a flood of circle 佐々木亮介×加賀美ハヤト 対談 異なるスタイルと通じ合うルーツ――体温を持って探求していく“新しさ”
a flood of circleとして初の武道館で達成したいこと
——加賀美さんは1stライブを経験して、ボーカリストとしてのスタンスに変化はありましたか?
加賀美:そうですね……。上手く言えないんですけど、決定的に何かが変わったと思います。しかも1曲目の「ARE YOU READY? FIGHT!」を歌った瞬間から「変わった」という感じがあって。
佐々木:そうなんだ。
加賀美:はい。ライブの翌日、『めざましテレビ』(フジテレビ系)さんがライブの映像を流してくれたんですよ。「TOYOTA ARENAでVTuberのライブがありました」と紹介してくれたんですけど、それを観たときに「やべ、こんなことやらかしてた」ではなくて、昔からずっと見ていたエンタメニュースの一つとして、スッと入ってきた感じがあって。
——そこに映ってる自分、デカい会場でライブをやってる自分を受け入れたと。
加賀美:そうなのかもしれないですね。「ARE YOU READY? FIGHT!」でコール&レスポンスを煽ったら想像よりはるかに大きい声が返ってきて、それに応えることができて。次の日テレビの情報番組でライブの映像を観て、違和感をまったく感じなかった自分がいて。そのときに“消費者としての負い目”みたいなものをこれ以上持っていたら失礼なんだろうなと思ったんです。自覚が出てきたのかもしれないですね、もしかしたら。
佐々木:それが最初のライブってすごいですよね。
加賀美:ROF-MAOというグループでもステージに立っていたので、その経験を活かせたのかもしれないです。佐々木さんは「このワンステージで変わった」みたいなことってありますか?
佐々木:うーん……ちょっと思い出せないですね。やっぱりライブに対して麻痺しているところがあるのかも。
加賀美:それもすごい(笑)。ちょっと話が変わっちゃうんですけど、武道館の告知のやり方も衝撃的で。
佐々木:あぁ、新宿のフリーライブ(2025年11月9日に東京・新宿KABUKICHO TOWER STAGEで行われた『I'M FREE 2025 LIVE AT 新宿歌舞伎町野外音楽堂』)ですか?
加賀美:はい。フラッドの中で一番好きな曲はずっと「シーガル」だったんですけど、あのライブを観て完全に変わりました。今は「夜空に架かる虹」が一番好きです。
佐々木:それは嬉しいです。
——「夜空に架かる虹」には〈5月6日 武道館/目を開けて夢を見ている〉という歌詞があって。武道館公演を発表した後もライブに対するスタンスは変わってないですか?
佐々木:自分たちというより、オーディエンスのテンションは違う気がしますね。“今を生きる”ではなくて、“目標に向けて頑張ろう”って部活みたいになってて(笑)。その日のライブでは決着しないというのかな。いいのか悪いのかという感じです。
加賀美:ファンの方々は嬉しいと思います。「こういうふうに応援できるんだ」って。
佐々木:“武道館まで”という感じがいいのかもしれないです。あと2カ月くらいで終わるんだけど、そこまでを含めて“今”というか。
加賀美:言い方が難しいですけど、「やってなかったんだ」という感じもあるんですよ。フラッドは武道館に立つべきだし、自分の場合は10代の頃から好きなバンドが2026年に武道館でやるというタイムラインの嬉しさがずっとあって。武道館は自分も憧れているステージだし、本当に嬉しいです。
佐々木:そう言ってもらえるのは自分も嬉しいですね。……今、曲を作ってるんですよ。武道館の後を見据えて作ってるんですけど、「武道館の後って何だろう?」と考えていて。バンドをやるのは最優先だし、何があろうが誰がやめようが絶対にやるんだけど、「武道館の後、何を歌おう?」って。今日、加賀美さんと会話したこともヒントになりそうな気がします。
加賀美:え、そうなんですか?
佐々木:いつもと違う感じになれるのが面白いし、そうなるために音楽をやってるところもあるなと思ってて。それは生きる上での根源的な喜びというか。音楽のポジティビティって、大きくいうと2つだと思ってるんですよ。どん底の気分をどうにかしてくれるのが1つ。もう1つは、世の中とか社会とか、戦争とかそういう話になるんだけど、もっと大きな目線で「まだ先があるでしょ?」みたいに思えることというか。その共通点は、生きてて「まだマシだな」っていう瞬間なのかなと。ちょっと抽象的な話ですけど、武道館ではそういうことも達成したいんですよね。
加賀美:めちゃくちゃ楽しみです。新しいアルバム(『夜空に架かる虹』)もそうですけど、ずっと新しいことをやってくれるのもすごいなと思っていて。まさかオートチューンを使った曲があるとは! っていう。
佐々木:よかった(笑)。自分の中にはたぶん両方あると思うんですよ。ロックが眩しかった時代への憧れもずっとあるし、一方で「発明家が一番偉い」と思うところもあって。
加賀美:どっちもやってるのがフラッドだと思います。「夜空に架かる虹」はすごく新しかったし、同時に「ずっと好きなフラッドの曲だ」という感じもあって。それが自分にとってめちゃくちゃ絶妙だったんですよ。
佐々木:新しさの塊みたいな人にそう言われると勇気づけられますね。
加賀美:いえいえ、そんな。またこういう機会が作れるように努力して学んでいきたいです。
佐々木:こちらこそありがとうございました。いろいろアイデアをもらったし、また話せる機会があると嬉しいなと思います。
■リリース情報
a flood of circle
アルバム『夜空に架かる虹』
配信中:https://afoc.lnk.to/night-rainbow
■ライブ情報
『a flood of circle 20周年記念公演 LIVE AT 日本武道館』
日程:2026年5月6日(水・祝)
会場:日本武道館
開場/開演:15:00開場 / 16:00開演