Vaundy、Snow Man、矢沢永吉、BE:FIRST、IVE、Kroi……注目新譜6作をレビュー
BE:FIRST「Secret Garden」
北米、アジア、ヨーロッパなどを巡る初のワールドツアーを開催し、国内のフェスでも圧倒的な存在感を見せつけているBE:FIRST。LAでのコライトキャンプで制作された新曲「Secret Garden」は、メンバー自身のルーツである2010年代のR&Bを想起させつつ、現代的なポップミュージックへと結びつけたミディアムチューンだ。印象的なシンセのリフ、ドープに響くキックとベースラインを軸にしたトラックのなかで、なめらかにして濃密な旋律、ハーモニー、フロウがどこまでも気持ちよく溶け合っている。海外公演を経て、いきなり成熟の度合いを増したメンバーたちのボーカリゼーション、そして“二人だけの秘密の場所”をモチーフにした歌詞の世界に心ゆくまで埋没してほしい。(森)
IVE「XOXZ」
最新EP『IVE SECRET』の冒頭を飾るナンバー。冒頭からブーンブーンと響く低音が印象的で、808ベースの使い方はHIPHOPクラシックを意識したと思われるが、聴き終えてみればポップスとしての清涼感、透明感のほうが勝っている不思議な曲である。作詞はWONYOUNG、作曲はDiedrik van Elsas、Emma Rosenなど多国籍クリエイターチームによるもの。ビートとベース以外の音がほとんど入ってこないこと、メインとなる歌唱の周りには常にミニマルなハーモニーが添えられていること。構成としてはこれだけで、強烈なインパクトで引き込むような仕掛けもないのだが、聴けば聴くほど2分半とは思えない深淵に引き込まれてしまう。(石井)
Kroi「HAZE」
オーセンティックなジャズ〜現代的なR&Bが自然と溶け合うアンサンブル、穏やかで切ないメロディライン、そして、全体を包み込む東洋的なエキゾチズム。映画『九龍ジェネリックロマンス』主題歌として制作された「HAZE」は、原作から感じられる不思議な懐かしさ、過去と現代が共存する世界観とリンクしつつつ、Kroi本来の奔放なミクスチャー的なセンスが色濃く反映されたメロウチューンだ。すべての楽器が有機的に滲むバンドサウンドのなかで――まさに“HAZE”(=靄)のように――儚げで美しいボーカルが広がっていき、リスナーの心と身体をゆったりと揺さぶる。単なる歌モノではなく、官能的なダンストラックとして機能しているのもこの曲の魅力だ。(森)