バブルガム・ブラザーズ Bro.KORN、“お茶の間ファンク”を追求した40周年 「これが遺作パート1ということで……」
佐野元春は中学校の同級生ーー「SOUL SPIRIT Part III」に至るまで
ーー新録曲の話をしていくと、DISC 1には「SOUL SPIRIT Part III feat. 佐野元春」が収録されています。今回の40周年企画では、原曲の「SOUL SPIRIT Part II」を収録した1985年のデビューアルバムも再発されました。
Bro.KORN:そうなんですよ、びっくりしました。
ーーデビューアルバムは1991年にCD化されていますが、今回の再発で初めてデジタルでも聴けるようになりました。
Bro.KORN:そうなりますね。CDサイズに小さくなったとき、大きいジャケットの良さが損なわれた感じがして寂しかったんですよね。でも、今回の再発とデジタル化で当時を知らない人たちが気軽に聴けるようになったのは嬉しいことです。
ーー原曲の「SOUL SPIRIT Part II」は、佐野元春さんが作詞作曲、伊藤銀次さんが編曲を担当されていますが、どういった流れで作られたんですか?
Bro.KORN:佐野元春が中学校の同級生だったんで作ってもらったんです。で、作ってもらったらいきなり「Part II」で来たんですよ。「Iはどうした?」と聞いたら「そのうちIを作る」とか言うから面白いじゃんと。佐野は中学の頃から真面目ですけど、そういう面白いジョークを言うヤツだったんで、なるほどねって。だから当時、Part Iをずいぶん探したファンもいるらしいんです。「Part Iはもう廃盤になってるみたいですね」とか言われたこともあったけど、いや、最初から作ってねえんだよって(笑)。
ーー当時、KORNさんは佐野さんがデビューして活躍していたことを知らなかったというエピソードを聞いたことがあります。
Bro.KORN:そうなんです。恥ずかしいことに佐野に人気があることを知らなくて。自分のラジオ番組でディレクターが佐野元春の「Night Life」を流そうとレコードを持ってきて、ジャケットを見たら「あれ? 同級生の佐野元春にそっくりなんだけど」って。
ーーあはは。
Bro.KORN:「いやいや、これ、佐野ちゃんじゃん!」みたいになって。佐野の実家に電話したらお母さんが出て「あら、コンちゃん久しぶり」なんて言われて。「今、ウチの元春はここにいなくて」なんて言われて電話番号を教えてもらってかけてみたら「いつも見てるよ、コンちゃん。それ、僕だよ」とか言われて「言ってよ、それ」って。「いや、僕のこと結構みんな知ってるんだけどな」「ごめんごめん」みたいな(笑)。そんな話から「今度、僕、ニューヨークに行くからコンちゃんにいろいろレコードを買ってくるよ」って、サム&デイヴとか買ってきてくれたりして。
ーーそんなきっかけで繋がっていったんですね。
Bro.KORN:そんな流れから、今度、『VISITORS』ツアーがあるから僕が書いた曲で一緒に出ようよって誘ってくれて。で、伊藤銀次さんと僕ら二人をゲストに呼んでくれてツアーを何カ所か回ったんです(1985年『VISITORS TOUR SPECIAL』ツアー)。銀次さんは「DESTINATION」をはじめ、僕らの曲を何曲か書いてくださってるんですけど、3人でいつも楽屋で笑ってましたね。だって出番がずっと来ないんですから。ライブが始まって1時間半くらい来ない。だから大阪に行ったときなんてマネージャーに南森町まで名物のコロッケを買いに行かせたりとか(笑)。本番に向けて着替えるのが遅くなるくらい、いろんなことを話して楽しいツアーだったんですよ。
ーーいい思い出ですね。
Bro.KORN:僕らの出番はステージ終盤なんだけど、風船がワーッと上から降ってくる演出になっていて涙が出そうになって。デビューしたばかりだから、佐野はいつもこんな良いステージをやってるんだって刺激をもらえたし、佐野がまた演出するんですよ。「僕がキャッチボールをしていた仲間なんだ。そんな仲間が今日来てくれてるんだ」とかってあの口調で紹介してくれて。演奏の中盤で俺たちが悪者みたいに佐野を追い込んでいく段取りだったんですけど、そうすると佐野がギターを向けて俺たちに向かってくる。佐野のファンがキャーキャー言うんですよ。だから、「なんだこの野郎、佐野をもっと攻めてやる」なんつって(笑)。本当に良い思い出ですね。
ーー今回の佐野さんが参加した新録バージョンは、KORNさんから佐野さんに声を掛けられたんですか?
Bro.KORN:それも不思議な縁で、僕の前のアルバムを手伝ってくれたSPAM春日井というアレンジャーが、今ちょうど佐野元春のレコーディングに携わってると聞いて。「そうなんだ? じゃあ、佐野に聞いてみてよ」ってお願いしたら佐野が二つ返事でOKしてくれて。「やりたい、やりたい」って今回の制作にすごくこだわってくれたんです。レコーディングもアレンジもSPAMが全部段取りしてくれて今回共演が実現したんです。
ーー原曲は60年代のSTAXサウンドを彷彿させる感じがありましたけど、新録はアシッドジャズを想起させるような爽やかで軽やかな感じに仕上がっていますね。
Bro.KORN:それ系ですよね。ノリが縦っぽい感じになりました。
ーーさらにKORNさんのディスクには「Tokyo Sweet Memories」というソロ新曲が入っています。
Bro.KORN:昔作った曲が7~8曲あって、「どれか良いのがあったらもう一回作るから」って、その中から2~3曲提案してみたんです。そしたら、これがいいんじゃないですか?っていうことになり、SPAMにアレンジを頼んで作ってもらったんです。
ーーどれくらい前に書いた曲なんですか?
Bro.KORN:30年前とか。いや、もっと前かも。歌詞は当時ちゃちゃっと書いたものだったから新しく書いたんです。どういう歌詞にしようか、いろいろ迷ったんですけどね。ストレートで軽い歌詞の方がいいかなと思って、必要以上にこだわらず書きました。
ーー過去の恋に思い出を馳せる内容ですが、今回のアルバムに収録されていることもあって、BGBの足跡を重ねて書いたところもあるんじゃないかと思っていました。
Bro.KORN:まったくそれはないですね(笑)。昔、女性をテーマにして書いただけです。