ZARD 坂井泉水、没後19年 『名探偵コナン』主題歌に刻まれた不変の輝き、“時を超えるライブ”の意義
5月27日は、ZARDのボーカル・坂井泉水の19回目の命日だ。1991年にシングル『Good-bye My Loneliness』でメジャーデビューして以降、瑞々しい歌声で音楽シーンに確かな光を照らし続けてきた坂井。40歳というあまりにも早すぎる死に、日本中が衝撃と悲しみに包まれたことを今でも思い出す。
今年の坂井の命日には、ZARDが2004年に開催した唯一の全国ライブツアー『What a beautiful moment Tour』の模様が全国27カ所の映画館で上映される。同ツアーの模様は2005年にDVD、2020年にBlu-rayとしてリリースされているものの、今回上映されるのは“Full HD Edition”として美麗な映像に再編集されたもの。ZARD唯一のツアーの模様を、映画館の巨大なスクリーンと音響で体感することのできる貴重な上映イベントとなっている。
今年2月にZARDのデビュー35周年を記念したホールライブが開催。『“What a beautiful memory 〜forever moment〜”』と題された本ツアーでは、彼女の生前の歌声と映像に、バンドによる生演奏がシンクロする“時を超える奇跡のライブ”が実現した。チケットは全日程ソールドアウトし、時代を超えて今も愛され続けるZARDの不変の人気ぶりが感じられたライブとなった。また、今年10月には『ZARD Acoustic Live 2026 〜Especial moment〜』と題したアコースティック編成でのライブを、東阪のBillboard Liveにて開催予定。このライブでも、生前の坂井の歌声と映像が生バンドの演奏とともに披露される予定となっている。2021年にはストリーミングサービスでの全曲配信が解禁となるなど、近年においてもZARDはさまざまな形で音楽を私たちに届けてくれている。
1994年生まれの筆者としては、ZARDのキャリアと言えばアニメ『名探偵コナン』(日本テレビ系/以下、『コナン』)の主題歌の印象が強い。特に初期の『名探偵コナン』を音楽で支えたのがB'z、倉木麻衣、愛内里菜、GARNET CROW、そしてZARDらであった。ZARDが初めて『名探偵コナン』のオープニングテーマを務めたのは、「運命のルーレット廻して」(1998年)。CD音源では打ち込みのシンセサイザー/ベースのサウンドを軸に、展開にしたがってサウンドに厚みが増してジリジリと盛り上がっていくようなアレンジとなっているが、『コナン』公式YouTubeチャンネルに公開されている当時のオープニング映像(※1)と聴き比べてみると、アレンジが大幅に異なっていることに気がつく。
オープニングバージョンは、煌びやかなサウンドで、ここから始まる物語をより盛り上げていくようなアレンジに仕上がっているのだ。「運命のルーレット廻して」はリリースに際してアレンジが重ねられていったことが理由であり、主題歌として起用されている間にも実際に放送される音源のアレンジが変更されていたという逸話があるほどだ。その後もたくさんのアレンジやリミックスが施されてきた「運命のルーレット廻して」は、当時はもちろん現在でも『コナン』ファンのみならず、ZARDを語る上でも欠かせない1曲として聴かれ続けている。
TVアニメはもちろん、劇場版『コナン』シリーズの主題歌も務めてきたZARD。2008年公開の『名探偵コナン 戦慄の楽譜(フルスコア)』の主題歌となったのは、自身が作詞を手がけたDEENの楽曲「翼を広げて」のセルフカバーであった。本楽曲は、生前にレコーディングされていたものの、それまでCD発売だけでなく、ライブでも歌われたことがない完全な未発表曲。にもかかわらず、「翼を広げて」は、『戦慄の楽譜』における工藤新一と毛利蘭のエピソードに非常にマッチしているのだ。
〈君と過ごした日々/洗いたてのシャツのような笑顔/今も 忘れられない〉
『戦慄の楽譜』では、コナンになる前の新一と蘭が仲違いしたものの、本作のオリジナルキャラクターである秋庭怜子の歌声をふたりで聴いたことで仲直りをしたというエピソードが描かれる。新一と蘭がお互いに忘れられない〈君と過ごした日々〉に、ZARDは音楽で寄り添っているのだ。
没後19年となる今もなお、私たちの胸に、そして耳に残り続ける坂井泉水の歌。彼女の爽やかで眩しいあの歌声は、いつまでも時代を超えて愛され続けることだろう。
※1:https://www.youtube.com/watch?v=nUNPnKM-YUM