KUROMI、EP『KUROMI IN MY HEAD』でメジャーへ ケンモチヒデフミ、真部脩一、Daokoらによる“世界”を狙う音の衝撃

 サンリオの人気キャラクター「クロミ」が、アーティスト「KUROMI」としてTOY’S FACTORYよりメジャーデビュー。10月22日、1st EP『KUROMI IN MY HEAD』がリリースされた。

 記念すべきメジャーデビュー作品について触れる前に、まずはプロフィールをおさらいしたい。2005年、“自称マイメロディのライバル”としてデビューしたクロミは、黒いずきんとピンクのどくろがチャームポイントの女のコのキャラクターだ。「乱暴者に見えるけれど、実はとっても乙女チック!?」というギャップも含めて若い世代の女性を中心に人気を博し、『2024年サンリオキャラクター大賞』では総合3位、2025年の同大賞では総合4位にランクインしている。2025年はデビュー20周年にあたり、アニバーサリーイヤーに満を持してのアーティストデビューとなる。

 そんなクロミは、“誰もが自分史上最高の自分を目指せる世界”を作るため、以前から「#世界クロミ化計画」と題して「あんたもなりたい自分になっちゃおうよ!」というメッセージを発信し続けてきた。その一環として、2021年に発表された楽曲が「Greedy Greedy」である。もっとおしゃれになりたい、もっと幸せになりたいという欲望を素直に受け止め、自分磨きを頑張る人たちを肯定するこの曲。「#世界クロミ化計画」にあたってのコメントに記載されている「いまが最高だし、明日はもっとイケてる!そう思えたら、毎日がもっと楽しくなると思うんだ。」というクロミの信念と重なるものだ。

 今回のEPにも、「Greedy Greedy」から共通した“ありのままの自分を突き進む”というアーティスト KUROMI自身を表現した5曲が収録されている。加えて、重盛さと美、Daoko、ケンモチヒデフミといった実力派クリエイター陣が楽曲を手掛けているのもポイントだ。

 9月10日に先行配信された「KUROMI♡Profile」は、〈1.2.3 let's go 目指す高み〉というフレーズで始まる、EPのオープニングを飾るのに相応しい一曲。重盛さと美による提供で、リリックはタイトル通りKUROMIの自己紹介的な内容になっている。およそキャラクターソングに似つかわしくない重厚なビートに乗せたラップに始まり、〈このままで無双〉からはKUROMIのキュートさを強調するようなポップなサウンドメイクに。〈見た事ない未来が見たいの〉で視界が一気に開けたあと、唐突なテンポチェンジを経て、クライマックスに向けて楽曲は華やかさを増していく。メルヘンチックな世界観を描きながらも、展開の多さに遊び心が感じられる一曲だ。

KUROMI「KUROMI♡Profile」Official Music Video

 本作品のリード曲でもある「ハピハロ!!」は、近年はanoの「ちゅ、多様性。」の提供も記憶に新しい真部脩一が手掛けたポップチューン。キャッチーで捻くれたシンセのメロディに、呪文のように響く〈trick or trick or treat〉〈ハピハロウィン ハピハロウィン〉というリズミカルなフレーズ、リアルとファンタジーを行き来するような詞世界は、まさに真部ならではと言ってもいいだろう。きらびやかな真部サウンドとKUROMIの可愛らしい歌声の化学反応は、原宿発の“KAWAII”ムーブメントとの親和性も感じさせ、唯一無二のハロウィンソングとして世界に広がっていくことも期待できる。なお、KUROMIの誕生日は10月31日のため、彼女にとってはバースデーソングでもあるのかもしれない。

