FRUITS ZIPPER 松本かれん「まだ成長中だと思う」――いっぱい泣いて、楽しんで、夢を叶えた1年を語る
2023年に『第65回 日本レコード大賞』最優秀新人賞を受賞してから早2年。FRUITS ZIPPERは、掲げた目標を一つひとつ叶えていき、ついに今年『第76回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)への初出場を果たす。
驚異的なスピードで音楽シーンを駆け上がっていくなか、メンバーは日々何を感じながら活動し、どのように今を捉えているのか。リアルサウンドでは、ベビーピンク担当の松本かれんにインタビューを行い、多くのトピックに恵まれた2025年を振り返ってもらった。そこには純粋に今を楽しみながら、時に自身の現状を冷静に捉えつつ、毎日を楽しく生きていこうとする“天性のアイドル”の姿があった。(編集部)【インタビュー最後にプレゼント情報あり】
【オリジナル動画】松本かれん、2025年の自分は何点だったか
涙とともに夢を叶え続けた1年
――今年もとても忙しい1 年でした。大きなトピックで言えば、念願だったさいたまスーパーアリーナでのワンマンライブ、『第76回NHK紅白歌合戦』への初出場が決まるなど、夢を叶えた飛躍の年に思えます。
松本かれん(以下、松本):今年は超忙しい1年でした! いろんな仕事をしたり、いろんな場所でライブをしたりして。それこそ「今月はお家に全然帰れないんじゃないか?」ってぐらい各地を行ったり来たりして。スケジュール的にも忙しかったし、いっぱい泣いて忙しかったし、という感じです。
――いっぱい泣いたんですか?
松本:昔からよく泣くんですよ。緊張したら泣くし、あとはレッスンの振り入れで「できなくて悔しー!」「わからないー!」ってよく泣くのと、眠すぎて泣くこともあります。
――それは寝たら解決じゃないですか(笑)?
松本:寝れるときはいいですけど、めっちゃ眠いけど寝ちゃダメなときってあるじゃないですか。私が「うぅぅ……」となっていると、メンバーやスタッフさんに「どうしたの?」と心配されて「眠いー!」って泣いちゃうことがあります(笑)。
――そんな体力的にもハードだった2025年を振り返っていければと思います。今年の前半あたりで印象に残っていることはありますか?
松本:やっぱり3月27日の生誕祭(『FRUITS ZIPPER 松本かれん 生誕祭 2025』)が大きいです。私は自分の生誕祭が苦手なので、いちばん思い出に残ってます。
――苦手というのは?
松本:生誕祭は衣装も自分で考えるし、衣装さんをどの人にお願いするのかも自分で考えるんです。セットリストも、カバー曲を誰と歌うのかとかもそう。ほかにはグッズも決めるんです。とにかく自分で考えることがいっぱいあって、それが本当に苦手で(笑)。「これでいいのかな〜?」「わかんない〜!」と思うことがいっぱいだし、「ファンのみんなは楽しいのかな?」と不安になって、生誕祭前もいっぱい泣きました。
――本番はどうでした?
松本:めっちゃ楽しかったです! 生誕祭当日に初めて爆泣きしなかったんです。これまでは始まる前までめっちゃ泣いてたんですけど、泣かずに楽しめました。
――トラウマを乗り越えたと。
松本:そうなんですよ! 今回は雑誌『LARME』の編集長(中郡暖菜)さんが、コンセプトとか内容も一緒に考えてくれたんです。すごく安心したおかげで、泣かないで済んだ気がします。
――『LARME』と言えばグループとしてだけでなく、松本さん単独でも表紙を務められていますね。
松本:そうなんです。私が『LARME』の世界観が大好きだから、編集長が「これがいい」と言ってくれたら間違いないと思って。自信を持って自分の生誕祭を企画できました。
――5月14日には3rdシングル『KawaiiってMagic』をリリースし、5月26日付のオリコン週間シングルランキングで初登場1位を獲得(※1/オリコン調べ)されました。
松本:めっちゃ嬉しかったです。しかも、オリコンで1位になったのが初めてだったんですよ。「絶対1位になりたいんだ」とそこまで強く思っていたわけじゃないですけど、いざ1位をいただけたときは嬉しかったですし、スタッフさんがサプライズですごく大きいケーキを用意してくれて。いろんな人に祝わってもらえたから、幸せな気持ちになりました! このとき、各地でリリイベ(リリースイベント)をたくさんしたんですよ。毎週大勢のファンの人に会っていたから、みんなと一緒に1位を取れた感じがして、すごく良かったなと思いました。
――同じ月には、国内最大規模の音楽賞『MUSIC AWARDS JAPAN 2025』の授賞式に出席し、「わたしの一番かわいいところ」で「最優秀アイドルカルチャー楽曲賞」を受賞されました。このアワードはみんなが注目していましたね。
松本:それこそ1回目の開催だから、どれだけの規模なのかが最初はわかっていなくて。何かわからないけど、とりあえず「受賞できて嬉しいな!」と思ってました。
――良いことであるのは間違いないですからね。
松本:そう、きっと良いことだから嬉しい〜! って。あまり何も考えずに「なんか優勝した」みたいに思っていたんですけど、会場に行ったらすごい人たちばっかりで。みんなが知ってる有名な人たちが、たくさん表彰されてて。ちゃんみなさん、YOASOBIさん、Fujii Kazeさんとかが、生でパフォーマンスしているのを目の当たりにしたら「待って、めっちゃすごく大変な賞を受賞してるじゃん!」と思って、そこでだんだん嬉しくなりました(笑)。いや、最初から嬉しかったんですけど、あらためてすごいところにいると思って。
――会場の空気も厳かな感じで、すごかったですよね。
松本:本当にそう! 授賞式が終わってすぐ、家族にLINEしました。「この人とかあの人もいた」って。
――ご家族はどんな反応でした?
