FM802主催『MINAMI WHEEL』「ASIAN WAVES」での賑やかな交流 9組のアジアアーティストによる必見パフォーマンス

土井コマキのアジア音楽探訪 Vol.20

 FM802主催ライブサーキット『MINAMI WHEEL』(以下、ミナミホイール)にてここ数年盛り上がりを見せている、アジアのミュージシャンによるライブショーケース「ASIAN WAVES」。今年は、文化庁特別協力企画として、アジア各国の音楽フェスの主催者をデリゲイツとして招待した「ASIAN WAVES CONFERENCE & PARTY」が開催されました。お寺の畳の座敷で行われたアジアのミュージックシーンにまつわるトークセッションと、アジアの音楽関係者との交流会。ミナミホイールに出演する全アーティストにお声がけをし、海外進出を目指すアーティストや、インターナショナルな活動を視野に入れている日本の音楽関係者が集まって、賑やかな交流が繰り広げられました。

 参加してくれたデリゲイツは、次のとおり。

・Asian Pop Festival(Korea)…Kim Daewoo(キム・デウ)
・AXEAN MUSIC FESTIVAL(Indonesia)…Satria Ramadhan(サトリア・ラマダン)
・BUSAN INTERNATIONAL ROCK FESTIVAL(Korea)…HOWON LEE(ホーウォン・リー)
・Clockenflap(Hong Kong)…Cora Chan(コーラ・チャン)
・FireBall Fest. 火球祭(Taiwan)…May Wu(メイ・ウー)
・Incheon Pentaport Rock Festival(Korea)…JUNBUM PARK(ジュンボム・パク)
・LaLaLa Fest(Indonesia)…Donny Heru(ドニー・ヘル)
・Maho Rasop / Bangkok Music City(Thailand)…Sarun 'Top' Pinyarat(サルン・"トップ"・ピニャラット)
・STRAWBERRY MUSIC FESTIVAL(CHINA)…Wuli Yasu(ウリ・ヤス)
・吾夜生活節 / WooYeh Festival(ウーイェ・フェスティバル)(Taiwan)…Chara Hsiao(チャラ・シャオ)

 また、「ASIAN WAVES OPEN CONFERENCE」として、心斎橋ビッグステップと心斎橋PARCOというオープンな場所での2回のトークや、アフターパーティも盛り上がり、招待されたアジアの音楽関係者の皆さんには、心斎橋エリアの活気ある街の雰囲気も楽しんでもらえました。ミナミホイールではライブを見ることを目的に街を歩いて、街ごと全部楽しんでほしいと思っているので、願ったり叶ったりですが、デリゲイツの皆さんは、3日間歩き回って、買い物をして、もちろんライブも見て、たくさんの関係者から売り込みも受けて、クタクタに疲れたかもしれないですね。

 もちろん、例年通りアジアアーティストも来日。今年は8つの地域から9組のアーティストが登場しました。まず初日10月11日に2組出演。

DiAN(from Beijing)

 北京生まれ。幼少期をアメリカ、ヨーロッパ、中東、アフリカなど複数国で過ごしたことで、多文化から受けた影響が彼女の表現活動に落とし込まれているんでしょう。 MVやアートワークのディレクションも自身が手がけています。ミナミホイールでは、みんなを巻き込む振り付けもあって、魅了されました。MCで「猫の悪口の歌」と紹介していた曲が、猫の鳴き声が曲中に多用されていて、なんだかカオスで可愛かったです。着物をガウンのように羽織り、黒い狐(猫?)のお面という和洋折衷な衣装も妖艶で素敵でした。目と耳と両方を刺激してくる彼女独自の「宇宙」が爆発していました。

LOR(from Yogyakarta)

 LORは『LaLaLa Festival』についての記事(※1)でも紹介しましたが、2019年にインドネシアのジョグジャカルタで結成されたポップロックバンド。コーラスも含めてメロディがキャッチー。ミナミホイールは、初めての海外公演とのことで、ちょっと緊張しながらも、フレッシュで良いライブでした! 体が勝手に乗ってしまう、多分世界中の人に馴染むメロディとリズムだと思うんです。ローカルシーンから注目を集め始め、今年の夏は首都でのインターナショナルなフェス『LaLaLa Festival』に出演し、ミナミホイールで海外初ライブ。着実に歩みを進めているのだなぁと思います。ミナミホイールでは楽器店でのセッションステージにも突然出演して、私たちをびっくりさせてくれました。来年にはアルバムも出したいと語ってくれましたので、楽しみにしたいと思います。

 続いて10月12日も2組出演。

EASY SHEN(from Taipei)

 台湾の音楽シーンで多才に活躍するミュージシャン。というのも、自身のアルバムでも国内のアワードで受賞歴を持つのですが、淺堤(shallow levée)、老王樂隊(Your Woman Sleep with Others)など、プロデューサーとしてたくさんのアーティストに関わっているんです。また、ボーカルプロデューサーや、ミキシングエンジニアとしても数多くのアーティストを担当しています。ミナミホイールでは、まさかのギターではなくベースを持って1人でのパフォーマンス。色んな工夫があって、面白かったです。中でも、お客さん全員が自分のスマホから、音楽やトークなどの音を最大音量で一斉に流して、街のノイズのような音像を作るのが、とてもユニークでドキドキしました。「なんてぶっ飛んだ人なんだろう?!」と思ったのですが、実際会ったご本人は綿菓子みたいにふわふわしていて、ナイスキャラでした。

고고학 GOGOHAWK(from Seoul)

 バンド名は、韓国語で「考古学」の意味。プロフィールを取り寄せると、すごくかっこいい文章が届きました。「過去の時間を振り返り、未来を見つめる音楽集団。健全な議論と創作、そして主題の領域において一切の制限を設けない。」かっこいい!!! 韓国の『Asian Pop Festival』でインタビューをした時も「自由に聴いてほしい」と話してくれていました(※2)。今回が大阪での初めてのパフォーマンスだったのですが、見ているとニヤニヤしてしまうくらい、本当に演奏が素晴らしかった! 4つの楽器の熱量が重なり大きなうねりになって、ステージから溢れてくるような印象でした。あのグルーヴ、体感してみてほしいです。余談ですが、『Asian Pop Festival』にて韓国初ライブとなったBialystocksについて「自分だけが知っている素晴らしいバンドでいてほしかったのに…」という可愛いファン心を打ち明けてくれたのはベースのLAKOVさんです。

 

関連記事