Nothing's Carved In Stone、4年ぶりフルアルバム『Fire Inside Us』完成インタビュー 燃えたぎる炎が導く“未来”

NCIS『Fire Inside Us』完成インタビュー

 Nothing's Carved In Stoneが、12作目となるフルアルバム『Fire Inside Us』を完成させた。2024年にリリースしたEP『BRIGHTNESS』からの2年間のあいだに紡がれてきた楽曲たちは、すでにリリースされている楽曲も今回新たに収録された楽曲も含めて、今のナッシングスがいかに充実しているか、そしていかにポジティブに前進し続けているかを雄弁に物語る。coldrainのMasatoをフィーチャーした「All We Have feat. Masato (coldrain)」をはじめ新たな挑戦も詰め込みながら、トータルとしてはロックバンドとしての強度とエネルギーをこれ以上ないほどに見せつける全10曲。12枚もアルバム作ってきたキャリアを考えれば「ベテラン」と言っていいバンドだが、断言するが、今のナッシングスはいちばん熱く、若く、たぎっている。村松拓(Vo/Gt)と生形真一(Gt)に話を聞いた。(小川智宏)

coldrain・Masatoの客演、『BRIGHTNESS』と地続きの軸

――『BRIGHTNESS』も7曲入りとはいえアルバム級の作品でしたが、フルアルバムとしては4年ぶりということで。非常に密度の高い、エネルギーに満ちたアルバムができたと思います。

村松拓(以下、村松):手応えがあるアルバムができると、自分でもよく聴くんです。今回は車とかでもよくかけてるし、すごい聴きたくなるアルバムができたなって感じなので、いいアルバムになったんじゃないかなって思います。

生形真一(以下、生形):俺も手応えというかやり切った感はすごくあって。ちょうどこのあいだマスタリングが終わったばかり(取材は2月上旬)なんですけど、すごく達成感があるかな。10曲あるんだけど、いい意味で繰り返し聴ける気もするし、音のミックスも俺たちが独立してからずっとやってもらってるエンジニアさんだから、今では自分たちの出したいサウンドをそのまま出してくれるし、時にはそれ以上のものをミックスしてくれたりしていて。そのへんのやりとりとかもすごくよくできたなと思ってます。

――『BRIGHTNESS』の時も、そもそもアルバムを作ろうとしていたという話でしたけど、そこからここまではどんな感じで進んできたんですか?

生形:何したっけね(笑)? 『BRIGHTNESS』ももう2年前か。

村松:『BRIGHTNESS』を作った段階で、真一もひなっち(日向秀和/Ba)も曲をちょっと溢れるぐらい作ってくれてたんですよ。アレンジをしてあったものもあったんで、その延長線上で始まったっていう。

生形:「All We Have feat. Masato (coldrain)」とかは『BRIGHTNESS』の時に作っていた曲で。あの作品がミニアルバムになったのには、そういう理由もあるんです。元々アルバムを作るつもりで制作していたのが物理的に時間もなくなってきて、曲のアレンジをする時間がなくなってきて、それでミニにしたんですよ。で、また次の機会に出そうってことになって……そうそう、だからずっと録ってたんだよね、この2年間。3曲ぐらいずつ、4カ月ごととか5カ月ごとに――「ごと」って言っても、その4カ月のあいだもずっと曲作り、アレンジをやってるわけだから、本当にずっとやってた感じですね。

――「All We Have」が『BRIGHTNESS』以降、最初に出たシングルですけど、あの曲にはcoldrainのMasatoさんが客演していて。ナッシングス史上初めてゲストボーカルを迎えた楽曲になったわけですけど、ああいう形になった経緯はどういうものだったんですか?

