Yves、グローバルを舞台に進化するK-POPガール LOONAの活動停止から新たな出発、そして未来へ
グローバルK-POPアーティストとして感じること
ーー新EPにはイギリス出身のPinkPantheressやメキシコ出身のBrattyとのコラボも収録されています。グローバルな活動からの結果でもあるでしょうか。
Yves:PinkPantheressとのコラボは本当に不思議なご縁でした。個人的にいつか必ず一緒にやってみたいと思っていたアーティストで、ファンの方から「共演してみたいアーティストはいますか?」と聞かれるたびに名前を挙げていたんです。すると、その話を聞いた海外のファンが実際にPinkPantheressに会ったとき伝えてくれたそうで。そのおかげで本人も私に興味を持ってくれて、つながりができ、最終的にコラボレーションまで実現しました。まさに海外ファンの影響力を実感した経験です。
Brattyの場合は、南米ツアー中に出会ったアーティストです。楽曲がロックをベースにした情熱的なトラックで、若くてエネルギッシュな南米のアーティストとぜひ一緒にやってみたいと思い、声をかけました。
ーー実際、Yvesさんは海外でのファンダムがとても強い印象があります。その理由はどこにあると思いますか?
Yves:LOONA自体が韓国国内よりもグローバル規模でのファンダムが大きかったんです。その方々が今も私たちメンバーの新しい活動を継続して応援してくださっているのだと思います。さらにYvesというキャラクターは、偏見や先入観を打ち破り、自分の進みたい方向へ突き進むという姿勢を根本に持っており、その姿勢に共感してくださる方々もいると思います。現在取り組んでいる音楽や活動スタイルも、一般的なK-POPとは少し異なる方向性を志向しているので、そうした部分に共感し、支持してくださる方が多いのではないかと思います。
ーー海外でのK-POPの話題でいうと、最近大きな注目を集めた映画『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』はご覧になりましたか?
Yves:はい、とても楽しく観ました。海外のK-POPファンが感情移入できるポイントをよく捉えていると思いましたし、それ以上に純粋に音楽もストーリーも素晴らしかったです。最後のほうでは泣いてしまいましたね。ジヌが消えてしまう場面で……。
ーー実際に活動されている立場から見て、海外におけるK-POPの存在感はどのように感じていますか?
Yves:かつては、K‑POPは欧米で一部の人だけが楽しむマイナーなジャンルだと言われていた時期もありました。でも今回ツアーでさまざまな都市を回る中で、街のお店でもタクシーの中でも、K‑POPが本当に自然に流れているのを耳にしました。今では欧米でもすでにK‑POPがひとつのジャンルとして定着したと感じています。
同時に、単に数曲が流行する段階を超え、ひとつのカルチャーとして確固たるファンベースを築いていることも強く感じました。今年1月にアメリカ・ノースカロライナで開催された『KoreaFest 2025』にコンテストの審査員として参加した際には、出演者の皆さんから圧倒的な熱意と愛情が伝わってきました。
ーーYvesさんの音楽は、いわゆる典型的なK-POPとは異なる部分もありますよね。そういうときに「K-POP」という枠にくくられることを拒むアーティストもいます。
Yves:私はデビュー当初から一貫して自分を“K-POPアーティスト”と言ってきました。むしろK-POPアイドル、あるいはアイドル出身というイメージが狭い意味に限定されてしまうことを、とても残念に感じています。アイドルもまた、努力と訓練を重ねてデビューを勝ち取り、自分たちの率直な物語や趣向を作品に込めています。最近ではプロデュースを直接手がけたり、ディレクションに関わるケースも増えていますね。だから、アイドルとアーティストを分けたり、K-POPかそうでないかを区切ったりすること自体が、私には意味のないことのように思えます。私はK-POPアーティスト、K-POPアイドルであることに誇りを持っていますし、その言葉をめぐる先入観を変えていきたいと思っています。
それに私は、音楽・ダンス・メイク・ビジュアル……どれもひとつのスタイルにとどまることはありません。その時々の気分や状況によって好きなことや表現したいことが変わっていく私にとって、そのたびに新しいコンセプトやスタイルに自由に挑戦できるK-POPの拡張性が、とても気に入っていますし、K-POPアーティストであることに幸せを感じています。
No Role Model、Yvesの未来像は?
