2020年に始動したスリーピースロックバンド・TRiDENT。ライブという現場でストイックに実力を磨き続け、今年5月にはアウター着用必須の『TRiDENT 五周年記念「五苦愛襲 雷武」』（ごくあつらいぶ）を企画するなど、趣向を凝らしたライブも経験してきた。

　5周年記念ライブから3カ月後、8月23日に代官山UNITで開催されたのが『TRiDENT ONEMAN LIVE「Continue.」』。始まりの楽曲である「Continue」に“ピリオド”をつけたタイトルと「TRiDENTにとって大切な1日となります」という告知、さらにSNSでこれまでの活動を振り返るマンガが公開され、開催前にはただならぬ気配が漂っていた。結果的に、「メジャーデビュー決定」という特大ニュースが発表されたのは周知のとおり。超ポジティブな意味での“大切な1日”となったライブを振り返っていきたい。

　完全ソールドアウトの会場には、少し不穏なムードが漂っていた。しかし、開始早々「JUST FIGHT」「KICKASS」とアグレッシブなナンバーを畳みかけるバンドに煽られ、すぐさまダイブやモッシュが発生。助走ゼロで熱気を高めていく。

　多彩なギターをかき鳴らしながらのびやかな歌声を響かせるASAKA（Vo/Gt）、五弦ベースを操ってグルーヴを牽引するSERINA（Ba）、爆発的なエネルギーでバンドの芯を担うNAGISA（Dr）。スリーピースとは思えない分厚いサウンドにASAKAとSERINAのハーモニーが重なって生まれる音圧は圧倒的だ。「悔いのないように出し切っていくから、もっとアゲていけますか！」というASAKAの言葉もあり、いつも以上にオーディエンスとの真っ向勝負というべき空間ができあがっていた。

　前のめりなロックナンバーを軸にしつつ、4つ打ちビートとSERINAのスラップソロで踊らせる「Haha!」や、キュートなポップパンクにクラシックのフレーズを取り入れた「Nocturne」、切実なメッセージをヘヴィに解き放つ「CRY OUT」など、最新アルバム『DUX』の楽曲たちの存在感が際立つ。結成から5年、幅広い表現力を身につけてきた3人の進化をひしひし感じた。そして、ASAKAが「これまで私たちを応援してくれた、大切なみんなに贈ります」と語った「be with you」で、感動はピークに。まさに5年の歩みをなぞる歌と演奏に応え、盛大なシンガロングが響き渡った。

　一度暗転してメンバーからのメッセージ動画が流れたあと、ついにメジャーデビューが華々しく発表された。直前のメッセージが「今までのTRiDENTにピリオドを打ち……」というかなりシリアスなモードが広がった反動で、すべての不安を払拭するおめでたいニュースに会場を揺らすほどの大歓声が湧く。少し不安にさせる意味深な演出も、すべて最高の発表のために仕込みだったわけだ。メジャーデビューだけでなく、初のアニメタイアップに全国ツアー、3度目の開催となる『おじ祭り』などなど、盛りだくさんの情報にうれしい動揺が広がるなか、3人が新衣装で登場。「ドッキリ成功！」と言わんばかりの笑顔で「メジャーデビューしまーす！！」と報告した。

　「インディーズのTRiDENTにピリオドを打って、メジャーのTRiDENTとして、心機一転パワーアップしていくのでよろしくお願いします！」と宣言するASAKAに続き、NAGISAとSERINAもそれぞれマイクを取って心境を語る。前身バンドであるガールズロックバンド革命の時代から現在まで、決して平坦ではなかった道程を振り返り、思わず涙ぐむシーンもあった。しかし、3人の言葉に共通していたのは「これはゴールではなくスタート」という意志。あらためて「東京ドーム」という結成当初からの目標に言及したASAKAは、「メジャーデビューはひとつの通過点。ここからたくさんの仲間を引き連れて大きなところに向かっていきたいので、みなさんついてきてください！」と高らかに叫び、その思いをメジャー1st EP『BLUE DAWN』のリード曲「黎明ノ詩」に込めて届けた。

　MY FIRST STORYのNobが書き下ろした「黎明ノ詩」は、凛と響くメロディに、TRiDENTらしいダイナミックなバンドアンサンブルが映えるナンバー。初披露ゆえの緊張感も相まって、力強さとともに瑞々しい輝きが心に焼き付いた。

　そして、「みんながいるから私たちがいる」と何度も感謝を告げ、ガールズロックバンド革命時代に発表した名曲「START」へ。さらに、ライブタイトルになっている始まりの一曲「Continue」を投下してフィナーレを迎えた。どんどん研ぎ澄まされていくサウンドに負けじと、最後の最後までモッシュもダイブもシンガロングもなんでもありで高まり続けたフロアの一体感がすさまじい。ガールズバンドという枠組みを超えて突き進む彼女たちと並走してきた情熱を、インディーズラストライブに刻みつけた。オフィシャルファンクラブ「TRiBE」の発足に合わせて正式に“トライバー”というファンネームも決まり、ますます絆を深めて未来へと歩んでいくに違いない。

　ライブハウスという大切な場所で、大切な“トライバー”とともに新たな扉を開いたTRiDENT。11月5日のメジャー1st EP『BLUE DAWN』リリースを前にさまざまな展開が発表されているので、ぜひオフィシャルサイトをチェックしてほしい。スピードを上げて走り出した彼女たちの今後に注目だ。

■リリース情報
1st EP『BLUE DAWN』
2025年11月5日（水）リリース

・初回限定盤（CD+DVD）4,500円（税込）
・通常盤（CD）：2,500円（税込）

＜CD収録内容＞
「黎明ノ詩」作詞：ASAKA／作・編曲：Nob（MY FIRST STORY）
「タイトル未定」作詞・作曲:ASAKA／編曲：堀江晶太（PENGUIN RESEARCH）
「MIRACRAID」作詞：ASAKA／作曲：NAGISA／編曲：Koji Hirachi
「恋のマジックポーション」作詞・作曲：ローリー寺西
「タイトル未定」未定
新録5曲収録予定

＜DVD収録内容＞
・MV
・メイキング映像　　収録予定

■公演情報
『おじ祭り2025』
2025年9月20日（土）代官山UNIT
開場 16:30／開演 17:30
※35歳以上の男性のみ入場可

■ツアー情報
『BLUE DAWN TOUR 25-26』
2025年11月8日（土）福岡県・福岡 CB
2025年11月9日（日）岡山県・CRAZYMAMA 2nd Room
2025年11月13日（木）香川県・TOONICE
2025年11月14日（金）大阪府・阿倍野 ROCKTOWN
2025年11月23日（日）新潟県・CLUB RIVERST
2025年11月30日（日）神奈川県・BUZZ FRONT
2025年12月5日（金）兵庫県・神戶太陽と虎
2025年12月13日（土）北海道・KLUB COUNTER ACTION
2025年12月14日（日）宮城県・ROCKATERIA
2025年12月28日（日）愛知県・名古屋 SPADE BOX
2026年1月23日（金）東京都・WWWX

ツアー詳細：https://trident-japan.com/

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