対談:Omoinotake × チャンプ・ウィーラチット・トンジラー監督 映画『(LOVE SONG)』と音楽の極上の共鳴、感動を生む条件は?
森崎ウィンと向井康二(Snow Man)がW主演を務めた日タイ共同制作映画『(LOVE SONG)』。世界的なタイBLブームの火付け役となったドラマ『2gether』のチャンプ・ウィーラチット・トンジラー監督がメガホンをとり、タイを舞台に切ないすれ違いを繰り返すふたりのピュアなストーリーを作り上げた。その主題歌を務めるのは、これまで珠玉のラブソングを生み出してきたスリーピースバンド・Omoinotake。主題歌「Gravity」は、美しくも切ないメロディを軸に、ふたりの恋模様をドラマチックに彩る楽曲となっている。
今回、チャンプ監督とOmoinotakeの初対談が実現。Omoinotakeの初バンコク公演を翌日に控えるなか、初対面を果たした4人がいるタイとリモートで繋ぎ、貴重な話を聞くことができた(後藤寛子)。
メロディを聴いただけで曲が伝えたいものがわかった(チャンプ監督)
――Omoinotakeのみなさんは、いつ頃タイに着いたんですか?
藤井怜央(Vo/Key):昨日(12月8日)の夕方ぐらいですね。タイに来たのは初めてなんですけど、気温も暖かくて気持ちいいし、すでにタイ料理もたくさん満喫しております(笑)。全部おいしいですね。
――これまで、チャンプ監督と話す機会はあったんですか?
藤井:いや、話すのも今回が初めてです。今、初対面からまだ3分くらいしか経っていないので緊張しています(笑)。
チャンプ監督:私も緊張しています(笑)。Omoinotakeのことは、YouTubeなどで観ていたので。
――映画『(LOVE SONG)』が公開されて、日本でも話題となっていましたが、監督にも反響は届いていますか。
チャンプ監督:そうですね。X(旧Twitter)に投稿されているファンのコメントを読むと、たくさんの人がこの映画を好きになってくれているのが伝わってきます。『(LOVE SONG)』を作れて、みなさんを幸せにできて、私もとても嬉しいです。
――Omoinotakeも、映画公開後の反響はありましたか?
藤井:この映画で初めて僕たちの曲を聴いてくださった方もたくさんいると思うんですけど、「映画に合っていた」という声を多くいただけて有難いです。
福島智朗(Ba):「エンドロールで誰も立ち上がらなかった」という感想をXでよく見かけるんですよ。それがすごく嬉しいですね。
冨田洋之進(Dr):「『Gravity』で泣けました」という感想やレビューを見かけると、「ああ、ちゃんと届いてるんだな」と実感します。
――そもそも、どういう経緯で映画の主題歌をOmoinotakeにオファーすることになったんですか?
チャンプ監督:KADOKAWAさんと『(LOVE SONG)』の主題歌にどのバンドがいいか相談していた時に、Omoinotakeを紹介してくださったんです。Omoinotakeの曲を聴いたらすごくいい曲ばかりだと思いましたし、私のイメージした主題歌を作ってくれそうだと思いました。私は日本語がわからないので、Omoinotakeの曲を聴いても歌詞の意味はわからないじゃないですか。でも、メロディを聴いただけで曲が伝えたいものがわかったんですよね。大事なのはメロディだと思っているから、メロディだけを聴いて曲が伝えたいものがわかればそれがいちばん。なので、今回Omoinotakeと組むことができて、とても嬉しかったです。
――海外の監督の作品に楽曲を書き下ろすプレッシャーもあったでしょうし、言葉がわからなくてもメロディで伝わったのは嬉しいですよね。
藤井:めちゃめちゃ嬉しいです。曲を作る前にほぼ完成した状態の映像を観せていただいたんですけど、僕らとしても「いい曲ができそうだな」というイメージがすぐ浮かびました。ちゃんと映画に合った曲を作りたいな、って。
――映画サイドから、曲の方向性などについてリクエストはあったんですか。
福島:タイの風を感じられるような曲、というオーダーはありました。歌詞を書くうえでは、監督から「強い愛には引力がある」と言葉をいただいたことが大きかったです。
――素敵な言葉ですね。監督はどういう想いでその言葉を伝えたんですか。
チャンプ監督:私は、恋愛や人と人との出会いには、すべて引力が働いていると思っていて。『(LOVE SONG)』のストーリーのように、一度離れてもまた再会できるというのも引力と言って間違いないという考え方なんです。
福島:映画にもまさにその引力が描かれているのが伝わってきました。僕が映画からインスピレーションを受けた部分で言うと、〈風〉と〈海〉と〈太陽〉というワードは使いたいなと思って。だから、1番で〈風〉、2番で〈海〉と〈太陽〉が出てくる。あとは、「どうしてこんなに引き合ってしまうんだろう?」というふたりの切ない気持ちを、曲全体を通じて表現できるように意識しました。
――映画のストーリーに寄り添いつつ、Omoinotakeとして表現したいものとのバランスも考えましたか?
福島:そうですね。実際、1番がOmoinotakeらしすぎるというか、悲しくなりすぎちゃったかなとも最初は思ったんです。そこから少しずつ前を向いていく姿を描こうと思っていたんですけど、不安だったので1番ができた時に先にチェックしてもらいました。ここから明るくなりますという注釈をつけたうえで、「ちょっと暗い始まりなんですけど、これで大丈夫ですか?」って(笑)。でも、「そのままで大丈夫です」と言っていただけたのでよかったです。
――藤井さんは、歌詞を受け取った時、どんな印象を受けましたか。
藤井:先に曲を作ってから歌詞をはめ込んでいく形で作ったんですけど、内容というよりメロディにばっちりハマる歌詞だなと思いました。
――「タイの風を感じられるような曲」というリクエストについては、具体的にはどういう部分で意識したんですか?
藤井:タイの伝統楽器をいろいろ調べてみたら、船のような形の木琴みたいな楽器があって、それがすごくいい音だなと思ったんですよ。結果的にそのものの音を使ったわけではないですけど、そういう話をプロデューサーの蔦谷(好位置)さんとしながら、少し木琴っぽい音を入れてみたりしました。
チャンプ監督:ラナー・エーという楽器ですね(※1)。よく知ってます。
藤井:それです! かわいらしい音なんですよ。
――たしかに、その国っぽい音ってありますよね。冨田さんは、リズムの部分で意識した部分はありましたか?
冨田:淡々と8ビートが続いていく曲ではあるんですけど、サビと終わりにかけてどんどん壮大になっていくので、淡々としつつも、どっしりとした演奏ができたらいいなと思って叩きました。
――まさにドラマチックな展開の曲で。ストリングスの音も華やかですが、サウンド感は蔦谷さんと一緒に作っていったんですか?
藤井:サビの部分のストリングスは自分で考えた部分も多いんですが、蔦谷さんと一緒にやることによって洗練された印象があります。