ーーご自身の趣味がよく変わるとおっしゃっていましたが、実際に過去のインタビューでは「ロールモデルは?」という問いに対して、毎回異なる名前を挙げていました。SUNMI、Caroline Polachek、G-DRAGONなど……。
Yves:はい、そうなんです。それで最近はあえてロールモデルを作らないようにしています。誰かの音楽をあまりに好きになって強く影響を受けると、どうしても真似してしまう部分が出てきますよね。だから今はできるだけ幅広いアーティストを聴いて学びながら、自分自身の道を模索することに集中しています。
ーーK-POPの定型から外れる一方で、K-POPアーティストとして活動することに戸惑う瞬間もあるのではないでしょうか。
Yves:ソロアーティストとして、今の事務所と歩み始めてから大きく変わったのは、不完全さも自然なものとして受け入れられるようになったことです。それで、戸惑いや迷いを感じたときは、その感情をそのまま音楽に映し込みます。心の葛藤を無理に隠して完璧な姿だけを見せたいとは思いません。これは典型的なK-POPとは異なるかもしれませんが、むしろそうした方向性こそがK-POPの領域をさらに広げているとも感じています。
ーー完璧主義な一面があると伺いました。
Yves:不完全さを受け入れることは、あくまで一人の人間としてのことです。アーティストとしての完璧主義は今も変わりません。限られた期間で作品を仕上げなければならないときには大きなストレスを感じますし、ステージも終わるたびに必ず反省点が残ります。ツアー中もホテルで公演を見返し、納得できるまで繰り返し練習します。
ーー子どもの頃から学級委員や部活の会長を務め、LOONAでもユニットリーダーを担当されていました。リーダーシップのある性格なのだと思います。
Yves:人前に立つのは恥ずかしがり屋なところもありましたが、それでも学級委員や部活の会長をよく引き受けていたくらい、人をまとめて何かを成し遂げたいという性格だったのは確かです。LOONAでの活動時もグループを束ねる役割だけではなく、次第にステージや活動全体の企画についてアイデアを練るようになっていきました。自分でプレゼン資料を作って持ち込み、「QUEENDOM 2」でそうした発想を形にしたりもしました。
ーーこれまで聞いた性格や経験を踏まえると、今後は制作やディレクションの分野にも関心を持たれるのではないでしょうか。
Yves:もちろん関心も意欲もあります。ただ、その前にずっと思い描いてきた夢があります。いつか自分ひとりで全曲をプロデュースできるアーティストになることです。そのことを話したとき、プロデューサーのmillicさんも「僕の夢は、スヨン(=Yves)がそうなることだ」と応えてくれました。だから今は、制作プロセスの中で自分の意見を反映させる範囲を少しずつ広げています。まだ世に出してはいませんが、自分で書き溜めている楽曲もいくつかあるんです。こうして自分が担う割合を増やしていけば、いつか全曲のプロデュースもできるようになると思っています。その経験をもとに制作やプロデュースにも携わりたい。きっと楽しいだろうし、ぜひ挑戦してみたいですね。占いでも「制作をやるとうまくいく」と言われました(笑)。
ーー将来、Yvesがディレクションするグループにも期待が高まります。最後に、アーティストとしての最終目標は何ですか。
Yves:最終的な目標は、「もうこれ以上やりたいことがない」と思える状態になることです。楽曲での挑戦や、歌詞に込める物語、映像や写真、ファッションまで——すべての表現で「自分のやりたいことをやり尽くした」と心から思えるようになりたいです。今は本当にやりたいことが多すぎて、気持ちが急いてしまうくらいなんです。一つひとつを早く、そしてしっかりと形にして皆さんにお見せしていきたいと思っています。