Nothing's Carved In Stone、“Us”への音楽と爆発的なエネルギー 『Fire Inside Us』ツアーファイナルレポ

NCIS『Fire Inside Us』ツアーファイナル

 2026年3月14日の神奈川・Yokohama Bay Hallからスタートした『Nothing's Carved In Stone “Fire Inside Us Tour”』が、4月22日、東京・Zepp DiverCity(TOKYO)でツアーファイナルを迎えた。4年ぶりのフルアルバムにして会心の作品となった『Fire Inside Us』を携え、全国をまわってきたバンドは、ここ東京のオーディエンスの前でどこまでもソリッドに磨き上げられた演奏を届けてみせた。「最後まで一緒に音楽しよう」。ライブの序盤、村松拓(Vo/Gt)は余計なものはいらないとばかりにそうフロアに語りかけたが、その言葉通り、4人が鳴らす音楽それ自体に爆発的なエネルギーと思いが詰め込まれた、ナッシングスらしいライブだった。

村松拓(Vo/Gt)(撮影=RYOTARO KAWASHIMA)
村松拓(Vo/Gt)

 真っ赤なライトがステージを照らし出し、大喜多崇規(Dr)が力強くリズムを叩き出すと、村松が叫ぶ。そうしてライブの火蓋を切って落としたのは、『Fire Inside Us』オープニングトラック「孤独の先」だった。日向秀和(Ba)のベースにも、生形真一(Gt)のギターにも、そしてもちろん村松の歌にも、みなぎるものを感じる、最高の幕開けだ。そしてそのまま、アルバムの曲順通りに「Find the Color」へ。鋭いリフと、サビに入って一気に広がっていくようなメロディ。Zepp DiverCityのフロアは当然ながらいきなりとんでもないテンションで4人のぶちかます音を受け止めている。村松が「クラップ!」と呼びかけると、会場を大音量の手拍子が包み込む。続く「Spirit Inspiration」では、「声を聞かせてくれ!」という村松の求めに声を上げるオーディエンス。スタートから一気にアクセルを踏み込むように加速していくフロアのボルテージに、メンバーも思わず楽しそうな表情を浮かべている。そのまま「白昼」までの4曲を駆け抜けると、村松は「Nothing's Carved In Stoneです! よろしく!」と名乗りをあげるのだった。

生形真一(Gt)(撮影=RYOTARO KAWASHIMA)
生形真一(Gt)

 「ツアーファイナル、帰ってきました! 全国でめっちゃパワーもらったんで、全部ここで返します」。村松の頼もしい言葉にフロアが沸き立つ。そして彼は、バンドが鳴らすどっしりとしたグルーヴに乗せて「It Burns to Save You」を歌い始めた。そこから楽曲はぐんぐんスピードを上げていき、それにともなって会場の熱も高まっていく。「In Future」では村松がギターを置いてハンドマイクでフロアを煽り立て、イントロの生形のギターリフが轟いた瞬間に歓声が上がった「Idols」では「揺らせ!」という彼の声が会場全体をさらに鼓舞する。ダンスビートとシンセのサウンド、その一挙手一投足が徹頭徹尾オーディエンスを巻き込み、文字通り一緒にライブを作り上げていく。何よりも4人の演奏力の高さとそれによって生まれるスリルとテンションがこのバンドの最大の武器だが、それに加えてこの求心力とパッションが襲いかかってくるのだ。太刀打ちできるわけがない。

日向秀和(Ba)(撮影=RYOTARO KAWASHIMA)
日向秀和(Ba)

 ライブはそこから、新旧の楽曲を織り交ぜながら進んでいく。「(as if it's) A Warning」や「Challengers」が盛り上がるのはまあ当然として、『Fire Inside Us』からの「シリウスの月」や「Black Train」「MOONRISE」といった楽曲もすっかりオーディエンスの体に染み込んでいるようで、どの曲でも最初の一音が鳴った瞬間にフロアの温度がガッと上がる、あの感じを味わうことができた。とりわけ「Black Train」は出色。アルバムでもとても印象的な楽曲だったが、それはライブでも同様で、切ないメロディも、ちょっと懐かしさを感じるような日向のベースラインも、大喜多が叩き出すデッカいビートも素晴らしく、オーディエンスのシンガロングもZepp DiverCityに最高の一体感を生み出していた。村松はMCで「いやあ、いいアルバム作っちゃったなあ」と自画自賛していたが、それはステージ上のメンバーだけでなく、この場にいる全員がそう思っていたはずだ。

