μ's『紅白』出場から10年ーー『ラブライブ!』が起こした社会現象、“好き”と“熱”が持続する理由
“みんなで叶える物語”は続く――熱が連鎖する『ラブライブ!』15年目の現在
こうしたAqoursの軌跡もあり、μ'sが作り出した『ラブライブ!』は、“シリーズ”となった。そして、彼女たちに魅せられた人々が後に続き、シリーズに新しい色を足している。『ラブライブ!』における、ソロ活動の可能性を切り拓いた虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会。一般公募で募ったメンバーを加え、“叶える”という行為をより身近なものにしたLiella!。3Dモデルを用いてバーチャルとリアルを連動させる蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ。SNSを中心にリアル連動を図るいきづらい部!。現在では、主にこの4シリーズが、それぞれの強みを活かしながら『ラブライブ!シリーズ』に新たな可能性をもたらし、間口を広げ続けてくれている。
近年では、外の世界に対する発信にもより力が注がれている。その最前線に立つのがLiella!だろう。シリーズ随一の高いパフォーマンス力を活かしたメディア露出の多さは、シリーズでも屈指のものとなっている。『FNS歌謡祭』(フジテレビ系)には2021年から2023年まで3年連続で出演し、2024年には『FNS後夜祭』に登場。2025年4月から5月には、地上波初の冠番組『Liella!のちゅーとりえら!!』(日本テレビ系)が放送された。直近では、音楽番組『Venue101』(NHK総合)に、2025年10月、11月と2カ月連続で虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会とLiella!が出演している。
シリーズ全体としては、『大阪・関西万博』で開催された『U-NEXT MUSIC FES』に、μ'sからいきづらい部!までの全6シリーズが参加。3日目を丸ごとジャックし、『ラブライブ!』の単独フェス『U-NEXT MUSIC FES LoveLive! Series EXPO 2025 STAGE 〜Right now!〜』を行った。あの日、さまざまなジャンルの最前線を走る“トップアーティスト”の一員として、『ラブライブ!シリーズ』が出演できたのは、各シリーズの活躍と、それを取り巻く人々の熱意があってこそだろう。加えて、2025年に巻き起こったAiSCream「愛♡スクリ〜ム!」の世界的ヒットも欠かせない。有線で彼女たちの声を聴かない日はないし、ショート動画SNSをスクロールすれば、愛を叫ぶ人に必ず出会う。テレビや外部イベントにも引っ張りだこだった2025年は、恐らく、ここ数年で最も『ラブライブ!』の名が飛び交った年だったと言えるのではないだろうか。
μ'sの活動開始から15年もの月日が経った。今もなお『ラブライブ!』の火は強く燃え続け、人々の心を打ち続けている。その理由を、あえてひとつに絞って挙げるとしたら、コンテンツとファンが持つ“熱”だと考える。『ラブライブ!』を愛し、それを体現するキャスト。彼女たちが届ける熱に、最大限の“好き”で応えるファン。コンテンツから生まれた熱と、それを受け取ったファンの熱が相乗効果を生み、『ラブライブ!シリーズ』の世界は広がり続けていく。だからこそ、この場所に身を置いていると、胸の奥が熱に満たされ、どこまでも走り続けられるような感覚を覚えるのだ。
『ラブライブ!シリーズ』はコンテンツコンセプトとして、“みんなで叶える物語”を掲げてきた。そんな物語は、“夢”と“好き”の数だけ今も生まれ続けている。そして、叶えたい夢が生まれる限り、これからもスクールアイドルは歌い続けるだろう。
※1:https://x.com/nittaemi85/status/1955549265041985786
※2:https://www.oricon.co.jp/news/2128379/full/
※3:https://gamebiz.jp/news/399054