SixTONESの一貫した音楽的な攻めの姿勢 フェス出演、サブスク解禁で手繰り寄せる〈夢に見てた先の景色〉
SixTONESの近年のシングル表題曲を聴くと、ある一貫したモードを感じ取ることができる。それは、“攻め”の姿勢である。アイドルとしての信念と矜持を大切に保ったまま、日本のアイドルポップスの可能性をこれまで誰もリーチしきれなかった遥かな地平まで押し広げていく。彼らの楽曲からは、そうした闘志のようなものを感じる。
例えば、2023年6月リリースの「こっから」は、その象徴のような1曲。ソングライターは、佐伯 youthKだ。佐伯はそれまでにも「僕が僕じゃないみたいだ」や「共鳴」をはじめとした数々のSixTONESの楽曲を手掛けてきた。また、2023年1月リリースのアルバム『声』のリード曲にして当時最大の野心作とも言える「人人人」の作詞作曲を手掛けたのも彼である。「こっから」は、「人人人」の野心をダイレクトに受け継いだミクスチャーロック&ファンクナンバー。2番の歌詞に〈でもどこ行ったって"人人人"〉というフレーズがあることが、その証左だろう。リリース当時、「人人人」の路線をさらに果敢に突き詰めた曲をシングルの表題曲として切る大胆不敵さに驚いたのをよく覚えている。同曲は、ドラマ『だが、情熱はある』(日本テレビ系)の主題歌となったこともあり、大きな反響を呼んだ。2023年9月には、MVの再生回数が1億回を突破。ワイルドサイドの極致へと豪快に突き抜けていくかのような同曲がSixTONESの新しい代表曲になったことに驚きを覚えながらも、それと同時に「彼ららしい」とも思った。
「こっから」を通して得た自信と確信を胸に、その後も彼らは攻め続けた。2024年1月リリースのアルバム『THE VIBES』のリード曲「アンセム」は、「人人人」「こっから」と同じように各メンバーのラップを大きくフィーチャーした楽曲だ。ただ、前の2曲がファンクのテイストを色濃く打ち出していたのに対して、「アンセム」では直球のロックサウンドで勝負している。容赦なく疾走するサウンドに負けない、むしろそれを追い越すかのようなパワフルなラップは圧巻。また、その後にシングル表題曲としてリリースされた「GONG」は、ハードなロックテイストをかつてないほど鮮烈に打ち出したナンバーで、2024年夏以降のフェスのステージを一気に沸かす起爆剤としての役割を果たしている。もちろん、その間には、「音色」や「ここに帰ってきて」をはじめとしたミディアムナンバーもリリースしているが、彼らが攻めのアクセルを踏み続けていることは明白だろう。
そうした攻めのモードで走り続ける過程で、彼らに共鳴するアーティストが今まで以上に増えていったのも事実だと思う。今年1月リリースのアルバム『GOLD』には、湘南乃風が提供した「Fiesta」、Kroiが提供した「Underline」、マキシマムザ亮君(マキシマム ザ ホルモン)が提供した「恋のバタリアン」、コリン・ブリテン(LINKIN PARK)が提供した「WE ARE ONE」が収録されており、アルバム全体を通じてSixTONESの音楽性が大幅に拡大した。その極め付けが、「恋のバタリアン」だろう。マキシマムザ亮君が他のアーティストに楽曲提供するのは、この曲が初めてで、「あのSixTONESから楽曲依頼されたら、そんなのやるしかない!!!」(※1)とコメントを寄せていた。「恋のバタリアン」は、攻めのモードという言葉では形容が追いつかないほどの超攻撃的な楽曲で、SixTONESの6人は、この“ホルモン印”MAXのロックナンバーを、見事に自分たちの新しい切り札に変えてみせた。