鈴木鈴木、「スノーメイク」が予感させる新たなユニット像 血を分けた兄弟だからこそ実現できるボーカルワークの秘密
兄の十夢(とむ)と弟の聖七(せいな)からなる兄弟ユニット 鈴木鈴木。2017年に活動をスタートし、音楽トークバラエティ番組『Momm!!』の「歌唱力No.1決定戦」のチャンピオンになったことから注目される。 TikTokのフォロワーは約64万人にのぼり、遺伝子レベルで共鳴する歌声を武器に世間の認知度を高めている。
鈴木鈴木は2025年11月に冬のシングル「スノーメイク」をリリース。作詞作曲を自身ら行った同曲は、ウィンターソングでありながらも聴くと心に温もりが宿るような壮大なミディアムバラード。それぞれの個性的なソロ歌唱とユニゾンの両方が際立つ新境地的な楽曲になっている。
結成から8年、ユニットとしても過渡期を迎える鈴木鈴木。二人のキャリアを辿りながら、「スノーメイク」の制作秘話、そしてこれから二人が目指す歌手/ユニット像について話を聞いた。(編集部)
それぞれ異なる歌手としての特性、お互いに抱くリスペクト
ーー最初に、お二人が音楽を始めるようになった経緯を教えてください。
聖七:両親が音楽をやっていたとかそういうわけではないんですが、よく音楽が流れている家ではあったんです。EXILEさんとか清水翔太さんとか。家族でカラオケにもよく行っていました。
十夢:僕らが歌うきっかけは、僕が高校生になったくらいのときに叔父から「ボイトレを始めてみないか」と声をかけてもらったこと。そこから徐々に音楽の魅力にハマっていきました。
ーー叔父さんはどうして十夢さんにボイトレを勧めてくれたのでしょうか?
聖七:家族から「十夢は歌がうまいな」と言われていて、叔父もそれを見ていたんです。兄が中学生のときに、友達が高校で遠い学校に行ってしまうということで、兄がその友達に歌を送りたいと言っていたので、叔父が「じゃあレコーディングしてあげるよ」って。
十夢:叔父はもともと歌い手としてニコニコ動画で活動していたので、音楽の知識もあるし、家にはレコーディング環境もあって。
聖七:僕はそんな兄を見て「僕もこんなふうになりたい」と思いました。それに「負けたくない」っていう、弟っぽい負けず嫌いも出ちゃって(笑)。僕も高校に入ったら音楽を始めようと決めました。ただ、鈴木鈴木として活動を始めたきっかけは、兄が一人で出演する予定だったテレビ番組です。
ーー『Momm!!』(TBS系)の「歌ウマ No.1 オーディション」ですか?
聖七:そうです。兄が間違って、僕と歌っている動画を応募の際に送っちゃって。
十夢:僕がソロで歌っている動画の隣に、兄弟で歌っている動画があったので間違えてしまいました。
聖七:だから僕は知らないうちに応募されていたんです(笑)。番組の収録日が高校受験の3日後だったので、どっちに集中したらいいかわからなかった(笑)。そんなこともありつつ、番組で優勝して「鈴木鈴木」というユニット名も付けていただきました。
ーー十夢さんは、1人で応募するはずが2人の動画を間違えて送ってしまったことに気づいたときはどんな気持ちだったのでしょうか?
聖七:気づいた?
十夢:気づいた、気づいた。「すみません」と言って、ソロの動画を送り直したんですけど、あの番組に兄弟で出ている人がいなかったので「もしこれ通っちゃったら、おいしくね?」とも思っていました。
ーーちなみに十夢さんは学校が離れてしまうお友達に曲を贈ったとのことですが、音楽で気持ちを届けようと思ったのはどうしてだったのでしょうか?
十夢:その友達が「十夢の声好き」と言ってくれていたので、僕が大物になる前にあげておこうかなって(笑)。
ーーいいですね。贈ったのは何の曲ですか? オリジナル曲?
十夢:オリジナルだったらカッコ良かったんですけど、カバーです。EXILEさんの。
聖七:「Eternal…」です。
ーー聖七さんも覚えていらっしゃるんですね。お友達に歌を贈るお兄さんの姿がカッコよかったから?
聖七:いや、そのときは「自分のほうがうまいんじゃね?」って思ってました(笑)。負けず嫌いだったし、実際カラオケに行くと90点くらい出していたので。本当は下手だったんですけどね。
ーーいやいや、カラオケで90点って簡単には出せないですよ。
聖七:ビブラートとかを真似して点数を稼いでいたんですよ。
十夢:聖七は努力型なんです。陰でコツコツ練習していて、急にレベルアップする。だから焦りますよ。
聖七:嘘だ!
