アンジュルムが更新するスマイレージからの物語 歴代アンセムと新曲が描く9人のスタートライン

 9月からスタートしたライブハウスツアー『アンジュルム ライブツアー 2025秋 ~Keep Your Smile!~』。その千秋楽となる『アンジュルム 2025 autumn 「Keep Your Smile!」 final』が、11月30日に東京・日本武道館で開催された。

 スマイレージ時代から続く“ライブハウスツアー”の歴史を踏まえ、“初心に帰って個々の技術や表現を磨こう”というコンセプトのもと全国を回ってきた今回のツアー。アンジュルムの円陣でおなじみの掛け声「Keep Your Smile!」をタイトルに掲げ、“しんどい時でも笑顔を絶やさずに頑張ろうよ!”というメッセージを胸に走り抜けてきたツアーの締めくくりは、最新アルバム『Keep Your Smile!』の新曲群と歴代の代表曲を織り交ぜながら、現在地までの軌跡と9人で踏み出す新たなスタートライン、そしてファンへの感謝を刻み込む全24曲で構成されていた。

 この日はまず、オープニングアクトとしてロージークロニクルが登場し、フレッシュなパフォーマンスで会場の空気をあたためる。その余韻を引き継ぐように、場内の照明が落ち、スクリーンにはツアータイトルを冠したVTRが映し出される。「Keep Your Smile!」と力強く呼びかけるナレーションに合わせて、フロアのペンライトが一斉に揺れた。

 ステージ上にせり上がったのは、天使をモチーフにしたという純白の新衣装に身を包んだ9人。メンバーが一人ずつポップアップで現れ、歓声が武道館の天井へと突き抜けていく演出は、グループ名の由来にもある“天使”というイメージを、2025年のアンジュルムとしてアップデートしてみせるオープニングだった。続く「愛すべきべき Human Life」では、その清廉な世界観のままに緻密なフォーメーションと表情で魅せ、ツアーファイナルの幕開けにふさわしい、気迫のこもったステージングで一気に会場の視線を引き寄せていった。「出すぎた杭は打たれない」「乙女の逆襲」と、序盤から攻めのナンバーを畳みかけ、ラストは11月12日にリリースされたばかりのニューアルバム『Keep Your Smile!』収録の「トラブルメーカー」。鋭いビートに合わせて、メンバーの表情もどこか挑戦的に変化していく。

 そのあとのブロックは、まさにその言葉通り戦いのような気迫に満ちていた。『Keep Your Smile!』からの「FAST PASS」で再びギアを上げると、「明晩、ギャラクシー劇場で」「ぶっ壊したい」と畳みかける。バンドサウンド寄りの荒々しさと、キレのあるダンスが重なり合うことで、会場の熱量は一気に臨界点へ。「愛されルート A or B?」では、キュートさとしたたかさが同居したアンジュルムらしい恋愛ソングの世界観を、余裕のある表情で描き出す。その流れを引き継ぐ形で初披露されたのが、ニューアルバム収録曲「右ななめ後ろから」だ。タイトル通り、視点のズレや距離感を遊ぶような歌詞に合わせて、フォーメーションも立体的に組まれていく。メンバーがステージのあちこちから視線を投げかけるたび、客席のペンライトが波打つように揺れ、彼女たちがライブハウスで磨いてきた間合いの取り方を、アリーナ規模の空間でもきっちり保てていることが伝わってくるシーンだった。

 中盤のメドレーでは、9人それぞれの個性がよりくっきりと浮かび上がる。伊勢鈴蘭、松本わかな、下井谷幸穂、後藤花、長野桃羽の5人が登場したのは「自転車チリリン」と「黄色い自転車とサンドウィッチ」。日常のワンシーンを切り取ったようなポップソングで、メンバーがステージ上を縦横無尽に駆け回るカラフルな衣装も相まって、ライブハウスツアーで培った距離の近さが、武道館の広いフロアにそのまま拡張されたようだった。

 続いてステージに現れた為永幸音、橋迫鈴、川名凜、平山遊季は、「新・日本のすすめ!」「寒いね。」を披露。対照的な2曲を、表情と声色で切り替えながら魅せていく。特に「寒いね。」では、メンバー一人ひとりが歌詞の情景を丁寧にすくい上げ、スクリーンに映る表情のアップからも、楽曲に込めた感情の深さが伝わってきた。メドレーが終わる頃には、9人のキャラクターと声のバランスが、現在のアンジュルムの武器としてしっかり機能していることをあらためて確認させられた。

 後半戦は、さらに息つく暇のない構成だ。「プリーズ ミニスカ ポストウーマン!」で会場のテンションを一気に跳ね上げると、「私、ちょいとカワイイ裏番長」「Survive~生きてく為に夢を見んだ」「赤いイヤホン」「アイノケダモノ」と、激しいダンスナンバーを休みなく連投していく。「限りあるMoment」では、儚さと力強さが同居する歌詞とメロディに、9人の表情がぴたりと重なる。続く「大器晩成」は、言わずと知れたグループの代表曲。サビで客席から大合唱が巻き起こる光景は、スマイレージ時代から続いてきた歴史が、今の9人へと確かに受け継がれていることを象徴していた。

 本編ラストの「友よ」では、中央のステージをめいっぱい使ったパフォーマンスが印象的だった。円になって肩を組みながら歌うシーンでは、メンバー同士の視線が何度も交錯する。そのたびに、客席から自然とクラップが生まれ、ステージとフロアが一体になっていく。笑顔も涙もひっくるめて受け止め合うようなこの曲が、本編最後を飾ることに大きな意味を感じたファンも多かったはずだ。

 アンコールに応えて再びステージに姿を見せた9人は、スパンコール生地がまばゆく光る紫の新衣装で登場。ここで披露されたのが、ニューアルバムからの新曲「プリズンブレイカー」だ。鋭いサウンドとタイトなダンスが特徴的なナンバーで、9人は再び攻撃的なモードへと一気に切り替わる。曲名が示す通り、あらゆる枠を壊して前へ進もうとする決意を、身体ごとぶつけるようなパフォーマンスだった。

 そのアンコールMCで、橋迫は「もう頭と最後2つしかMCがなくって、かなり体力勝負だった」と笑い混じりに振り返る。実際、この日のセットリストはMCを極力削り、ほぼノンストップで24曲を駆け抜ける攻めの構成だった。戦うという言葉が似合うほど、自分たちのポテンシャルをライブで証明しようとする意思が強く感じられる。

 伊勢は最後の挨拶で、「今日の時間はみんなで全力になれて、みんなで本当に戦ったと思っているから、この9人の始まりとしては、本当にすごくいい第1歩を踏めたんじゃないかなって」と語った。長くグループを支えてきたメンバーとしての誇りと、ここからまた新たなページを開いていく覚悟。そのどちらもがこもった言葉に、客席から大きな拍手が送られる。ラストは「THANK YOU, HELLO GOOD BYE」「スキちゃん」と、アンジュルムらしい多幸感あふれる2曲で締めくくり。メンバーはステージの端から端まで駆け回り、最後の一人がステージを去る瞬間まで、客席に向かって笑顔と手を振り続けた。

 “しんどい時でも笑顔を絶やさずに頑張ろう”という意味が込められた「Keep Your Smile!」という言葉。そのフレーズをタイトルに掲げたツアーの千秋楽は、スマイレージから受け継いできた歴史を抱えながらも、今の9人が自分たちのやり方で、新しい一歩を踏み出した夜だった。これから彼女たちがどんな笑顔と闘志を見せてくれるのか。その続きを、またライブ会場で確かめたくなる公演だった。

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