THE RAMPAGE RIKU、一生歌い続けるシンガーとしての覚悟 ありのままに音楽と向き合う真摯な姿勢
THE RAMPAGEのボーカリスト・RIKUが、自身初となるBillboard Liveツアー『RIKUのMUSIC TIMES Billboard Live Tour』を開催した。特別なステージに向け、彼がファンへの“クリスマスプレゼント”として用意したのは、新曲「This is me 〜約束の詩〜」だった。作詞を盟友・和田昌哉に託し、ありのままの自分を投影したという本作には並々ならぬ覚悟が込められている。インタビューでは、楽曲制作の裏側やツアーへの意気込み、そして「時間がかかるやつは修羅の道を選ぶしかない」と語る彼の真意に迫った。(編集部)
RIKUを知り尽くしている和田昌哉が書く、人間臭い歌詞
――『RIKUのMUSIC TIMES Billboard Live Tour』は、いつ頃から見え始めたのでしょうか。
RIKU:発表の1カ月くらい前に、マネージャーさんから急に電話が来て、「RIKUくん、Billboardって興味ある?」って言われて、「いや、聖地じゃないですか!」と返したのが最初でしたね。
――そのころから、何か楽曲を出そうというのは考えていましたか?
RIKU:ソロのオリジナル楽曲は数に限りがあるので、ライブではやはりカバー曲も入れなきゃいけないだろうと思っていたんです。どういうライブにしたいか考えていくうちに、やはりRIKU名義での楽曲を出したいなと考え始めました。今回は初めてソロでしっかりと回れるツアーだし、しかも会場は憧れていたBillboard。そうなると、お客様には何か早めのクリスマスプレゼントのようなものを贈りたいなと思って。そこで、自分らしく表現できる楽曲を作ろうと思いました。ソロ楽曲なので僕個人として伝えたいメッセージをより届けたくて、今回は詞を書くというより、手紙を書く感覚でバーッと書き下ろして、いつもお世話になっている和田昌哉さんに作詞をしていただきました。
――2022年リリースの「Stand by you」の作詞にも和田さんが関わっていらっしゃいましたね。
RIKU:そうですね。他にも、THE RAMPAGEの「Can't Say Goodbye」「MY PRAYER」や、雄飛(THE JET BOY BANGERZ)とのコラボ楽曲の「I Sing」など、たくさんの楽曲を手掛けていただいています。他にもたくさんの素敵な作家さんにお世話になっていますが、和田さんとはたまたま誕生日が一緒だったりして、個人的にすごく特別な縁を感じているんです。だから個人的なプロジェクトを進めるときには、和田さんが真っ先に頭に浮かんで、今回もお願いしたところ快く引き受けていただきました。
――「This is me 〜約束の詩〜」を聴いたとき、ピアノで弾き語りをしているRIKUさんが目に浮かびました。曲調はどんな風にリクエストしたのでしょうか。
RIKU:ポップスからアップテンポ、ミドル、バラードなど色々なタイプの楽曲をサンプリングしつつ、伝えたいメッセージや使いたい言葉をまとめました。それらを伝えたところ、まさにドンピシャな楽曲を作っていただけて。このスピード感とクオリティは、和田さんが僕の音楽の趣味や性格も含めて、深く理解してくださっているからこそだと思っています。
――具体的にはどういう楽曲を取り入れて昇華したいと思ったのですか?
RIKU:元々R&Bやポップスが好きなんですけど、最近はジャンルレスで、歌詞の内容が人間臭いものに惹かれていて、バンドミュージックをよく聴きますね。あと個人的にはディズニーが好きなので、ディズニーヒッツのアルバムを聴いたり。ファンタジー感も現実味もありつつ、ちょっと人間臭い。そういう楽曲が最近は好きです。
――今回の楽曲も、歌詞は現実的ですが、空の広がる感じやキラキラした音使いなどにはファンタジー要素を感じますね。
RIKU:そうですね。そういったイメージが伝わるよう、メロディーラインやフローを歌うことは意識しました。あと日本のリスナーの方が多いので、ロマンティックな比喩表現も入れつつ、ズバッと突き刺さるような歌詞にしているというのもポイントですね。
――RIKUさんから和田さんにお伝えしたワードはどういったものでしたか?
