バブルガム・ブラザーズ Bro.KORN、“お茶の間ファンク”を追求した40周年 「これが遺作パート1ということで……」
「WON’T BE LONG」のヒットで“お茶の間ファンク”という言葉を生み出し、ソウルミュージックの楽しさを広く日本に知らしめたバブルガム・ブラザーズが、デビュー40周年を記念したアルバム『SOUL SPIRIT PartⅠ~ジジイは恋の合言葉~』をリリースした。2枚組となる本作には代表曲に加えて、ミリオンセラーを16年ぶりに新録した「WON’T BE LONG (THE FINAL)」を収録。佐野元春が彼らのデビュー時に楽曲提供した楽曲を佐野本人の参加で進化させた「SOUL SPIRIT Part III feat. 佐野元春」や、Bro.KORNとBro.TOMのソロ新曲も収められている。
さらに今回は1985年発売のデビューアルバム『SOUL SPIRIT Part II』を最新リマスターして初CD化から14年ぶりに再発、アニバーサリーイヤーにプレミアムな華を添えている。昨年3月にBro.KORNが乳がんからの復活ライブを成功させ、昨夏にBro.TOMと二人で再始動。幾度もの活動休止を乗り越えてきたバブルガム・ブラザーズの長期にわたる活動の秘訣はどこにあるのか。新録曲の制作エピソードを中心にしつつ、デビュー40周年に完全復活を遂げたバブルガム・ブラザーズの真髄をBro.KORNに語ってもらった。(編集部)
LINEも知らないし、昔から電話番号も知らないーーBGBが40年続いた理由
ーーデビュー40周年おめでとうございます。まずは今のお気持ちから教えてください。
Bro.KORN:まさかもう70歳になるジジイ2人にアルバムなんて出させてくれないだろうと思っていたんですけど、ソニーさんが遺作にもなるだろうからと動いてくださって(笑)。これが遺作パート1ということで、ここから幾つパートが続いていくか。そんな感じも面白いんじゃないかということでアルバムを出すことができました。とても嬉しく思っています。
ーー活動休止・再開を繰り返しながらの40年ですが、グループを続けられた理由はどこにあると思われますか?
Bro.KORN:運が良かったのがまずひとつ。それから俺とTOMの二人が揃わないとバブルガム・ブラザーズというブランドにならないという自分たちの意識ですね。
ーーバブルガム・ブラザーズ(以下BGB)はひとつのブランドであると。
Bro.KORN:それぞれソロ活動もしてるんですけど、二人揃ったときの色が強いと思うんです。演出家やディレクターに言われたことを全部覆してやっちゃう二人だったんで(笑)。しかも、それがウケてきた。我々の演出はどちらかひとりでもできないし、今まで誰も我々を演出することができなかった。それがひとつの強みかもしれないですね。
ーーBGBのライブパフォーマンスはエンタメ精神にあふれていて、常にユーモアを大事にされてきました。
Bro.KORN:結局、笑い=裏切りっていうことだと思うんです。楽しい裏切りを自分たちのキャラクターにしつつ、その一方で“お茶の間ファンク”という言葉を作り、和製のソウルミュージックやファンクミュージックを追求してきた。そういうことをひっくるめて我々にしかできないことをやってきたことが40年続いた理由だと思いますね。
ーー二人でステージに立つと、ひとりのときとは違うパワーが発揮されるんでしょうか。
Bro.KORN:ひとりひとりが違う世界を持っているので、二人揃った瞬間に違うものができあがるんですよね。僕らはお互いのLINEも知らないし、昔から電話番号も知らないんです。電話して飲みに行ったこともないから不仲なんじゃないかと言われてきましたけど、いつも一緒にいるとつまらないんですよ。漫才師や他のデュオの方たちもメジャーになればなるほど、友達や後輩が別々になったり、飲みに行く店も別々になったりして……。
ーー楽屋も別々とか、よく聞きます。
Bro.KORN:移動の新幹線も別席で、泊まるホテルも別々の階とか。僕らもそうで、そうすると二人でバンと会ったときに「最近何やってたの?」みたいな会話が台本じゃなくなるんです。「え、そんなことやってたの?」っていう驚きもあるし、二人で会うのはそんなに久しぶりなんだっていうこと自体が笑いになる。そうやってアドリブで交わす会話が面白くてやってきたし、新鮮さが損なわれない。それが40年続いた秘訣かもしれないです。
ーー今回のデビュー40周年記念アルバムは新録曲も収録された変則ベストアルバムになりました。
Bro.KORN:マスタリングをやり直して音質を良くしたりしてるんですけど、それだけだと昔の曲を集めた、ただのベストアルバムになっちゃうんで。もう古希になるということで自分たちの今の声を使って作ろうと。自分たちが今やってるライブの歌声を聴いてもらえる曲も入っていたらいいかなと思ったんです。
ーーDISC 1がBro.KORN SIDE、DISC 2がBro.TOM SIDEと銘打たれていて、それぞれのソロ曲も収録されています。BGBの楽曲はどちらにも入っていますが、取り合いにならなかったんですか(笑)?
Bro.KORN:そういうこともあるかなと思ったんですけど、自然に決まってましたね。でもTOMの方に「WON’T BE LONG」の新録が入ってるんで、あの曲しか知らないヤツはTOMの方ばかり聴くんだろうなとか、そういう心配はちょっとありました(笑)。
ーーでも、「WON’T BE LONG」の新録はTOMさんも歌ってますし。
Bro.KORN:そうなんですよ。TOMが歌っちゃってるんでね(笑)。歌ってなきゃ俺の方に入れてたかもしれないんだけど。