大喜多崇規(Dr)(撮影=RYOTARO KAWASHIMA)
大喜多崇規(Dr)

 そして、「MOONRISE」を終え、「自分出してこい、遠慮するなよ! いこうぜ!」という村松の言葉からライブは後半戦へ。鉄板の「Challengers」を経て、「All We Have feat. Masato (coldrain)」が始まっていく。生形のギターが唸りを上げると、ここでステージに飛び込んでくるひとりの男。そう、この曲に客演しているcoldrain・Masatoだ。マイクを握り締め、渾身のシャウトを響かせる彼の姿に会場はますますヒートアップ。Masatoも「もっといけんだろ!」とフロアを煽る。ナッシングスがボーカリストをフィーチャーするのはこの曲が初めてで、だからこういう光景がライブで実現すること自体がレア。メンバーもこのコラボレーションを心から楽しんでいるようだ。曲を終え、村松とハグし、生形、日向、大喜多とは拳を合わせて颯爽と去っていくMasatoを見送ると、ここで一息……というわけにはいかない。ここからがクライマックスである。

Nothing's Carved In Stone(撮影=RYOTARO KAWASHIMA)

 すかさずバンドが投下した「Isolation」が再びフロアを熱狂のど真ん中に叩き込むと、さらに「You're in Motion」が畳み掛けられる。ハイテンポのキラーチューン連打にフロアは拳を振り上げ応戦。続く「Out of Control」に突入する瞬間に村松が叫ぶ。「最高の夜にしようぜ!」――そんな言葉を待つまでもなく、すでにZepp DiverCityは最高潮を迎えている。伸びやかなメロディを歌う村松の声に重なる生形のコーラスが高揚を煽り、繰り返される変拍子のキメが問答無用で心を躍らせる。13年前の曲だが、まったく色褪せないどころか、バンドのコンビネーションが成熟するに従ってどんどん凄みを増す、ナッシングスの真髄である。曲の終わりに生形がギターを掲げる姿は、Nothing’s Carved In Stoneここにありというメッセージのようだった。

 そして、大喜多が「東京、いけるか!」と雄叫びを上げて「Everything」へ。ヘヴィなベースが震わせる空気を、暴れ回るドラムとギターが切り裂き、スケールの大きなメロディがすべてを包み込むように鳴り響く。緩急自在のアンサンブルで最後の瞬間までぶち上げきると、ここでライブ本編は終了。4人は満足げな表情でいったんステージから去ったのだった。

Nothing's Carved In Stone(撮影=RYOTARO KAWASHIMA)

 とはいえ、もちろんオーディエンスはまだ騒ぎ足りない。力強い手拍子に導かれてアンコールが始まる。まず演奏されたのは『Fire Inside Us』の楽曲のなかでもとりわけ切なくてやさしい「May」だった。村松のエモーショナルな熱唱は、まるで先ほどまでの熱狂と興奮を癒すようだ。歌い終えた村松が話し出す。駆けつけてくれたMasatoにあらためて感謝を伝えると、このツアー、ここまでは彼の代わりに大喜多がシャウトをしていたこと、そしてそのために大喜多が努力を重ねてきたことを称える。その大喜多は、ツアーを通して自分のシャウトがだんだんメンバーに認められてきたと冗談めかして明かしつつ、今日Masato と一緒にステージに立つことを心から楽しみにしていたと本日のゲストを立てる男気を見せるのだった。再び村松。『Fire Inside Us』の“Us”はみんなのことだ、と告げ、「俺らの役割はステージで音を鳴らすこと。俺らは続けるんで、みなさんはみなさんの生き方で熱を繋いで、ここで熱を蓄えて、また何か足りなくなったらライブハウスにきてください」とメッセージを届ける。大きな拍手が巻き起こるなか、いよいよラストチューン。「Dear Future」の大合唱が会場を包み込む。文字通りこの空間にいる全員で“音楽”を鳴らすと、「また会いましょう。くよくよすんなよ!」と最後のキメへ。4人で視線と音を重ね、力強くライブはフィナーレを迎えたのだった。

 なお、このアンコール中には秋に9月から10月にかけて対バンツアー『Hand In Hand Tour 2026』が開催されることも告知された。村松いわく「まだ言えないんだけど、すげえいいバンド呼んでるから」とのことなので、こちらも期待したい。

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