吉田美和、Toshl、奥田民生、吉川晃司、岡村靖幸、前田亘輝……第一線で活躍する“還暦アーティスト”のいま

 吉川晃司は、今年8月に60歳を迎える。1984年「モニカ」で鮮烈なデビューを飾った彼は、派手なアクションと色気ある低音ボイスで一世を風靡した。近年は俳優としての活躍も目立つが、歌手としての情熱は変わらない。狭心症や外傷性白内障を克服しデビュー40周年を迎えた吉川は、体を鍛え”武士の精神”を日々学ぶストイックな姿勢で自分自身を磨き続けている。実際、昨年はギタリスト・布袋寅泰とのユニット COMPLEXとして13年ぶりに再集結し、東京ドーム公演で約10万人を熱狂させた。このライブでは医師から運動制限を指示されていたというが、側転しながらシンバルを蹴り上げる凄技まで取り入れたステージングは圧巻で、還暦目前にしてそのパフォーマンスの凄みは健在だった。

吉川晃司『KIKKAWA KOJI 40th Anniversary Live』Teaser映像第1弾

 岡村靖幸も、今年8月に60歳を迎えるひとりである。1986年に「Out of Blue」でデビューした岡村は、ファンク色の濃い独特のポップサウンドとユニークな歌詞世界で支持を集めた。唯一無二のファルセットボイスとグルーヴィーなパフォーマンスで知られ、渡辺美里、吉川晃司、鈴木雅之、川本真琴など他アーティストへの楽曲提供でも才能を発揮している。近年も挑戦を続けており、2023年末には斉藤和義との新ユニット“岡村和義”を結成した。クリスマスに発表されたこのコラボレーションでは立て続けに新曲をリリース。翌2024年には全国8都市12公演のツアーを開催。このユニットは「GQ MEN OF THE YEAR 2024」ベスト・コラボレーション賞を受賞するなど高い評価を得ており、岡村が還暦を前にしてなお創作意欲にあふれていることを示している。また、時を同じくして2023年12月には松任谷由実のデビュー50周年企画アルバム『ユーミン乾杯!!~松任谷由実50周年記念コラボベストアルバム~』で松任谷本人と「影になって」のデュエットを披露し、レジェンド同士の共演でも存在感を示した。長きにわたるキャリアのなかでその音楽性はますます円熟味を増し、新たなコラボレーションやライブ活動でシーンを盛り上げ続けている。

岡村靖幸 映像作品「アパシー」予告編

 そして、夏の代名詞とも言われるバンド TUBEの前田亘輝も今年還暦を迎えた。1985年のデビュー以来、「シーズン・イン・ザ・サン」「あー夏休み」などを次々とヒットさせ、日本中に夏の風物詩を届けてきた存在である。伸びやかでパワフルな歌声は現在も全く衰えを見せず、ステージを駆け回るエネルギッシュなライブを今なお行っている。デビュー38周年を迎えた2023年6月、前田は「少しでも応援いただく皆さんの心の足しになるような音楽を届けられるよう努力します」(※1)と感謝と抱負を語り、長年支えてくれたファンへの思いを新たにしていた。その言葉通り、バンドは精力的に活動を続けており、結成40周年となるこの6月にはハワイ・ホノルルのワイキキシェルにて約20年ぶりとなる海外公演を開催した。南国の野外ステージで、一夜限りのアニバーサリーライブを行う計画は、前田、そしてTUBEが音楽的情熱を燃やし続けていることの証と言えるだろう。

TUBE 「知らんけど feat.寿君」 Music Video フル

 “声”というたったひとつの楽器で時代と対峙してきた6人のボーカリストたち。その歌声は、円熟の深みと人生のリアリティをまといながら、ますます力強く響き渡っている。そして何より、その声は今もなお、誰かの“明日”に勇気と希望を届けているのだ。

※1:https://x.com/TubeMaeChan/status/1664191579735851008

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