高嶺のなでしこ、走り続けたからこそ見えた景色ーー『見上げるたびに、恋をする。』に刻まれた“物語”

 クリエイターユニット・HoneyWorksがサウンドプロデュースを手掛ける9人組アイドルグループ・高嶺のなでしこ(以下、たかねこ)が、メジャー1stアルバム『見上げるたびに、恋をする。』をリリースした。今年も各地のアイドルフェスで存在感を発揮し、海外公演や『THE FIRST TAKE』出演などでも注目を集めたほか、5曲連続配信リリースを経て挑んだグループ史上最大規模となる千葉・幕張イベントホールでのワンマンライブも成功させた“たかねこ”の、メジャーデビューからのベスト盤ともいえるアルバムを深掘りしていく。(ATSUSHI OINUMA)

濃密な経験が自信に変わった1年、個々の挑戦が重なり合った成長の手応え

ーー今年は皆さんにとって、“変化”と“挑戦”の1年だったのではないでしょうか。まずは、2025年がどんな1年だったか教えてもらえますか?

籾山ひめり(以下、籾山):2025年はファンの皆さんと一緒にライブを作り上げてきた1年、という印象が強いです。2月に東京・国立代々木競技場 第二体育館でワンマンライブをやらせていただいたところから、9月の幕張イベントホールでのワンマンライブに向けた準備を始めて、一丸となって駆け抜けた1年だったと思います。5曲連続配信リリースの際には、それぞれの楽曲をどのように届けたらいいか、など裏側ではみんなで色々なことを考えながら幕張でのライブに向かっていました。動員など不安な部分もありましたが、ファンの皆さんの力もお借りして大成功させることができてホッとした1年でもありましたね。

ーーキャプテンとしてはプレッシャーもあったでしょうから、「ホッとした」というのがリアルな感想なのかもしれないですね。

籾山:そうですね。でも、今回アルバムをリリースさせていただいて、年明けからはまたツアーが始まるので、2026年はさらに気合いを入れて、もっと自分たちの魅力を見つけてお届けしていかなくてはいけないなと思っています。

籾山ひめり

ーーそれぞれ印象に残ったライブや活動があったと思いますので、お一人ずつ2025年を振り返っていただけますか?

松本ももな(以下、松本):2025年は特に濃い1年だったなと感じています。代々木第二体育館のライブや5曲連続配信リリース、さらに海外公演もあって、幕張イベントホール、1stアルバムリリース……と本当に濃かったなと思います。今までで一番大きな会場である幕張を無事に成功させることができたので、ファンの方に支えられた1年でしたし、メンバー同士の絆もより深まった年だったなと思います。

ーー松本さんはファッション関連など個人のお仕事も増えた1年だったと思いますが、いかがですか?

松本:今年はモデルのお仕事にも力を入れていて、憧れだったカラコンのモデルを担当させていただいたほか、いつも使っているヘアアイロンのイメージモデルも担当させていただきました。雑誌にもたくさん出させていただき、活動の幅がさらに広がったので、この流れを2026年にも繋いでいけるように、そして、私をきっかけにたかねこをもっと知ってもらえるように頑張っていきたいと思います。

松本ももな

ーー葉月さん、城月さんにとっては、どんな1年でしたか?

葉月紗蘭(以下、葉月):個人的には、2025年はデビューからの2年間以上に色々なことを考える1年だったなと思っています。でも、それはネガティブな考え事ではなく、自分が成長するために、ファンの方にもっと楽しんでもらうために……というポジティブなことをたくさん考える1年でした。最初の2年は初めてのことだらけだったので、てんやわんやで自分で考えて行動することがなかなかできなかったのですが、特に幕張までの1カ月間は、「歌ってみた動画」をTikTokに2日に1本投稿するなど、ファンの皆さんに楽しんでもらえるようにと自分の頭で考えて行動していました。

城月菜央(以下、城月):本当にありがたいことに、今年もスケジュールがパンパンで全国ツアーや代々木第二体育館でのワンマンライブなどずっと充実していて。この充実さを手放したくないという思いで、未来に繋いでいけるよう頑張ろうと思った1年でした。自分的にはこれまでステージで真顔な瞬間が多かったこともあり、ステージをより楽しめるようにと意識した1年でもあったので、自分で自分を褒めてあげたいなと思います。

葉月紗蘭
城月菜央

ーーメンバーの皆さんそれぞれができることを自分自身で考え、目標である幕張に一丸となって向かっていったことがよく伝わってきました。今年も相当な数のフェスやイベントに出演されたと思うのですが、年間のライブ数はカウントしていますか?