村松:もともとの曲のネタの発案者は、ひなっちで。みんなでスタジオでアレンジしている時に「やっぱりシャウトがほしいよね」ってなって。今までだったらシャウトが必要な曲でも、そこをあえて自分たちのバンドの力でねじ伏せていくみたいな感じだったんですけど、ここにきて、「一回、誰かにシャウトを入れてもらってもいいんじゃない?」っていうのをひなっちが言い出したんです。そのほうが曲がかっこよくなるというか、この曲のビジョンにより近づける感じがあったので。いろいろ話したんだよね。俺、デモで試しにシャウトを入れてみたんですけど、マジで反応悪くて(笑)。いい/悪いとかじゃなくて、「やっぱりMasatoに頼もうよ」っていう。

生形:でも、Masatoにやってもらってわかったけど、あれは“技術”が必要だね。歌とはまた別で、習得しなきゃできないものですね。声の出し方とか、まったく違ったもんね。

村松:うん。背中にブワーって力入れて、空気いっぱい入れて全身で叫ぶっていう。

生形:そうそう。全身使ってね。

村松:でも、おもしろかったのは、うちらが作ってたハモのラインとか、Masatoにはやっぱり新鮮だったみたいで。やっぱりボーカルって、自分の肉体じゃないですか。だから、行きたい音階とか「ここはしゃくりたい」とかがあると思うんです。そこをMasatoがうちのバンドに合わせていろいろな部分を変えてくれた。すごく肉体的かつ理性的ボーカリストなんだなって思ったし、うちのバンドのカラーもそこにきっとあるんだなっていうのを再確認できた感じはありました。

Nothing's Carved In Stone(撮影=山川哲矢)
村松拓(Vo/Gt)

――結果、「All We Have」はすごくいい曲になって。「拓さんの声とMasatoさんの声って全然別モノだろう」って最初は思ってたんですけど、聴いてみると意外と馴染んでますよね。

村松:そうですね。最初のほうからもともとついてないところにメロディを新しく加えてシャウト入れてくれたりしてくれたので。単純に俺たちのお盆のうえに乗っかって「Masatoです!」っていう感じじゃなくて、一緒に作った感じだったんですよね。

――この曲って、すごく象徴的な気がするんです。このタイミングでナッシングスが別のバンドのボーカリストを招いて、今までなかったスタイルの声をそこに入れて、一緒に作った曲がシングルとしてリリースされたアルバムに入るっていう。今までなかった動きではあるし、バンドとして自由度が増しているからこそなのかな、と。

村松:それはあるよね。バンドを開けた存在に変えていきたいみたいな気持ちは常にあるから。それは前回アレンジャーを入れたりして学んだことのひとつでもあって。真一もよく言っていたんですけど、バンドとしてやっぱり凝り固まってる部分はあって、いくら新しいことをやろうとしても、外の人から見たら「そんなに変わってないじゃん」っていうこともあるだろうなっていうのは結構自覚するようになってきて。そのなかで作ったのが『BRIGHTNESS』だったので、これもその続きだと思うんですよね。

生形:アレンジャーを入れたのとかも、びっくりする人はするだろうなって思ってはいたけど、自分たちとしてはすごく身になったし、その後の曲作りにも絶対活きてるし。今回Masatoがやってくれたことでうちらの幅もまた広がって、次に作るものに対していろいろ考えるところもあるだろうし。

村松:オニイ(大喜多崇規/Dr)がシャウトをね。

生形:今練習してる。本気でやってるんですよ。

――このアルバムには、そういう新たな部分とか手にしていっているものも表れていて。でも、一方ではずっと培ってきたもの、バンドの核みたいな部分もより強く出ているし、10曲を貫くテーマみたいなものもすごく感じますよね。

村松:うちのバンドって、伝えたいメッセージみたいなものが最初から変わっていない気がするんです。それをどうアップデートして乗せるかだったのかなっていう気がしてますね。

――その変わっていないテーマをあらためて言葉にすると?

村松:前回の『BRIGHTNESS』でも「Dear Future」とかで歌ってましたけど、“愛”とか。単純に人間に対する愛だけではなく、僕らの音楽に対する愛とか、ファンの方が僕らに抱いてくれてる思いとか、いろいろな種類の愛があると思うんですけど。そういうことを軸に生きていったほうが、まわりの人もみんな幸せになっていくじゃないですか、きっと。そういうことを伝えたいなっていうのが根本にはあったかな。あとは、自分たちがそうやって生きてるから、そういうものを土台に言葉を積めたらいいな、っていう。

Nothing's Carved In Stone(撮影=山川哲矢)
生形真一(Gt)

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