Aqours、9人で立つ最後の舞台に刻まれた10年の誇り 声を重ね、虹を咲かせた“永久”のステージを見て
そして、やはり特筆したいのは観客との信頼関係だ。ライブ本編を終えてアンコールに入ると、アリーナの観客はペンライトを千歌のメンバーカラーであるみかん色に。スタンドも同様に、ライトブルーからヴァイオレットまで8色に切り替わり、驚くほどあっという間に9色の虹が浮かび上がった。リレーインタビューで過去のライブを振り返った際、キャストたちからも「感動した」と話題に上がった光景の再現だ。Aqoursの9人が「いいものを見せたい」とリハを重ねていたのと同じように、観客もまた「9人にいいライブだったと思ってもらいたい」と考えていたのだろう。そのひとつが、この虹となって表れた。
さらに感動的だったのは、アンコールを受け再登場した9人が、最後の曲「勇気はどこに?君の胸に!」を披露したあとだ。トロッコで客席後方からメインステージに戻るまで、同曲のインストが流れていたのだが、それに合わせて観客が歌い続けていたのだ。「もしかして……?」と、イヤモニを外し観客の歌声を耳にした9人。中には口に手を添え、今にも泣き出しそうな表情のキャストもいた。
歌詞には、〈何度だって追いかけようよ 負けないで〉とある。逆境にもまれながら10年間走り続けたAqoursへ向けたファンからの感謝と、これからのエールが込もっていたように感じた。
筆者は、過去に同業者から「『ラブライブ!』の新しいグループってどう思います?」と聞かれたことがある。10年前のことだ。相手の否定的な声色が印象的で、今になっても思い出すことがよくあるのだが、当時はそのくらい日常的に“新グループ”への反発を耳にしていた。当の本人たちは、相当苦しかったはずだ。しかし「負けたくない」という反骨精神を胸に、圧倒的なパフォーマンスでその声を乗り越えて、10年間も走り続けてくれた。ドームツアーがコロナ禍の影響を受けて中止になるなど、この間にも逆境はあったが、それでも「きっと希望がある」とファンをも前を向かせてくれたのは、“Aqours”のその姿勢があったからだろう。
Aqoursが9人でワンマンライブを行う機会はこれで最後となるが、Aqoursの活動自体がなくなるわけではない。もはや毎年恒例となっている『ラブライブ!サンシャイン!! 沼津地元愛まつり 2025』(11月開催予定)など、今後もAqoursとしてステージに立つ姿は見られるはずだ。Aqoursは“永久”だから。
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■『ラブライブ!サンシャイン!! Aqours Finale LoveLive! ~永久stage~』
Day.2:2025年6月22日(日)ベルーナドーム
<セットリスト>
01. DREAMY COLOR
02. GEMSTONE "DE-A-I"
03. Aqours☆HEROES
04. 届かない星だとしても
05. 恋になりたいAQUARIUM
06. Deep Blue
07. Daydream Warrior
08. スリリング・ワンウェイ
09. 未来の僕らは知ってるよ
10. MY舞☆TONIGHT
11. MIRACLE WAVE
12. 空も心も晴れるから
13. WATER BLUE NEW WORLD
14. WONDERFUL STORIES
15. キセキヒカル
16. HAPPY PARTY TRAIN
17. 僕らの海でまた会おう
18. 僕らの旅は終わらない
19. 未体験HORIZON
20. Brightest Melody
21. SAKURA-saku KOKORO-saku
22. 永久hours
ENCORE
EN1. 君のこころは輝いてるかい?
EN2. 勇気はどこに?君の胸に!