『Boosty ファンまつり2025』は“デジタルとリアルの交差点” HKT48、NGT48ら大集結――祝祭の2日間を振り返る

 『Boosty ファンまつり2025』が2025年9月20日と21日の2日間にわたり、東京・有明GYM-EXにて開催された。

 昨年、横浜BUNTAIで初めて行われた同イベントは、アーティストやタレント、アイドルを応援活動を支援するプラットフォーム「Boosty」が主催する祭典であり、HKT48とNGT48を中心とした豪華ラインナップで大きな注目を集めた。その成功を受けて、会場を有明GYM-EXへとスケールアップさせた今年。特典会や公開収録、合同ステージ、ソロステージ争奪戦など、多彩な企画を通してファンとの絆を深めながら、ライブパフォーマンスを軸に“デジタルとリアルの交差点”を体現するイベントとなった。

 初日の昼、会場は握手会や特典会を思わせるような熱気に包まれた。ハルニシオンの公式YouTube番組「咲け!ハルニシオン」の公開収録や、NGT48「らーめん部」とHKT48「チャーハン部」のコラボ企画、さらには卒業生によるトークステージなど、バラエティ豊かな企画が次々と展開。ファンは推しの新しい一面に触れながら、夜のライブを待ちわびていた。

 19時からのライブステージは、ハルニシオンの登場で幕を開けた。馬場彩華がHKT48卒業後、初めて古巣のファンの前に立った瞬間には、会場からひときわ大きな拍手が巻き起こる。「ハルニシオン」で奏でられる清涼感のあるサウンドは、彼女たちらしい透明感と瑞々しさに満ちていた。その歌とダンスには、グループとして歩んできた時間の積み重ねと、これからさらに羽ばたこうとする決意が滲んでいて、会場全体が一瞬にして引き込まれていくのを感じた。序盤から披露された「Luv it!」では観客がタオルやサイリウムを振り回し、フロアには一体感が広がり、「音速少女」「gradation」と続けざまに届けられるパフォーマンスは、フレッシュさと堂々たる表現力を兼ね備え、グループの成長を力強く印象づけるものだった。

 筆者もまた観客のひとりとして手拍子を打ちながら、“馬場彩華が再びHKT48ファンの前に立つ”という事実が持つ象徴性に圧倒されていた。卒業後の時間を経て、彼女は自分のグループを背負う立場となり、その姿をHKT48ファンが笑顔と拍手で受け止めているという関係に、このイベントならではの物語が凝縮されていたように思う。

 そんな熱気を受け継ぐように、HKT48とNGT48の若手メンバーの21人が法被姿で登場。「青春時計」「初恋バタフライ」「スキ!スキ!スキップ!」をユニットで披露すると、世代やグループの垣根を超えたコラボレーションが場内を彩った。名曲「最高かよ」「ヘビーローテーション」「心に太陽」を全員で歌い上げる場面では、トロッコに乗って会場を巡り、観客と笑顔を交わしながら手を振る姿が夏祭りのような温度感を生んでいた。

 1日目にはソロステージ争奪戦で勝ち抜いたメンバーも大きな注目を集めた。イベントで2位となったNGT48の北村優羽は渡辺美優紀(NMB48)の「わるきー」を披露し、「ずっとやってみたくて。こんなに大きな会場で『わるきー』をやる夢が叶うとは思ってもいなかったので、応援してくださったファンの皆様には感謝の気持ちでいっぱいです」と感謝を伝えた。続く1位を獲得した大塚七海は、AKB48の「ファースト・ラビット」を披露。「AKB48さんの衣装をお借りしまして……」と感極まりながらステージに立ち、その姿に客席からは大きな拍手が送られた。北村に「かわいかった」と太鼓判を押された大塚は、涙ながらにファンへの思いを口にしていた。

 HKT48とNGT48の若手選抜が「アイドルの王者」を披露すると、序盤から会場はさらに熱を帯びた。続く「はっきり言ってほしい」では、HKT48の井澤美優と大庭凜咲、NGT48の水津菜月と北村優羽がフレッシュな掛け合いを見せ、ステージから客席へと放たれるエネルギーが一気に増幅していくのを感じた。

 NGT48が「絶望の後で」で重厚な空気を描き出し、HKT48が「ずっとずっと」「Radio name」で柔らかくも力強い世界を広げていく。互いの持ち味が異なるからこそ、曲ごとに会場の雰囲気が塗り替えられていくのがわかり、観客の表情もそのたびに変化していった。両グループの正規メンバーによる「シアターの女神」では、その積み重ねが頂点に達し、ステージと客席が一体となる瞬間が訪れる。さらに全員で「思い出をゼロにして」「大人列車」「君とどこかへ行きたい」「Maxとき315号」と畳みかけると、場内の熱気は一気に最高潮に。アンコールでは「12秒」「みどりと森の運動公園」を客席に降りて披露し、ファンとの距離は物理的にも心理的にもゼロに近づいた。観客のあいだに生まれた笑顔の連鎖を見ながら、筆者は「この距離感こそが『Boosty ファンまつり』の真髄なのだ」と実感していた。

 HKT48の豊永阿紀が「世代間、地域間の隔たりを超えて、一年ぶりに集まれて、こんなにたくさん盛り上げてくださってありがとうございます」と語ると、その言葉を裏付けるかのように、最後の「桜、みんなで食べた」では全員が肩を組み、会場全体があたたかな一体感に包まれた。目の前に広がるその光景は、単なる合同ライブを超えた“つながりの証”だった。

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