松本:家族も最初はよくわかっていなかったけど、次の日に朝のニュースとかでたくさん取り上げられていて。「待って、かれんが出てたやつじゃん! すごいんだね」ってママたちもビックリしていました。
――6月3日には、さいたまスーパーアリーナで『FRUITS ZIPPER 3rd ANNIVERSARY 超めでたいライブ-さん-』を開催されましたが、振り返ってどんなステージでしたか?
松本:目標にしていた会場に立てて嬉しかったです。でも、6月のライブはみんな悔しい気持ちになって。
――悔しさというのは?
松本:頑張ってステージを終えたんですけど、思ったより課題がたくさん残ってしまったんです。そういうことが今までなかったので、次の日にみんなで泣きながら会議をして。「じゃあ、次はこういうことをしたらいいかな」と話し合いました。その結果、8月2日と3日の追加公演はみんなに「めっちゃ良いライブだった」と褒めてもらえたから、すごく報われた気持ちになりました。
――6月21日には、ガールズファッションフェス『OKINAWA COLLECTION 2025』に出演して、松本さんとCUTIE STREETの桜庭遥花による新ユニット・PiKiの結成をサプライズで発表。最初は不安があったそうですね。
松本:ありました。ぱるたん(桜庭)よりも私の方が先輩だから、しっかりしなきゃと思っていたんですけど。想像していたよりも緊張しました。いつもいろいろやってくれてるメンバーに感謝! って思いました(笑)。
――ふふふ。メンバーのありがたみを感じつつ、もっと頑張ろうと。
松本:そう思いました。メンバーがいなくて、いろんなこと自分でやらなきゃいけないときに「ああ、まなふぃー(真中まな)助けて〜!」という気持ちになったりして。いつも側にいてくれて本当に助かるな、って思いました。
――PiKiとして音楽番組の出演や雑誌に取り上げられるなど、精力的に活動をされていましたけど、思い出に残っていることはありますか?
松本:大きな番組とかステージに立つ機会が多いから、いつもふたりですっごく緊張していて。それこそ、本番の前もあとも一緒に泣くくらい、PiKiの仕事は毎回緊張するんです。不安になっているのがお互いにわかるから、本番直前まで手を繋いで「大丈夫だよね」って支え合いながら頑張っています。
――どちらかがリードするのではなくて、二人三脚で頑張っていくスタンスなんですね。
松本:最初は私がリードした方がいいかな、と思っていたんですけど、それで困ってしまうことがあって。そうすると、ぱるたんがめっちゃ助けてくれて。「私がこれを言うから、かれんちゃんはこう言ってね」と引っ張ってくれたり、頼もしいなって思います。
――PiKiを通して成長を感じるところは?
松本:うーん、こんなに緊張するのは久しぶりだなって思うことが、PiKiでは多いんですよね。FRUITS ZIPPERでデビューしたときみたいに、未だにたくさん緊張するから、まだ「成長したな」という感じはしないですね。あと、PiKiでは苦手なことも多いんですよ。カッコいい曲をやるときに、私はデフォ(ルト)でニコニコしているから「かれんちゃん、あんまり笑わないで」と先生に注意されて「わ、笑ってないです……」ということも多くて(笑)。
――映画『8番出口』とコラボした楽曲「88888888」もクール系ですしね。
松本:そう! PiKiはニコニコでパフォーマンスするのとは違う曲とか、ちょっと怖い感じの曲もあって。そういう意味で苦手なことがいっぱいあるから、「できなかったな〜」と悔しくなることも多いんです。だけど、PiKiを続けていけばFRUITS ZIPPERみたいに、だんだんできるようになっていくはず。そしたらグループのパフォーマンスにも活かせるかもしれないな、って思います!