アイナ・ジ・エンド×向井秀徳、『tiny desk concerts JAPAN』で交わしたリスペクト 「“ケダモノ性”みたいなものが乱れ散ってた」
アイナ・ジ・エンドと向井秀徳が出演する『tiny desk concerts JAPAN アイナ・ジ・エンド×向井秀徳』が、NHKワールドJAPANとNHK総合で9月28日より放送される。この度、NHK放送センターにあるオフィスの一角にて収録が行われた。
『tiny desk concerts JAPAN』は、アメリカの公共放送NPRが2008年よりネット展開し、全世界にブームを巻き起こした音楽コンテンツ『tiny desk concerts』の日本版。2024年春から、NHKが本家アメリカのNPRよりライセンス、さらにはノウハウを受け取り、日本のアーティストで番組を制作。これまで藤井 風や稲葉浩志(B'z)などが出演してきており、今年4月からシーズン2のレギュラー放送がスタートしている。
『tiny desk concerts』はイヤモニやスピーカーでの返しもなく、アーティストは生声のみで集まったNHKで働くスタッフにライブを届けていく。フロアには、アイナがメンバーとして所属していたBiSHや向井が率いるバンドZAZEN BOYSのライブTシャツを着ている職員もチラホラ。“ステージ”となる場所の横にあるロッカーには、アイナの「みんなともだち」、向井による「This is 向井秀徳」とサインが書かれた小さなホワイトボードも見える。
アイナは西田修大(Gt)、君島大空(Gt)、石若駿(Dr)、マーティ・ホロベック(Ba)、渡辺翔太(Pf/Key)といった番組のためだけに集結した特別バンド編成で、「Frail」「Love Sick」「家庭教師」「革命道中 - On The Way」「きえないで」の5曲をパフォーマンス。後の囲み取材で、メンバーは西田が集めているが、アイナ自身にとっても“友達”と呼べる関係値であることをアイナが明かしている。椅子に体育座りをする形で始まったアイナのライブは、艶やかに机のふちを撫でたり、時に髪の毛を振り乱したりと、そこがオフィスであったとしても、決して自身のスタイルを崩したりはしない。海外チャートで首位を獲得するなど、SNSを中心に爆発的なヒットを記録している「革命道中 - On The Way」では、アイナがコピー用紙にペンで「革命道中」と殴り書きをし、それを丸めて勢いよく投げる。ラストは人生で初めて作った楽曲「きえないで」を儚い歌声とダンスに乗せて届けた。
「私の大好きな先輩。向井秀徳さん」というアイナの呼び込みからフロアに姿を見せた向井は、ラフないつも通りの格好に、NHKの入館証が入っていたと思われるネックストラップをぶら下げて登場。「なんで俺はこんなところにおるっちゃろうかね」とつぶやきながら、「全国の、全世界のNHKをご覧のみなさん。私、Matsuri Studioからタクシーワンメーターでやってまいりました。This is 向井秀徳!」と挨拶。フロアが沸き立つ中、そのまま「CRAZY DAYS CRAZY FEELING」(ZAZEN BOYS)へと流れていく。
ライブ形式で言えば、「向井秀徳アコースティック&エレクトリック」としてのパフォーマンスであり、今回は必然的にアコースティックギター一本での演奏となる。当初、セットリストとして伝えられていたのは別の楽曲であるが、向井が歌い出したのは予定にはない「CRAZY DAYS CRAZY FEELING」。後の囲み取材で向井は、その場で思いついた曲を勢いで披露したと語っており、向井の言葉を借りればそこがいつものライブとは異なる“異常空間Z”だとしても、向井秀徳としての信念がブレることはない。〈ボールにいっぱいのポテトサラダが食いてぇ〉という、ただそれだけの思いを歌った「ポテトサラダ」(ZAZEN BOYS)では、そのユーモラスな歌詞にフロアにはクスッと笑いが起こるものの、ブルージーな向井の演奏と歌声に徐々に職員は惹き込まれていく。
「本日のお客様をお呼びしましょう」とアイナを呼び込んだ向井は、「恥ずかしいから」という理由からサングラスをかけ、フォーカウントから「はあとぶれいく」(ZAZEN BOYS)をアイナとコラボレーション。〈サカリのついたメス猫みたいに〉ではアイナが猫耳ポーズを、〈いつか悪魔と対決する日を待っている〉ではアイナが向井を“悪魔”として指差すオリジナルの振付も披露した。
収録後の囲み取材では、アイナのZAZEN BOYS、さらにはNUMBER GIRLから受けた影響、向井がアイナのライブから感じた“ケダモノ性”についてトークを展開。終わりには“Matsuri Studioに越前ガニを送って欲しい”という、予測不能かつ笑いの絶えない座談会となった。なお、囲み取材は向井がビール缶をプシュッと開けて始まった。