RIKU:あ、ちょうどメモが残ってます。「僕が誇れる僕になりたい」とか「苦難、困難でさえも幸せの欠片なんだと思えたら、ちょっとだけ笑顔になれる気がする、ちょっとだけ優しくなれる気がする」とか。辛くて苦しいことも自分を作るピースであることは間違いないし、これから降り注ぐ幸せの伏線になっているかもしれない。その辛い時間すらもいつか愛せたら、きっと自分を誇らしく思えるんじゃないかなって。そういう日々感じていたことを歌詞にはしっかり反映していただきました。
求められるものと、やるべきことの間で
――去年発売されたフォト&ワード集『RIKU365』を作る際に、自分と向き合った過程も今回作詞に携わる上でヒントになりましたか?
RIKU:『RIKU365』は昨年の2月に制作したんですが、当時自分は29歳で、20代の締めくくりと30代のスタートが控えていたこともあり、自分を見つめ直すいいタイミングでした。よく「男は30から」と言われますよね。そんな言葉も頭にありつつ、グループの一員として今の自分に何ができるのか、ファンの皆さんは何を求めているのか、そして“求められるもの”と“自分たちがやるべきこと”のバランスをどう取るのか。そんなことを考える時間が多かったと思います。葛藤と言ったら大げさですが、あるべき自分の姿と本来の自分のギャップは『RIKU365』を作る上ですごく感じました。
――そういった悩みは、作品を作ることによって昇華できる部分もきっとありますよね。
RIKU:それは表現者の特権なのかもしれないですね。強い意思を伝えたくて選んだ言葉も、聞く人によっては高圧的に感じてしまうかもしれない。でも音楽や作品を通せば、素直に聞けることもあると思うんです。だからこそ、THE RAMPAGEではもちろん、ソロで一人のシンガーとして発信していくときは、できるだけ自分の素直な気持ちをしっかり音に乗せて届けるべきだと思っています。
――そう考えると、今回の楽曲を自分で作詞せず、和田さんに託したのはなぜなのでしょうか?
RIKU:今回はあえて「自分で書きたい」と言いませんでした。というのも、自分で書くとどうしても主観が強くなりすぎてしまう気がしたので、自分の気持ちはありつつも、あくまで音楽として成立する言葉にしたかったんです。そして、きっと同じ気持ちを抱いている人が他にもいるはずだからこそ、第三者の視点で書いてほしかった。たとえば僕が「僕は嬉しい」と書くより、「RIKUが嬉しいと感じている」という状態を、第三者の言葉で表現してもらった方が、ファンの方以外にも共感してもらえるのかなと。そういうこともあって、今回はあえて和田さんにお願いしました。
――実際にできあがった歌詞を読んでどう感じましたか? 特に刺さったフレーズはありましたか?
RIKU:どれもよくて、ちょっと食らっちゃってるんですよね(笑)。2番のBメロの〈そうLife is... 込み上げる その喜びも Because love is... 胸に隠してる 癒えぬ悲しみも 愛すこと〉は、まさに人生そのものだと思うし、Dメロの〈誰かの光にまぎれなくていい僕のままで揺るがず生きていく〉は本当に僕からのメッセージですね。同じように悩みを抱えた人が「自分のままでいいんだ」って自己を肯定することにも繋がったらいいなと思うし、自分自身もレコーディングで歌っていて勇気づけられました。
――終盤まで〈僕の道を照らすよ〉と歌っていたのが、ラストでは〈君の勇気を讃える〉と、僕から君へフォーカスが変化していくのも印象的でした。
RIKU:この曲はもちろん僕のために歌っている部分もあるけど、やっぱり音楽は聴く人のためにあるものじゃないですか。性別や人種を問わず色々な人がいる中で、「あなたはあなたでいい」っていうことを言いたかったんです。だから最後は“僕の”というよりは“君の”に変えました。
――レコーディングで、特にテクニカルな面が出たなと思う部分はどこですか?
RIKU:今回はテクニック一切なしでございます(笑)。変にコーラスなどは一切入れてません。レコーディングも、僕が「これだ」と思うテイクが録れたら次へ進むというスタイルだったので、本当に短時間で終わりました。事前にめちゃくちゃ練習して万全に仕上げておいて、あとはトラックに身を委ねて歌いました。いい意味でカッコつけず、ストレスフリーに歌ったものがあの音源の形になったという感じです。