日向坂46、“ROCKESTRA”という音楽的挑戦が導いた名演 『7回目のひな誕祭』で見せた進化と次なるフェーズの兆し

日向坂46、『7回目のひな誕祭』徹底レポ

 ライブ後半戦になるとThe Rainbowsの面々がステージに戻り、再び小坂の指揮によりインストゥルメンタルが披露される。しかし、オープニングと異なるのはこの演奏にメンバーも加わっていること。上村ひなのはウィンドチャイム、髙橋未来虹はクラリネット、森本茉莉はシンバル、石塚瑶季は大太鼓、平尾帆夏は鍵盤ハーモニカ、高井俐香はバイオリンで参加し、まさにオーケストラの名に相応しいゴージャスな演奏が繰り広げられていく。その流れから突入する「ドレミソラシド」ではこの上ない幸福感を味わうことができ、以降も鶴崎仁香のトランペットをフィーチャーした「永遠のソフィア」、日々その表現力に磨きがかかる大野愛実が圧巻の存在感を発揮する「ガラス窓が汚れてる」と、生バンドによる迫力も相まって日向坂46史に残る名演が続く。

『7回目のひな誕祭 ~Welcome to HINATAZAKA ROCKESTRA~』(© Seed & FlowerLLC)

『7回目のひな誕祭 ~Welcome to HINATAZAKA ROCKESTRA~』(© Seed & FlowerLLC)

 昨年のツアーでもエレキギター演奏を披露していた正源司陽子は、今回「My fans」で終始伴奏に加わり、唯一無二のオーラを放ちながらギターリフを奏で続ける。この曲でセンターを務めた松尾桜も大野同様、これまで見せたことのないゾクっとする表情で圧倒的なオーラを放っていたことも特筆しておきたい。

『7回目のひな誕祭 ~Welcome to HINATAZAKA ROCKESTRA~』(© Seed & FlowerLLC)

 もはや日向坂46のライブには欠かせないキラーチューンのひとつ「見たことない魔物」も、バンドアレンジによってよりパワフルさを増し、大野がMPCで参加した「あの娘にグイグイ」、金村のドラム演奏でビートを効かせた「君はハニーデュー」と会場の熱気が急上昇を続ける中、ラストは「ソンナコトナイヨ」でより情熱的な歌をハマスタに響かせて、ライブ本編は終了した。

『7回目のひな誕祭 ~Welcome to HINATAZAKA ROCKESTRA~』(© Seed & FlowerLLC)

『7回目のひな誕祭 ~Welcome to HINATAZAKA ROCKESTRA~』(© Seed & FlowerLLC)

 アンコールでは先日卒業した松田好花が作詞を手掛けた「涙目の太陽」、ここぞという場面には欠かせない「JOYFUL LOVE」で会場中を七色に染め上げ、『7回目のひな誕祭 ~Welcome to HINATAZAKA ROCKESTRA~』は大成功のうちに終了。全編バンド演奏による“ロッケストラ”とはいかなかったものの、グループとして新たな音楽的冒険に一歩踏み出した勇気や楽器を演奏できるメンバーが増えたことによる個性の活かし方など含め、昨年のツアーと今回の『ひな誕祭』は新たなフェーズの序章なのかもしれない。この経験を今後どう活かしていくかで、日向坂46の未来はより明るいものになるのではないだろうか。

『7回目のひな誕祭 ~Welcome to HINATAZAKA ROCKESTRA~』(© Seed & FlowerLLC)

『7回目のひな誕祭 ~Welcome to HINATAZAKA ROCKESTRA~』(© Seed & FlowerLLC)

 そんな期待を胸に会場をあとにしようとしたところ、5日公演は「JOYFUL LOVE」だけでは終わりではなかった。突如スクリーンに過去のシングル曲MVが断片的に映し出され、「ドキドキは、終わらない。」というメッセージとともに17thシングルが5月20日に発売されること、その表題曲の選抜メンバーがこの場で発表されることとなる。客席からは喜びとも困惑とも取れる何とも言えない声が上がり、スクリーンを通じて新選抜メンバーがひとり、またひとりと発表されていく。

 こうして、初めて単独センターを務める藤嶌果歩を中心とした17thシングル選抜メンバー14名が明らかになり、そのままステージでは新曲「Kind of love」が初披露された。ラテンテイストの強い情熱的なこの曲は、今後ライブでも盛り上がり必至の1曲となることだろう。しかし、正直なところ筆者はこの曲を素直に楽しむことができなかった。先にも述べたように、ライブ自体はグループの未来を見据えた挑戦的なもので、非常に満足度の高い内容だったが、すべてのメンバーが一堂に会したライブの場で選抜発表をし、いきなりその選抜メンバーで新曲を披露するのは少々残酷ではないか、と名前を呼ばれなかったメンバーのファンのことを考え、心苦しくなってしまったのだ。

『7回目のひな誕祭 ~Welcome to HINATAZAKA ROCKESTRA~』(© Seed & FlowerLLC)

『7回目のひな誕祭 ~Welcome to HINATAZAKA ROCKESTRA~』(© Seed & FlowerLLC)

 日向坂46は今後、6月に『17th Single ひなた坂46 LIVE』、8月に『三期生LIVE』(先ごろ卒業を発表した山口陽世を含む、最初で最後の三期生単独ライブとなる)、9月には2年ぶりとなる宮崎での『ひなたフェス 2026』が控えている。これらのライブで今回の『ひな誕祭』での経験がダイレクトに反映されるのかどうかはわからないが、ここで試した実験を一過性のものとすることなく、いずれ実現するであろう新たな全国ツアーや来年の『ひな誕祭』など、さまざまな場面で活かされていくことに期待したい。

セットリスト
00. Overture
01. 世界にはThank you!が溢れている
02. One choice
03. 愛はこっちのものだ 2025
04. 君しか勝たん
05. アザトカワイイ
06. ってか
07. クリフハンガー
08. 好きになるクレッシェンド
09. Surf's up girl
10. 青春ポップコーン
11. どっちが先に言う?
12. 恋と慣性の法則
13. 君と生きる
14. ドレミソラシド
15. 永遠のソフィア
16. ガラス窓が汚れてる
17. My fans
18. 見たことない魔物
19. あの娘にグイグイ
20. 君はハニーデュー
21. ソンナコトナイヨ

アンコール
EN1. 涙目の太陽
EN2. JOYFUL LOVE

ダブルアンコール
WEN. Kind of love

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