MAZZEL KAIRYUの“人を惹き込む力”を深掘り 味わい深い歌唱表現とメンバーを輝かせるトークスキルのギャップ

 MAZZELのKAIRYUは、とにかく人を惹きつける人である。5月10日放送の『The Covers』(NHK BS)で、NAOYA、HAYATO、EIKIとともに披露した欧陽菲菲「ラヴ・イズ・オーヴァー」や、15日放送の『ハマダ歌謡祭★オオカミ少年』(TBS系)での歌唱に見入った人も多かったのではないだろうか。どこか切なさを帯びた歌声、大人っぽい空気感、そして聴き手の感情にそっと触れてくるような表現力。KAIRYUはこれまでもYouTubeなどでさまざまなカバー曲を披露してきたが、そのたびに情緒を感じさせる歌を届けてきた。一方で、YouTube企画「MAZZEL ROOM #まぜべや」(以下、「まぜべや」)を観ていると、軽快でキレのあるトーク力が際立つ。テンポよく場を回しながら、メンバーそれぞれの魅力を引き出していく姿が印象的だ。歌とトークは、一見するとまったく別のベクトルの才能に思える。しかしKAIRYUの場合、その両方に“人を惹き込む力”が共通しているのではないだろうか。

聞き手を楽曲の物語へ引き込む味わい深い歌唱表現

 まず、歌唱力について考えてみたい。彼の歌を語る上で外せないのは、柔らかいのに芯があり、温かさと切なさが同時に存在している声質だろう。『The Covers』で披露した「ラヴ・イズ・オーヴァー」では、その魅力が特に際立っていた。息遣いに感情が自然と乗っていたことも相まって、ただ音程をなぞるだけではない、大人の感情表現が成立していた。

 また、レイドバック気味な歌い方にも注目したい。R&Bにルーツを持つというKAIRYU。その影響もあってか、ほんの少し後ろに重心を置くような歌い方をしており、それが独特のグルーヴにつながっているのだ。たとえば、YouTube企画「MAZZEL COLOR #まぜいろ」でカバーしていた宇多田ヒカル「First Love」。同曲はシンプルな構成だからこそ歌い手の表現力が試される楽曲だが、KAIRYUは持ち前の声質と歌い方によって、楽曲に奥行きを生み出していた。特にAメロやサビの一部では、メロディに対して言葉をほんの少し後ろに置くように歌うことで、リズムを詰め込みすぎず、余白を生んでいる。そしてその余白は、リスナーが感情を受け取る時間へと変わっていく。だからこそ、KAIRYUの歌は“歌っている”というより、“語っている”ようにも聴こえる。

"VOCAL" KAIRYU | 宇多田ヒカル - First Love (Cover) [MAZZEL COLOR #まぜいろ]

 その魅力が特に表れていたのが、YouTubeチャンネル「Re:Re:Re:TUNE」でカバーした德永英明の「壊れかけのRadio」だろう。大人になるにつれて失ってしまったものを回顧する同曲を、KAIRYUは感情をぶつけるのではなく、静かに回想するように歌っていた。ノスタルジーを過剰に演出するのではなく、そっと差し出すような表現によって聴き手は自然と楽曲の物語へ引き込まれていくような感覚になるのだ。

壊れかけのRadio covered by KAIRYU(MAZZEL)

 そんなKAIRYUの歌の魅力はバラードだけに留まらない。MAZZELの楽曲ではアップテンポなナンバーも多く、また違った表情を見せている。カバー曲では情緒や余韻、空気感を重視している一方、MAZZELの楽曲、たとえば「Get Up And Dance」ではリズムやグルーヴ、遊び感や抜け感を前面に押し出している印象だ。発声も、カバー時は息の成分を多めに含んだミックスボイス寄りなのに対し、グループ楽曲ではチェストボイスを主に使い、ブレスのアタックもはっきりしている。また、『ハマダ歌謡祭★オオカミ少年』に出演した際にも、楽曲ごとに違った表情の歌唱を見せていた。もんた&ブラザーズの「ダンシング・オールナイト」ではファルセットを、キーが低めの尾崎紀世彦の「また逢う日まで」ではチェストボイスを使って歌い分け。共演者からも「上手いね」、「いい声」という歓声が上がっていた。つまりKAIRYUは、上手く歌うことを優先するのではなく、楽曲に合う温度を作ることに長けたボーカリストだと言えそうだ。さまざまな歌唱スキルを駆使しながら、楽曲の世界観をリスナーへ届けているKAIRYUだからこそ、多くの人が彼の歌声に惹きつけられるのだろう。

MAZZEL / Get Up And Dance -Music Video-

瞬発力の高いツッコミとメンバーの魅力を引き出すトークスキル

 その“人を惹き込む力”は、トークでも発揮されている。「まぜべや」を見ていると、KAIRYUのトークはツッコミが鋭く、テンポもよく、場を回すのが上手い。たとえば、5月16日に公開された「Ep.63 【厄介】あだ名を大声で叫ぶ限界バトル!ナンジャモンジャ2」。MAZZELメンバーの写真で行う「ナンジャモンジャ」の最終ターンで、EIKIがHAYATOの七五三の写真“リージュニア”のカードを引き当て、「こいつ狙ってたんすよ」と発言すると、KAIRYUはすかさず「どいつ狙ってんねん」、「こいつは狙わんやろ」と瞬時にツッコみ、場を盛り上げていた。

Ep.63 |【厄介】あだ名を大声で叫ぶ限界バトル!ナンジャモンジャ2 [MAZZEL ROOM #まぜべや🛋️]

 しかし、KAIRYUのトークの魅力は単に面白いだけではない。相手が話しやすい空気を作ることにも長けているのだ。同動画のオープニングでは、メンバー一人ひとりに細かくツッコミを入れることで、それぞれに見せ場を作っていた。また、NAOYAが憧れの町田啓太に会えた話から「会いたい人には会いたいと言おう」という流れになった際も、周囲のメンバーへ自然に話を振り、トークを広げていたのが印象的だった。会話の循環を作りながら、メンバーの魅力を引き出していく。そして、その場にいる人たちを自然と輝かせる力を持っている。それがKAIRYUのトークの魅力なのだろう。

 歌でも、トークでも、“人を惹き込む力”を発揮しているKAIRYU。しかし彼の本当の魅力は、優れたテクニックだけでなく、それを自然と“人に届く形”に変換できるところにあるのかもしれない。

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