十夢:いや、ほんとほんと。僕は高音が出ないけど弟は出るし、最近は抑揚やビブラートとかもすごい。僕が持っていないものを持っているので、ちょっと悔しさはあります。だから僕も陰で練習しますし、こうやってお互いが持っていないものを補っているのかなと思います。
聖七:いや、急な褒め合い(笑)。
ーーせっかくなので聖七さんが思う十夢さんのうらやましいところも聞かせてください。
聖七:僕はボイトレに通っていなかったから、カラオケの採点ポイントにあるビブラートとかフェイクを習得するために、美空ひばりさんを聴いて勉強したりしていたんですね。自分でも頑張ったなと思うんですけど、兄は勉強しなくても自然とできて。そこには努力をしても埋められない差があるなと思います。
ーー2017年に「鈴木鈴木」という名前を持って本格的に活動を始めたわけですが、今日までの中でターニングポイントを挙げるとしたらいつですか?
聖七:ライブをやめると決めたときですね。当時はSNSがそんなに音楽を発表するツールとしての使い方がされていなかったと思うのですが、ある方に「ライブをやめて歌唱動画をSNSにアップしてみたら?」と提案されたんです。僕らは当時まだ高校生で、ライブ稼働も大変だし、その分SNSにアップしていれば、ライブをしていなくても誰かが聴いている可能性はあるからって。
十夢:それが2018年か2019年あたりですね。僕は「ライブをやってナンボでしょ」って思うタイプの人間だったので、最初はめっちゃ怖かったです。
聖七:プライドもあったしね。
十夢:そうそう、「自分はYouTuberじゃなくてアーティストなのに」って。でもいざ上げてみると、徐々に再生数が伸びていって自分たちも気持ちよくなって。今振り返ると、あのとき決断してよかったなと思います。
ーー活動をしていくなかで、オリジナル曲も発表していきます。楽曲制作におけるターニングポイントはどこだと思いますか?
聖七:最初にリリースした「君と僕はさ」(2020年リリース)ですかね。ずっとSNSでカバー曲をあげていて、いつオリジナル曲をリリースしていいかわからなかったんです。コロナ禍に入ってしまって、ライブをしていないのにリリースしていいのかとかも考えてしまったし。ずっとカバー曲を上げていたぶん、最初に発表するオリジナル曲ってめっちゃ大事だと思ったからものすごく考えた覚えがあります。
ーーそのなかで「君と僕はさ」はどうやって作っていったのでしょうか?
聖七:「香水」(瑛人)や「夜に駆ける」(YOASOBI)など、SNSから人気がついた曲が出てきたタイミングだったので、僕らもいろいろと曲の断片を作って、SNSに上げてみて、反応が良かったものを曲にしようと思って。そうやってできたのが「君と僕はさ」でした。
ーーそこで、鈴木鈴木として歌っていくものが見えたと。
十夢:いや……。
聖七:正直、そこではまだ見えていなかったです。というのも、「君と僕はさ」は、まずはその時点で僕らのことを知ってくれている人たちを失望させないようにと思って作ったものだったから。最初のオリジナル曲が盛り上がらなかったら「やっぱりカバーの人たちだね」ってなってしまうじゃないですか。それは避けたかった。
ーーでは、オリジナル曲で良い反響を得られて、まずは安心したというか。
聖七:そうですね。ありがたかったです。
ーーその後、鈴木鈴木として歌うべきものが見つかったタイミングは?
聖七:リアルな話をすると……去年かなと思っています。
十夢:うん、そうだね。
聖七:「君と僕はさ」がバズったあと、「海のリビング」(2021年8月リリース)や「ホワイトキス」(2021年11月リリース)も続けてたくさん聴いてもらえたこともあったので、ちょっと“みんなに聴いてもらえているもの”みたいな視点で曲を作っていたところがあって。もちろんそれらも自分たちで作り出した大切な楽曲ですけど、本当に自分たちを生かした曲なのか、本当に自分たちが作りたいものなのかということを、改めて精査して、その答えが出せたのが去年なのかなと。
ーーそのときに出た答え、鈴木鈴木が歌うべきものというものはどういったものだったのでしょうか?
聖七:それはこれから出ていく楽曲に反映されていくので、期待していていただきたいです。あ、でも去年11月にリリースした「スノーメイク」はその第一歩かも。