KUROMI 「ハピハロ!!」Official Music Video

 ボカロP・かいりきベアが手掛けた「チューニングダンサー」は、BPM170を超える疾走感のあるビートに、〈黒 黒ク ロックンロール〉〈ココロ転 転 転〉といった言葉遊びが光る、ボカロソング的なアプローチのナンバー。〈ドンヨリ波長 気味で 不器用な心で DANCING〉の歌い出しからも伝わってくる通り、この曲は全体的にダウナーな雰囲気。不安定な心の変化を表すように、メロディも半音で細かく上下する。そのなかで、自分を奮い立たせるように歌われる〈息も詰まるような今 生きてるの えらいよ〉のフレーズが印象的だ。本当は毎日笑っていたいけれど、当然、そうはいかない日もある。人気者のKUROMIが歌うからこそ、そんな等身大のメッセージに私たちも救われる。

 イタリア語で“甘い生活”を意味する「Dolce Vita」は、ラップシンガーのDaokoと、水曜日のカンパネラのソングライターであるケンモチヒデフミが手掛けたダンサブルな一曲。魅惑的なKUROMIの歌声で幕を開けると、四つ打ちを軸とした力強いビートが終始鳴り響き、心地よく体を揺らす。洗練された上モノと陶酔感をブーストするボイスサンプリング、ワールドトレンドとなったジャージークラブのビートを隠し味的に交えるセンスも絶妙で、まさに“世界基準のクラブアンセム”といった本格派のサウンドが楽しめる。リリックからはKUROMIの乙女チックな部分が垣間見え、優しく囁くようなボーカルから軽やかなラップまで、歌い方もコロコロと変化するのが面白い。KUROMI×Daoko×ケンモチヒデフミだからこそ生み出すことができた音楽ファンも唸るナンバーだ。

 EPのラストを飾るのは、8月に先行配信されたlilbesh ramkoによる提供曲「OHIRUNE DAY DREAM」。ゲーム音楽のようなピコピコとした電子音、跳ねまわるピアノ、ノイズのようなサウンドと、彼らしい個性的な音が詰まったトラックが強烈なインパクトを放つ。実験的な音像ながらも“ポップソング”として成立しているのは、〈私は私だしこのまんま〉というKUROMIの一貫したメッセージが圧倒的な強度を持って放たれているからだろう。〈考える今も〉のリフレインも含めて、まるで思考を巡らせているKUROMIの頭のなかを覗くようだ。強いようで実は繊細な彼女の心が透けて見えるようで、KUROMIへの愛しさも増す、EPの締めくくりにふさわしい楽曲と言えるだろう。

KUROMI 「OHIRUNE DAY DREAM」Official Music Video

 デビューに際して、KUROMIは武道館や東京ドーム、ワールドツアーといった夢を掲げ、「アタイはぜったい夢なんかじゃ終わらせないよ!」と宣言している。『KUROMI IN MY HEAD』の制作に携わったアーティストのラインナップ、できあがった楽曲たちの衝撃的なサウンドからは、「本気で世界を目指す」というKUROMIの想いが窺えるのだ。いよいよメジャーデビューを果たしたKUROMI。この作品が、大きな夢へのスタートの一枚だと思うとワクワクが止まらない。

■リリース情報

ジャケット写真

1st EP『KUROMI IN MY HEAD』
発売中
価格:¥2,200(税込)
参加アーティスト:lilbesh ramko/重盛さと美/真部脩一/Daoko・ケンモチヒデフミ/かいりきベア(順不同)
配信リンク:https://tf.lnk.to/KUROMI_IN_MY_HEAD

■公演情報
『KUROMI 東名阪 Zepp TOUR 2026「KUROMI IN MY HEAD」』
・2026年1月18日(日) Zepp Namba(大阪)
・2026年1月24日(土) Zepp Nagoya(名古屋)
・2026年1月31日(土) Zepp DiverCity(東京)  
※対バン形式 

■関連リンク
公式サイト:https://kuromi.sanrio.co.jp/artist/
X(旧Twitter):https://x.com/kuromi_staff
TikTok:http://www.tiktok.com/@kuromi_project
YouTube:http://www.youtube.com/@kuromisanrioofficial6829

関連記事