乃木坂46 中村麗乃&日向坂46 富田鈴花が“歌”で切り拓いた自らの居場所 それぞれが描く卒業のステージへ
乃木坂46の中村麗乃と日向坂46の富田鈴花の卒業が目前に控えている。奇しくも同時期に卒業を迎えることになったこの二人に共通するのは、“歌”を軸にキャリアを築いてきたという点だ。
ミュージカル『Endless SHOCK』などで確かな評価を得てきた中村。彼女の卒業セレモニーは、異例のソロ形式で開催される。一方、松田好花とのユニット・花ちゃんズとしてアコースティックのスタジオライブを行ったり、テレビ番組『千鳥の鬼レンチャン』(フジテレビ系)で女性アイドル初の完全成功を果たすなど、音楽的な実力を全国区に知らしめた富田は、配信での卒業セレモニーに加えて、生バンドを従えたソロライブ『Suzuka Tomita (Hinatazaka46) One Last Live on MTV』も開催される予定となっている。
2016年に乃木坂46の三期生として加入した中村は、そのスタイルのよさでモデル的な印象を与えつつ、加入当初は『乃木坂工事中』(テレビ東京系)で“おバカキャラ”として注目されるなど、バラエティ寄りのパブリックイメージが大きかった。だが、乃木坂46の三期生公演『3人のプリンシパル』を機にその表現力が大きく注目を集めることになる。その才能が大きく花開いたのが『アンダーライブ』の舞台だった。選抜メンバーに選ばれずとも、自らの表現を発揮できるこの場で、中村はパフォーマンスと歌声を通じて評価を高めていく。とりわけ「別れ際、もっと好きになる」でのセンター抜擢や「何度目の青空か?」のソロ歌唱は、彼女がただのビジュアルメンバーではなく“実力派”であることを強く印象づけた。
そして2023年、堂本光一作・構成・演出・主演の『Endless SHOCK』でヒロイン・リカ役に抜擢。日本ミュージカル界の聖地・帝国劇場での演技は高く評価された。2025年には『ダンス オブ ヴァンパイア』でヒロイン・サラ役を務め、その歌唱力と演技力を改めて証明している。
卒業セレモニーは6月26日、ヒューリックホール東京で開催。出演者は中村のみという、グループ史でも極めて稀なソロ形式で行われる。中村にとってそれは、乃木坂46の一員としての最後の舞台であると同時に、新たな人生を歩み始めるための開演を告げるベルになるはずだ。
富田は、2017年にけやき坂46(現・日向坂46)の二期生として加入。冠番組『日向坂で会いましょう』(テレビ東京系)では、明るくテンションの高い“パリピキャラ”として存在感を放ち、体を張ったリアクションでもファンを楽しませてきた。その一方で、音楽に対する情熱を静かに、しかし着実に育てていたメンバーでもあった。
同期の松田と組んだユニット·花ちゃんズでは、ギターの弾き語りやハーモニーを中心としたアコースティックな活動を展開。スタジオライブ『MTV ACOUSTIC FLOWERS -Until Full Bloom “Bell & Like”-』(MTV)では、日向坂46の楽曲をアレンジしながら、アーティストとしての一面を見せた。決定的だったのは、『千鳥の鬼レンチャン』での快挙である。「サビだけカラオケ」にて女性アイドルとしては初の鬼レンチャンを達成し、“歌が上手なアイドル”という評価を全国の視聴者にまで浸透させる転機となった。
卒業セレモニーは、6月27日に『日向坂46 14thシングル「Love yourself!」発売記念配信ミニライブ』の中で開催。だが、それだけにとどまらず、7月23日には立川ステージガーデンで初のソロライブ『Suzuka Tomita (Hinatazaka46) One Last Live on MTV』も開催される。