Kis-My-Ft2、マルシィ、コレサワ、TREASURE、Tele、TOMOO……注目新譜6作をレビュー

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はKis-My Ft2「&JOY」、マルシィ「恋人」、コレサワ「あたしの恋人」、TREASURE「PARADISE-JP Ver」、TOMOO「LIp Noise」、Tele「あいでいて」の6作品をピックアップした。(編集部)

Kis-My-Ft2「&JOY」

Kis-My-Ft2 / 「&Joy」 Music Video

 『ベストヒット歌謡祭2025』(読売テレビ/日本テレビ系)で初披露された最新曲。「エンジョイ」と読む。どんな時も楽しむ気持ちを忘れず生きていこうと老若男女にメッセージを贈るエールソングで、J-POPの王道を行く明るさ、爽やかさ、清涼感がたっぷり。主役はメンバーの歌唱と前向きな歌詞なのだが、4つ打ちのキックの意外な存在感、実はRとLのステレオで微妙に分かれているギターの音、華やかなだけでなくキレのあるホーンアレンジなど、聴きどころは多数。そのうえで、2番が終わったあとのCメロ展開、さらなる転調で盛り上がるラストのサビ、〈Lalala〉で締めるラストなど、ポップスはこうでなくちゃ!と思わせるプロ仕事である。(石井)

マルシィ「恋人」

あだち充『MIX』×マルシィ「恋人」 コラボレーションMV

 3rdアルバム『Flavors』の1曲目に収録された「恋人」。あだち充の漫画『MIX』(小学館)とのコラボーレーションMVも作成されている。“君”のことをどれだけ思っていて、どんなに君と近づきたいか……あまりにも切なく、愛らしい“僕”の想いを丁寧に紡ぎながら、〈恋人になってよ〉〈君が欲しい〉という率直なフレーズへと結実する吉田右京(Vo/Gt)のソングライティングがとにかく素晴らしい。一つひとつの言葉を生々しい息遣いとともにメロディに乗せる歌声、そして、楽曲のなかで描かれる感情や情景をリアルに想起させるサウンドメイクも絶品。匂い立つような恋愛の波動が伝わってくるこの曲は、アルバム全体の充実ぶりを象徴していると思う。(森)

コレサワ「あたしの恋人」

コレサワ「あたしの恋人」【MUSIC VIDEO】

 最新EP『あたしの恋人 E.P』のリード曲。毎度ハイテンションな恋の歌を量産するコレサワだが、この曲はアコギをベースに必要最小限の楽器で色を付けたアレンジ。〈ねぇ 君はあとどれくらい/あたしの恋人でいてくれるの〉という歌い出しが語るように、恋愛のトキメキが主体ではなく、胸を締め付ける切なさ、いつか来る恋の終わりを思う息苦しさがメインとなっている。しいて言うならaikoにも近い路線で、甘い地声からファルセットに移行する時の声色などは案外近いものがあると気づく。ただし、とにかく自分の胸を切なさで満たしていくのがaikoスタイルだとするなら、悩むだけ悩んだあと〈毎日キスさせて〉と甘えて終わるのがコレサワのスタイル。お上手。(石井)

TREASURE「PARADISE-JP Ver」

PARADISE -JP Ver.-

 現在、3度目の日本ツアー『2025-26 TREASURE TOUR [PULSE ON] IN JAPAN』を開催中のTREASUREが新作『TREASURE SPECIAL JP SELECTION [LOVE PULSE]』をドロップ。収録曲「PARADISE -JP Ver.-」は9月リリースの3rdミニアルバム『LOVE PULSE』収録曲の日本語バージョンとなっている。軽快なホーンセクションが響くイントロからはじまり、心地よいギターカッティングとともにメンバーのブライトな歌声が高らかに響くポップチューンだ。ソウルミュージックのエッセンスを取り入れたサウンド、明るく広がるメロディのコントラストも楽しく、リスナーの心と身体をナチュラルに引っ張り上げてくれる。満天の星空のもと、愛するあなたと一緒に踊りたい。その場所こそがパラダイスなんだ……というロマンティックすぎる日本語詞もファンの心をくすぐりまくり。(森)

Tele「あいでいて」

Tele | あいでいて - Music Video

 Teleは谷口喜多朗のソロプロジェクトではあるが、この最新配信曲は全編バンドサウンド。かなり激しいギターのディストーションやベースの動き方などは、作曲者+バックミュージシャンの関係性を超えており、メンバーそれぞれが呼吸を合わせながら楽曲の熱量を高めていく、バンドでしか表現し得ない一曲となっている。この音だから歌がそうなるのか、歌う内容が先だったからバンド構成にしたのか、たったひとりの〈君〉に向けて〈愛でいて〉と全身を震わせるように歌う谷口の声が胸をかきむしるほどエモい。切実な感情を吐露した直後、散文的な景色を散りばめる2番の歌詞がとても美しいし、ラストにそっと響く電車の通過音も深い余韻を残す。(石井)

TOMOO「LIp Noise」

TOMOO - Lip Noise【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

 「わからないものを、時にわからないままにして、それに対して「親愛なる」って呼びかけたい」(※1)、という意味を込めたタイトルの最新アルバム『DEAR MYSTERIES』収録曲「Lip Noise」は、Bialystocksの菊池剛がサウンドプロデュース/アレンジャーとして参加している。楽曲のはじまりは、神秘的な美しさをたたえたピアノの音色、〈君が歌う呼吸と呼吸の合間で/覗いた透明〉という映像的にしてリリカルなフレーズが聴こえてきた瞬間。さらに現代音楽とジャズを行き来するようなストリングス、アンビエント的な要素を取り入れた間奏を挟んだ創造的な展開、想像を超えながら広がっていくメロディがナチュラルに絡み合い、時間の経過とともに楽曲の世界に深く誘われる。タイトルの“リップノイズ”はもちろん何かの比喩なのだが、聴く人の経験や想像力によって、その答えは自在に変化するはず。何度聴いても発見がある、豊かな音楽性を備えた楽曲だ。(森)

※1:https://natalie.mu/music/pp/tomoo06

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