藤原ヒロシの韓国レーベル加入から、IUの特別パフォーマンス映像まで――韓国トレンドレポート 2025年11月号
BLACKPINKのJENNIE、韓国語フォント「ZEN SERIF」を公開
“ハングルの日”を迎えた10月9日、BLACKPINKのJENNIEが自身の名義による韓国語フォント「ZEN SERIF」を公開し、無料ダウンロード提供を開始した。ハングルの日は、世宗大王が1446年にハングルを頒布したことを記念する日で、韓国では文字文化を称えるさまざまな企画が毎年行われる。
JENNIEによる「ZEN SERIF」はJENNIEがプロのタイポグラファーらと共同開発した書体で、伝統的な東洋の書体美と現代的なセリフ字体を調和させたユニークなデザインが特徴。装飾を抑えた柔らかな曲線のフォルムに、西洋のブラックレター風のエッセンスを取り入れつつ、ハングル固有の音声的な精密さと視覚的バランスを表現している。伝統とモダンが調和した形で、韓国語だけでなくグローバルなデザイン用途にも馴染むように工夫された。 OAエンターテインメントは、「世宗大王が誰もが読み書きを習得できるようハングルを創製したように、ジェニーもその精神を受け継ぎ、グローバルなファンへハングルの美学と価値を伝えようとした」とコメント。
本フォントはOA Entertainment公式サイトで誰でも自由にダウンロードでき、さらにMeta社の動画編集アプリ『Edit』にも収録。同アプリ初のハングルフォントとして全世界に配信された。これはK-POPアーティスト発のフォントがSNSツールに公式採用される初のケースであり、韓国文化を世界に発信する新たな試みといえる。
IU「스물셋」10周年を迎えてパフォーマンスビデオ公開
IUは初のセルフプロデュース作『CHAT-SHIRE』のリリース10周年を迎えた2025年10月23日午後10時23分に、収録曲「스물셋」(「23歳」)の未公開パフォーマンス映像をサプライズ公開した。公開に際し「心を込めて踏ん張る者は結局勝つ」「『CHAT-SHIRE』10周年を記念してこの映像を贈ります」とコメント(※1)。リリースから10年の歳月を経て披露された映像は、アーティストとして成長を遂げたIUが節目の年にファンへ贈る感動的なプレゼントとなった。
IUが23歳(韓国歳)でリリースしたこの曲は、彼女のキャリアにおいて重要な転機となった作品である。当時“国民の妹”と呼ばれていた彼女が、大人への揺らぎや葛藤をウィットに富んだ歌詞とエレクトロポップで表現し、大胆な変化を印象づけた。ユーモラスに自己探求を描いた歌詞は、同世代の共感を呼び、大ヒット。議論さえ糧に変えたIUの強さと表現者としての成長を物語る代表曲となった。この時期に確立した彼女の独自性は、その後『Palette』などで自らを描いていくことに繋がる。
楽曲「「스물셋」は、時を経てもK-POPシーンで愛され続け、後輩アーティストによるカバーも相次いでいる。明るいメロディに複雑な内面を重ねたスタイルは普遍的で、20代前半の不安と模索というテーマは世代を超えて響くからだろう。今年もfromis_9のジホンやITZYのYUNAがそれぞれコンサートやファンミーティングで「스물셋」を披露。多くの後輩に影響を与え続ける存在に成長したIUは、もはや歌手、作家、俳優として揺るぎない存在であり、ここから10年後の彼女にも自然と期待が寄せられる。
※1:https://www.youtube.com/watch?v=BkLKEsh6tZU