Mrs. GREEN APPLE、ONE OK ROCK、いきものがかり……オーガナイズドイベントで見せるアーティストの姿勢
いきものがかりが、来年3月14日、15日に初の主催フェス『超いきものがかりフェス デビュー20周年だよ!! 〜ありがとうって伝えたくて〜』を開催する。
2006年3月に1stシングル『SAKURA』をリリースし、メジャーデビューしたいきものがかり。本イベントは、デビュー20周年という節目にあたり、これまでの感謝を届けるために行われるという。第1弾出演アーティストとして発表されているのは、いきものがかりを含む8組。槇原敬之やスキマスイッチ、秦 基博をはじめ、アイナ・ジ・エンドや上白石萌音といったコラボレーションアルバム『いきものがかりmeets』に参加したアーティストの名前も並んでいる。
フェスタイトルに歌詞が引用されている「ありがとう」もそうだが、いきものがかりは私たちの生活に寄り添う楽曲を20年間にわたって届けてきた。今回のイベントも、“感謝”というテーマ、20年の歩みのなかで関係を築いてきたアーティストたちというラインナップから、いきものがかりの誠実さが表れている。当日はいきものがかりらしい優しさと記念日に相応しい祝祭感にあふれ、音楽を通じた人と人との繋がりを再確認できるような場になる予感がするのだ。
こうしたアーティストによるオーガナイズドイベントをほかにも見てみると、Mrs. GREEN APPLEは今年6月に『Mrs. GREEN APPLE presents 「CEREMONY」』を開催したのを思い出す。
『CEREMONY』の面白いところは、単なるフェスやイベントではなく“新しいエンタテインメントメディア”と位置付けられていたこと。公演にはMrs. GREEN APPLEのほか、ATEEZやLE SSERAFIMといったK-POPシーン、日向坂46、M!LK、My Hair is Badなど、形態も音楽性も異なる全9組が出演。ステージ前には円卓が並んでおり、出演アーティストがお互いのライブを鑑賞しつつ、コミュニケーションを取れる仕組みになっていた。大森元貴(Vo/Gt)曰く「アーティストがお互いのライブを見たりお互いの文化に触れることは意外となくて」(※1)とのことで、この方式が採用されたのだろう。彼の言葉やジャンルを問わないラインナップからも、それぞれのアーティストが唯一無二の存在であること、その人たちが作り上げた音楽をもっと自由に楽しんでほしいという想いが伝わってくる。そして、Mrs. GREEN APPLEが自分たちの力で世界に多様なエンタメを発信していこうとしている意思も感じられた。
ONE OK ROCKは、来年4月4日、5日に『docomo presents THE MUSIC STADIUM 2026 organized by ONE OK ROCK』を開催する。本イベントは、MUFGスタジアム(国立競技場)が2026年4月から展開するビジョン“KOKURITSU NEXT”の一環として、「日本の音楽の未来を動かしていく新たな音楽の頂」をコンセプトとして行われるものだ。
ライブステージにはオーガナイザーのONE OK ROCKに加え、1日目にはUVERworld、2日目にはYOASOBIが出演。UVERworldとONE OK ROCKは昔から親交があり、ともに音楽シーンの第一線で活躍するロックバンドとなった今、待望の共演が実現する。そしてYOASOBIは、昨年末から今年2月にかけてアジアツアー『YOASOBI ASIA TOUR 2024-2025』を開催するなど、ONE OK ROCKと同じように世界に挑んでいるアーティストだ。ロックバンドとしての核と世界規模の視野を併せ持つ彼らの姿勢を象徴するようなイベントで、歴史的な2日間となるだろう。
こうしたオーガナイズドイベントでは、テーマや出演者のラインナップからアーティストの姿勢が読み取れる。自らの手で作り上げる場だからこそ、彼らの意思がより純度の高い形で観客へと届いていくはずだ。
※1:https://www.thefirsttimes.jp/report/0000637608/