籾山:特にカウントしていなかったのですが、ほかのアイドルさんとお話しした時に、たかねこはかなりライブ本数が多いのかも? と感じました。特に、夏はフェスやイベントが多いので、8月だけで20本くらいライブをしていたと思います。今はアルバムのリリースイベント期間中なので対バンライブは少ないですが、夏は多くのアイドルフェスに出させていただきました。個人的には『TOKYO IDOL FESTIVAL 2025』に3日間出演させていただいたので、皆勤賞だなと思って嬉しかったです(笑)。

ーーそして、そんな充実した1年を経て、いよいよ12月17日にメジャー1stアルバム『見上げるたびに、恋をする。』がリリースされます。まずは、タイトルにどのような思いが込められているのかを教えてください。

籾山:今回の『見上げるたびに、恋をする。』は、色々な受け取り方ができるタイトルになっています。HoneyWorksさんからは「自由に解釈していいよ」と言っていただいたので、アイドルである私たちからすると、ファンの皆さんがステージを見上げるたびに「この子素敵だな」とときめいてほしいという意味が込められていると受け取りました。アルバムを手に取ってくださる方たちには、生活の中での好きな人やそれこそ推しに思う気持ちを重ねてもらえたらいいなと思っています。

城月:帰り道に空を見上げながら、好きな人を思い浮かべるような青春感がHoneyWorksさんらしく、たかねこらしいなとも感じています。

ーーライブでお馴染みの「Overture」から始まるところが新鮮でしたし、全16曲ということで、とても聴き応えのあるアルバム(CD)になっていますね。

松本:私も「Overture」が入ると聞いてびっくりしましたけど、とても嬉しかったです。たかねこの「Overture」が好きだと言ってくださるファンの方も多いので、ライブを想像しながら、アルバムを聴いてもらえたら嬉しいです。

葉月:私が小学生の頃にはもうスマホで音楽を聴くことが主流になっていたので、CDはあまり買ったことがなかったのですが、それでもやっぱり自分が好きなアーティストさんのCDは欲しくなりますよね。デジタル媒体が主流な時代だからこそ、CDは形としても“思い出に残るもの”だと思うので、ぜひ1枚手にしていただけたら嬉しいなと思います。

1st ALBUM「見上げるたびに、恋をする。」All Songs Trailer

ーー現在はリリースイベント期間中だと思いますが、毎週末のようにリリイベを実施していると、いよいよアルバムが出るのだなと皆さんも気持ちが高まるものですか?

籾山:リリイベは何度も開催させていただいていますが、やっぱりアルバムとなると私たちも気合いが入ります。楽しみにしてくれているファンの方の声を直接聞けるのって、本当に嬉しいんですよ。フリーライブは小さなお子さんやお買い物に来ている方などにも観てもらえる貴重なチャンスなので、いつも応援してくださっているファンの皆さんに楽しんでもらうのはもちろんのこと、通りすがりの方たちにも興味を持ってもらえるようにセットリストなども考えて臨んでいます。

葉月:ショッピングモールなどでたまたま観て気になって、そのままミニライブ後の握手会に参加してくださる方もいたりするので、新たな出会いもあってとても嬉しいです。ファンの方の中には、たとえば「仙台から来ました」という人や「今から飛行機で帰ります」という人もいたりして、とても愛されているということを実感できるので、リリイベはとても楽しみなイベントのひとつです。

城月:ミニライブからの握手会、という流れを楽しみにしてくださっている方も多く、1日が充実して満足感があるイベントなので、色々な方に体験していただけたらなと思っています。以前とある企画で、ももなん(松本)が保育園の先生をしたことがあるのですが、その時の園児たちがリリイベに来てくれて、「ももな先生ー!」と叫んでいたのが可愛くてとても印象に残っています。

ーー松本さん、ぜひそのエピソードを教えてください。

松本:お仕事で「1日保育士体験」をやらせていただいた時の園児のみんなが、昨年のリリイベにお母さんたちと来てくれたのですが、1年越しに「ももな先生!」とたくさん名前を呼んでもらえたことがとても嬉しかったです。ライブ後の握手会にも参加してくれて「ももな先生、小学1年生になったよ」と教えてくれて、可愛くてとても癒されましたし、ファンの皆さんも微笑ましく見守ってくれていました。

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