『ガチアクタ』ED主題歌「番」で大注目! カラノア、聴けば聴くほど抜け出せなくなる“中毒性”の正体

 初めて聴いたときからその不思議な魅力に魅了された。カラノアというバンドである。僕が初めて彼らの曲を聴いたのは2024年にリリースされたEP『BOMB』に収録されている「風邪っぴき」という曲。そのサウンドは「ギターロック」と括ってしまえばそうなのだが、ドラムンベースばりにジタバタしながら突き進むドラムが猛烈に主張しているサウンドには、安易なカテゴライズから平気ではみ出していく才気を感じた。きっとダンスミュージックやポップスにも関心を持つバンドなのだろう。「風邪っぴき」というタイトルと歌詞もよかった。「どうしようもないし、出口もないし、痛いし」という感覚が、精神の側面からも、肉体の側面からも歌われている。「救われない」という地点から、「解放されてえ!」と叫ぶように曲は爆走する。歌詞の最後はこうだーー〈僕の傷跡で、僕の苦しさで/あなたの痛みを癒してあげるよ/あなたの心が泣こうというなら/僕の心臓を渡してあげるから〉。これは、正論や薄っぺらな希望では治らない人のための治癒の音楽だ、と感じた。

カラノア - 風邪っぴき(Official Music Video)

 この「風邪っぴき」に出会った頃にバンドのプロフィールを調べた。カラノアは2020年に4ピースバンドとして結成され、東京を拠点に活動を開始したバンドである。去年の8月にはメンバーの脱退があり、現在の雄大(Vo/Gt)、樹(Ba)、かずき(Dr)という3ピース編成になった。新体制になってから最初にリリースされたシングル曲「MIREMIRE」は朝の透明な空気のように切なくて美しい曲だ。「MIRE」とは「泥沼」や「ぬかるみ」という意味で、タイトルの「MIREMIRE」とはつまり、「泥泥」という意味を持つ造語。ぬかるむ道を、それでも懸命に前に進んで行こうとする人間の姿がこの曲には描かれている。この曲からバンドは明確に楽曲の中にエレクトロニックな、トラックメイク的な要素を入れていくようになる。アレンジに永田涼司が参加し始めるのもこの曲からだ。そして、そんな「MIREMIRE」も収録されたEP『ネオンテトラ』が、2025年7月にリリースされる。収録曲「aquarium」で、バンドは初めてドラマのオープニングテーマも手掛けた。

カラノア - MIREMIRE(Official Lyric Video)
カラノア - aquarium(Official Music Video)【ドラマNEXT「雨上がりの僕らについて」OPテーマ】

 『ネオンテトラ』がリリースされる頃に、僕は初めてカラノアの3人に取材をする機会をもらった。雄大が小学生の頃にボイスパーカッションで町内の一番になったことがあるとか、樹がシンセベースを弾きたくてうずうずしているとか、いろんな面白い話を聞けた取材だった。雄大は小学生の頃に和太鼓をやっていたこともあり、とにかくリズムに対しての感度が高いと言っていたが、曲を聴けばそれも納得だ。他にも面白かったのが、たとえば手元にあるキーホルダーと小銭をこすり合わせて、そのときに鳴ったチャカチャカとした音を曲に入れてみる、そんなフィールドレコーディングみたいなことを雄大は突発的にやるのだという。データで「それっぽい音」を手に入れるのは違うらしい。カラノアの音楽から感じられるフェティッシュな質感、無性にリアルな手触りというのは、こういうところからも生まれているのだろう。この取材を通して思ったのは、カラノアは感覚が鋭敏で、なおかつ開かれているバンドなのだ、ということだった。ジャンルの範疇に収まることなく自由に音楽を捉えているし、聴覚だけでなく、視覚や嗅覚や触覚までフル動員して彼らは音楽を作っているのだろう。「この感性と世界観は、どこまででも広がっていきそうだな」と思った。

カラノア - 番(Official Music Video)【TVアニメ「ガチアクタ」第2クールエンディング主題歌】

 そして今、僕の想像よりもはるかに速いスピードで、カラノアの音楽は世の中に浸透していっている。カラノアは今年9月にシングル「レイ」で、「A.S.A.B」(Chilli Beans.やmuque、Paleduskらが所属している)からメジャーデビューを果たした。そして今年10月にリリースされたメジャー2曲目のシングルとなる「番」。アニメ『ガチアクタ』の第二期エンディング主題歌として書き下ろされたこの1曲が今、大きな話題を呼んでいるのだ。

 「番」にはカラノアの自由奔放な感性と、「ポップミュージックの世界で遊び倒してやろう」という覚悟が充満している。曲は冒頭からカラノアがダンスミュージックやヒップホップをナチュラルに身体化したバンドであることを伝える。しかし、サビではロックバンドであるからこその覚醒感がある。早口言葉のような、今どきの若いリスナーの体と心をガッと掴むようなリズミカルで楽しいフックもある。目まぐるしい展開、左右のチャンネルからそれぞれ聴こえてくる多種多様な音とフレーズ。バンドの音楽的運動神経の高さをシーンのど真ん中に投げ込むような1曲だ。それを『ガチアクタ』の世界観と通じ合うダークで混沌とした世界観によって成し遂げているのだから見事。アニメーションとバンドの実写演奏シーンが混ざっているミュージックビデオも、この曲のストロングポイントを視覚化している。

カラノア - 番(Live Film Ver.) 【TV Anime “GACHIAKUTA”2nd ED Theme Song “BAN”】

 鋭敏な神経と感性。しなやかで、なんでも食えちゃうフィジカル。シリアスでありながらもユーモラス。人間の内面的な世界を大切にしているが、頭でっかちにはならない軽やかさがある。その音楽の中では、心と身体が不思議なバランスで一体化している……。言語化しようと思えばいろんな言葉が出てくるが、どう書いても全然「書き切った」と思えない底知れなさがカラノアの音楽にはある。まだまだ聴いて書くぞ。とにかく、遂にカラノアの“番”が来た。僕は今、そう感じている。

■リリース情報
Digital Single「Sugoroku」
2025年11月26日(金)リリース

「番」パッケージシングル
12月17日(水)リリース
予約リンク:https://asab.lnk.to/karanoah_ban_sg

<初回生産限定盤>(特殊商品・スマプラ対応)
品番:RZZB-87194
価格:7,920円(税込)
仕様:TVアニメ『ガチアクタ』描き下ろし紙ジャケット
特典(封入):ジャケットステッカー
同梱:描き下ろしジャケットデザイン・ロングTシャツ

<通常盤>(SG・スマプラ対応)
品番:RZCB-87195
価格:1,320円(税込)

収録内容(2形態共通)
M1. 番
M2. 番 - anime edit -
M3. 番 - instrumental -

■ライブ情報
「カラノア Presents  Log Book Fest. Vol.3」
2025年12月17日(水)
会場:大阪 心斎橋Live House Pangea
https://eplus.jp/karanoah-lbf-3/

 ■イベント情報
『独占絃音 -my own- VOL.6』
2025年11月18日(火)
下北沢Flowers Loft
w/ Green Flash / yoursヅ / リーベレイク / カラノア / (O.A)whou.
https://t.livepocket.jp/e/20251118

TENJIN ONTAQ 2026
2026年3月6日(土)~7日(日)
福岡天神地区8会場
https://w.pia.jp/t/ontaq2026/

■関連リンク
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