初から「こういう内容にしたいな」というイメージがあったわけではなく、まずは今の自分がやりたい曲、挑戦したい曲を一曲一曲作っていこうという気持ちでスタートしました。これまでは、どこか「枠にハマらなきゃ」という意識で作ってきた部分もあったのですが、今回はそれを残しつつも、新しい挑戦をすることで新しい自分や新しいリスナーの皆さんに出会いたいという想いが強かったんです。

――今作は海外アーティストとのコラボ曲も収録されており、1曲目の「ロストライン」では広東語と日本語が混ざり合う新鮮な仕上がりです。
茉ひる:Billy Choiさんは香港のアーティストさんなんですが、こうしてコラボさせていただけて、すごく新しい挑戦でした。日本語と広東語が曲のなかで交差することで、より切なさが倍増している感じがしますよね。Billyくんは日本語で歌うのは初めてだと言っていたのに、サビの日本語歌唱を短時間で完璧に仕上げてくれましたし、本当にお人柄も素敵な方でした。
――2曲目の「Florisia」はアジアツアーのテーマソングということですが、〈あなたを照らす光〉という力強い歌詞が印象的です。どのような想いを込めて制作されたのでしょうか。
茉ひる:この曲は、去年のアジアツアーを通して感じたことをもとに「愛を持って繋いでいきたい」という願いを込めて作りました。タイトルの通り「特別な花の香り」をコンセプトにしていて、歌詞にもその情景を盛り込んでいます。ライブでもこの曲を歌う時は、花の香りの演出をしているんですよ。
――ライブ会場で香りが体験できるんですか。
茉ひる:そうなんです! 初めての試みでしたがファンの皆さんが細かなこだわりを汲み取って喜んでくださったのが、SNSのコメントなどを通して伝わってきて本当に嬉しかったです。私にとってライブは、お客さんへの愛情を直接届ける大切な場所なので、その想いが「Florisia」という曲と演出で形になりました。
――そういえば、茉ひるさんの海外公演では現地のローカルフードをステージ上で食べるシーンもありますよね。臭豆腐も匂いがしたのでは(笑)。
茉ひる:はい、ライブのコーナーで現地の美味しいものを食べるのも定番化しつつあります。臭豆腐は本当に匂いが強くて、食べたあとに歌っていても匂いが残っているほどでした(笑)。台湾では豚の血を固めたものを食べたんですが、これが美味しいんですよ! ちょっと甘くて日本の和菓子みたいな感覚で食べられるので、ぜひ食べてみてほしいです。私のバンドメンバーはDJ以外、全員台湾人でもあるので、現地の感覚を取り入れながら、愛を持って繋がっていけるライブを追求しています。




















