アイドルが自ら歌詞を綴る意義とは? 松田好花、初作詞曲「涙目の太陽」に刻んだ日向坂46への深い愛
日向坂46が1月28日にリリースした16thシングル『クリフハンガー』に収録されている「涙目の太陽」が、同シングルをもってグループを卒業する二期生の松田好花が初めて作詞を手掛けた楽曲として注目を集めている。
坂道グループ初の挑戦ーー“未来の日向坂46”に贈るメッセージ
松田は自身がパーソナリティを務めるラジオ番組『日向坂46・松田好花のオールナイトニッポンX(クロス)』(ニッポン放送)で、「卒業曲にするのではなく、日向坂46にこれから歌い継いでいってほしい曲をテーマに、私の想いも詰め込んだ曲になります」と語っている。つまり「涙目の太陽」は、卒業前の区切りを飾るための曲ではない。むしろ、これから先の日向坂46が歌い続けていくことを前提に、未来へ手渡すメッセージとして書かれた楽曲なのだ。グループ卒業を控えたメンバーが初めて自作の歌詞を発表するという事実は、松田個人の挑戦にとどまらず、日向坂46の物語にもリンクするものになる。
「涙目の太陽」は日向坂46メンバー全員で歌う全員曲であり、その全員曲の作詞をメンバーが手掛けるのは坂道グループとしても初の試みだ。まず、このことだけでも今作が“挑戦”として位置づけられていることがわかる。松田も「緊張感とありがたみを噛み締めながら一生懸命臨ませていただきました」と語っていたように、本人にとっても容易な覚悟ではなかっただろう。そもそもアイドル楽曲の歌詞は、プロの作詞家/アーティストが手掛けることも多く、こと坂道グループにおいてはこれまで全員曲の作詞はすべて秋元康が手掛けていた。だからこそ、今回のようにメンバー自身が言葉を綴り、グループの作品として残すことには特別な重みが生まれる。作詞経験のなかったメンバーが制作に関わることで、一行ごとに書き手の癖や温度が残り、その人らしさが楽曲に反映されるため、ファンにも本人の声として真っ直ぐ届く側面がある。
特に、松田は普段から自分の考えや悩みを率直に言葉にしてきたメンバーだ。そのため、彼女が綴るフレーズは、聴き手であるおひさま(日向坂46ファンの呼称)にとっても、自然と胸に入ってくるものにもなっているだろう。実際、松田はかつてブログで「どんな時も変わらず付いてきて応援して下さるファンの方がいらっしゃったからです。本当にありがとうございます!」(※1)と感謝を伝えていたことがあったが、その気持ちは「涙目の太陽」にも込められているように思う。ラジオでぽろっと本音をこぼした夜、ライブで息を整えながら前を向いた瞬間、ブログで丁寧に感謝を言葉にしてきた積み重ね……。おひさまはそれらの場面を知っている。だから、「これは自分に向けられた言葉かもしれない」と受け取ることができるのだ。松田が自分の気持ちをそのまま歌詞に乗せたぶん、聴き手もまた、自分の時間を持ち寄ってこの曲を抱えられる。あたたかさがじんわり残るのは、その距離の近さゆえだろう。