Official髭男dism、TOMOO、Kroi……IRORI Recordsの2025年を総まとめ 大型ライブや海外展開で存在感を示した1年
a子
今年は異なる印象のシングルをコンスタントにリリースしながら、海外のライブにも意欲を見せ始めたa子。1月にはピンクパンサレスやNewJeansも手掛けるエンジニア、ネイサン・バディのサウンドも新鮮な「朝が近い夜」、4月にはロック要素をふわっとした聴感に落とし込んだ「PAPER MOON」、7月にはTVアニメ『宇宙人ムームー』(TOKYO MXほか)第2クールのオープニング主題歌として書き下ろした懐かしさが混じるダンスポップ「MOVE MOVE」、10月には妖美さもあるアーバンチューン「モナリザ」をリリースした。
多彩な新曲も交え、10月には過去最大キャパの会場、そしてワンマン初の台北公演を含む『a子 LIVE TOUR 2025 “ Odyssey”』を開催。海外にも自身の音楽を広める意欲は前出の『The Great Escape 2025』での経験が大きかったようだ。なお、2026年6月からは全国5都市を巡るツアー『a子 LIVE TOUR 2026 “JUNO”』がスタートする。
Homecomings
対バンやゲストを迎えたツアーで世代やジャンルを超え、Homecomingsの存在感を示した2025年。3月には地元京都で4年ぶりに羊文学との対バンライブを開催。7月には大阪にNo BusesとLAUSBUB、名古屋にMASS OF THE FERMENTING DREGSとdownt、東京にART-SCHOOLと雪国を迎える東名阪のCLUB QUATTROツアー 『many shapes, many echoes』を実施し、彼らのルーツや音楽性の幅も体感させてくれた。新曲のリリースは6thアルバム『see you, frail angel. sea adore you.』以降初のシングルとなる「any day now」が、『ミスタードーナツ 桜もちっとドーナツ「もっと、もちもちしていたい」篇』CMソングに起用され、新しいリスナーに届くきっかけに。また、7月リリース「every brearh」のレコーディングにはドラムにライブのサポートもしているThe Novembersの吉木諒祐が参加。Homecomingsの今のシューゲイズサウンドを担っている。
そして12月18日に東京・EX THEATER ROPPONGIで開催したワンマンライブ『the aquarium of illumination and night glare』をもってベースの福田穂那美が卒業。新体制で行う全国ツアー『I’m not ok. you’re not ok. and that’s ok.』が2026年2月からスタートし、全国9都市でライブが行われる。
スカート
2010年に自主レーベル「カチュカ・サウンズ」から1stアルバム『エス・オー・エス』をリリースし、今年CDデビュー15周年を迎えたスカート。2025年は5年3年ぶりとなるアルバム『スペシャル』をリリースしたことが最大のニュースだろう。長く活動をともにしてきたバンドとの1stアルバムの趣きもあるとインタビューで話しているように、有機的なアンサンブルによるバンドサウンドが印象的なアルバムとなっている。タイトルチューンである「スペシャル」はSmooth Aceの重住ひろこがコーラスアレンジを担当し、親交の深い柴田聡子がコーラスに参加。「ひとつ欠けただけ」では、重住に加えレーベルメイトでもあるHomecomingsの畳野彩加がコーラスに参加している。 本作を携え、6月にはバンドツアーと弾き語りツアーも実施した。
さらに7月には早くもTVアニメ『ふたりソロキャンプ』(TOKYO MX ほか)OPテーマとして書き下ろしたリラクシーでメロウな新曲「灯りは遠く」をリリース。そして1年を締めくくるように12月14日に過去最大キャパとなるZepp Shinjukuで、ワンマンライブ『超ウルトラハイパーウキウキスペシャル優勝パレード2025』をホーン隊やコーラスも加えたバンド編成で行い、ゲストにはコラボレーションや楽曲提供でゆかりのあるPUNPEE、三浦透子、DJとしてtofubeatsを迎えた。
阿部真央
1月にデビュー15周年の締めくくりとなるライブを東京ガーデンシアターで行い、その模様を収めたライブ映像作品『阿部真央らいぶ2025 -15th Anniversary- @東京ガーデンシアター』を8月にリリースした阿部真央。6月には神奈川、大阪、東京でビルボードライブを開催し、宇多田ヒカルの「Automatic」のカバーも披露した。さらに10月からはバンド編成で全国5都市を巡るホールツアー、11月からはアコースティック編成で全国7都市をまわるツアーを開催。リリースでは松下由樹主演の『ディアマイベイビー〜私があなたを支配するまで〜』(テレビ東京系)エンディングテーマとして書き下ろした「マリア」が、ドラマの進行とともに理解が深まっていく有機的な繋がりを見せ、ボーカル表現の深度とともに話題となった。
また、「THE FIRST TAKE」にて既存曲「貴方の恋人になりたいのです」のバンドバージョン、「ストーカーの唄〜3丁目、貴方の家〜」の弾き語りバージョンを披露し、のちに配信リリースも実現。新曲「Ding-dong」はTVアニメ『透明男と人間女〜そのうち夫婦になるふたり〜』(TOKYO MX ほか)のオープニング主題歌となっており、1月からの放映にも期待したい。
S.A.R.
1月10日に行った東京・WWW XでのワンマンライブでIRORI Recordsからメジャーデビューすることを発表したS.A.R.。1月に1stEPの先行配信シングルとして「Side by Side」をリリースし、4月に1stEP『202』でメジャーデビューを果たした。5月には同作を携え、自身最大規模のツアー『202 : traveling without moving』を大阪と東京で実施。さらに9月、10月に行った初の対バンツアー『Champion Sound』ではゲストに優河やSkaai、Black petrolを迎え、意外性と共通項のユニークさで音楽ファンを歓喜させた。
また、早くも10月には新曲「MOON」をリリース。初のドラマタイアップとなる楽曲で、ドラマプレミア23『シナントロープ』(テレビ東京系)エンディングテーマに起用された。このドラマはアニメ『オッドタクシー』(テレビ東京系)で注目を集めた此元和津也が原作・脚本を手掛け、水上恒司と山田杏奈がW主演を務める、まだ何者でもない若者たちによる青春群像ミステリー。オートチューンのかかったsantaのボーカルや細部にこだわった構成が新鮮で、得意とするオフビートなノリをドラマにも寄り添わせた意欲作だ。来春、メジャー1stアルバムをリリースし、5月から6月にかけて東京・Zepp Shinjukuを含む初の全国ワンマンツアーを開催する。
■各サイト一覧
Replay of IRORI Records 2025:https://lnk.to/IRORI_Records_2025