King & Princeは約束をし続けられるアイドルだ――永瀬廉と髙橋海人、東京ドームで証明した“今”を観て

 後半戦は、アルバムの世界観からは少し離れ、King & Princeらしさ満載の近い距離感での演出が光るセットリストとなった。「話をしようよ」は、リクライニングチェアに座って揺れながら歌い、リラックスした空気でスタート。センターステージに置かれたさまざまな種類の椅子に次々座っていく永瀬を髙橋が追うように移動するお茶目なシーンも。肩を組み、目を合わせながら穏やかな世界を作り出していくのを、会場中が微笑ましく見つめる。次に披露されたのは、緑黄色社会が作詞作曲を手掛けた「ボーイミーツガール」。スクリーンに映ったキャラクターたちのハンズアップやハンドクラップに合わせ、ペンライトの波が一体感を生み出していった。永瀬のソロ曲「染み」は、なにわ男子・西畑大吾とAぇ! group・正門良規とのコラボ楽曲。まっすぐな友情と夢が歌われている曲に合わせたストレートなボーカルからは、永瀬の素顔や秘められた熱さを垣間見たようだった。

 ここで惑星を模したモニュメントのようなフロートがアリーナに登場。高さ16mにまで上昇するリフターには、衣装チェンジしたふたりが。歌われたのは、「今君に伝えたいこと」だ。上空から声が降り注ぐように、ラブソングの甘い空気が会場を包んでいき、「エスコート」へ。フロートで移動しながらキラキラとした笑顔でライブを心底楽しんでいるふたりの表情が印象深い。

 怒涛の展開はまだまだ続く。トロッコに乗り換え会場中を巡りながら、「名もなきエキストラ」「Hello!!!ハルイロ」「Love Paradox」「Super Duper Crazy」「ゴールデンアワー」と新旧の楽曲をメドレー形式で披露。会場をさらにひとつにしていく。サブステージに到着し、ジャケットを羽織って歌われたのは、「koi-wazurai」。永瀬と髙橋のアイコンタクト、息の合ったシンクロ度の高いダンスと、キンプリらしいステージングに回帰した。続く「HEART」では、その歓声と会場の盛り上がりからも新たな代表曲であることがわかる。アイドルならではの音楽の力を感じ、ふたりの声が生み出すKing & Princeという生命体の魅力が凝縮したようなステージだ。会場にいるすべての人を前向きにし、希望あふれる未来を見せる力を持った「なにもの」へと続く。きらめきとポジティブなエネルギーが会場を満たしていく。そして「シンデレラガール」へ――。客席のTiaraをまっすぐ見つめるふたりの愛おしげな表情、Tiaraに求めたワンフレーズのシンガロング、ともに歩む未来を約束し続ける名曲によって、会場中が幸福感に包まれていった。

 エンドロールムービーが流れ本編が終了したように思われたが、映像が途切れるとスモークが焚かれたステージ中央の扉が開き、「ツキヨミ」のイントロが流れると、会場が揺れた。甘い空気のまま終わらせない――遊び心とサプライズだ。黒とブルーを基調とした衣装に着替え、ハードかつエレガントなダンス&ボーカルによって、ほんの少しの陰を携えつつ強さと激しさを体現する。炎の特効が鳴り響き、ステージから姿を消したふたりは強烈な印象を残し、本編が終了した。

 アンコールに応え、ライブTシャツに着替えたふたりは、キャラクターがあしらわれたキュートな気球に乗って再登場。2階、3階と会場の上のフロアまで会いに行く。「I Will...」「恋降る月夜に君想ふ」「Sha-la-laハジけるLove」「君に届け」と、笑顔で手を振りながら、会場全体を喜びで満たしていった。

 ふたり体制になって初めてのドーム公演。広大な東京ドームという会場でも、永瀬と髙橋はできる限りTiaraの近くへ行き、会場の広さを感じさせないように観客を包み込んだ。エッジの効いた新しい挑戦的な表現、King & Princeだけが持っているオリジナルの世界観。そのどちらもポジティブで力強く、何よりふたりが心底楽しんでいるように見えた。

 King & Princeは、約束をし続けることができるアイドルだと思う。「またライブで会おう」「ポジティブに前へ進もう」「相思相愛でいよう」……ダイレクトな言葉はなくても、音楽とパフォーマンスで、前向きな約束をし続ける。そんなふたりの絆、そしてふたりとTiaraの絆を強く感じられたライブだった。

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