BE:FIRST、「I Want You Back」カバーはなぜ“今”を体現する? パフォーマンスで魅せる温故知新の面白さ
10月27日、BE:FIRSTが「I Want You Back」を配信リリースした。The Jackson 5のカバーとなる同曲は、10月29日にリリースしたベストアルバム『BE:ST』のリード曲。あの有名なイントロ部分やサビを引用しつつ、BE:FIRST流の解釈を加えた楽曲となっている。配信リリース前日の26日には『シューイチ』(日本テレビ系)でパフォーマンスを世界初披露。加えて、配信リリースと同時に公式YouTubeチャンネルにはMVも公開され話題になっている。そしてそのMVからは、BE:FIRSTが歌う「I Want You Back」の魅力が伝わってくる。
「I Want You Back」に感じるBE:FIRSTのリスペクト
そもそも、この楽曲は音源だけでもかなり秀逸だ。10月14日に行なわれたInstagramライブでSOTAが「ここまで(原曲の「I Want You Back」を)HIPHOP的に解釈できるとは思っていなかった」と言っていたが、まさにその通り。原曲の心躍るワクワク感をしっかり残しつつ、BE:FIRSTらしいHIPHOP色を巧みに混ぜ込み、新しい魅力を発信する仕上がりになっている。配信リリース前の10月22日に公式YouTubeチャンネルにアップされた「I Want You Back -The break down with SKY-HI × Sunny-」では、SKY-HIが「原曲の弾き直しの鳴りがものすごく(オリジナルの)『I Want You Back』。キーも変えているし、演奏内容がだいぶ変わるわけなんだけど、でもめちゃくちゃ『I Want You Back』なんだよね」と語っていたが、原曲を聴いた瞬間その言葉が脳裏に浮かび、「そういうことか」と納得した。印象的なリフを引用したり、原曲にアレンジをあまり加えない形でカバーしているケースは珍しくないが、ここまで形を変えながらも同時に原曲がしっかり見えてくるのはリスペクトがあってこそだ。
そんな同曲のMVは、おもちゃの世界を表現したかのようなものに。メンバーたちの純粋な「音楽が好き」「The Jackson 5が好き」というワクワク感を可視化しているのだろうか。CGを使った“ミニチュアのメンバーたち”を見ている等身大のメンバーたちの様子からは、楽曲が放つハッピーな雰囲気が伝わってくる。また、MVの映像がノスタルジックさを感じさせる画質だったり、原曲がリリースされた1970年代を彷彿させるシーンがあったりも。それによって、単なる“最新版「I Want You Back」”になっていないのもいい。そういった演出も、原曲を表現することに一躍買っているのかもしれない。まさに、過去へのリスペクトと新しい表現が交差する、“温故知新”の一曲だ。
「I Want You Back」、振り付けの魅力
また、同曲のダンスもポイントだろう。グルーヴを重視した振りで、原曲が流行った当時のソウルダンスのテイストや、マイケル・ジャクソンを彷彿させるポージング、The Jackson 5が得意としていたシンクロダンスがそこには含まれている。そこにHIPHOP要素が加わり、BE:FIRST流の「I Want You Back」にぴったりな表現となっている。楽曲とダンスが共鳴し合っているからこそ、MVを観ていると勝手に体が動いてしまう人もいるはずだ。
MVを通して、「I Want You Back」を解像度高く世の中に発信したBE:FIRST。原曲を知っている世代も、知らない世代も、「I Want You Back」という楽曲の魅力をじっくり味わえるはずだ。この曲がどこまで広がっていくのか、注目したい。