東方神起、20年分の感謝を届けた日本ライブツアー『ZONE』 笑顔溢れる東京ドーム3Daysは意義深い時間に

 東方神起の日本デビュー20周年の節目を祝う日本ライブツアー『東方神起 20th Anniversary LIVE TOUR ~ZONE~』が2024年11月29日よりスタートし、その追加公演となる東京ドームでの3Days公演が4月25日から27日にかけて開催された。本稿では2日目、26日の模様をお届けする。

 まだ外が明るい時間、2つの影が静かにステージに現れた。白の衣装に身を包んだユンホとチャンミンが「T.R.H.M」でショーの開幕を宣言し、T型のペンライトの赤い光が一気に場内に灯る。本公演の舞台は、人々が仮想世界の中で管理されて生きる未来の世界。その世界観と連動するような「Humanoids」の機械的な演出が強く印象に残った。

 モニターが虹色に光ると「IT’S TRUE IT’S HERE」のブラスバンドが色鮮やかに音を鳴らし、「東京の皆さん、一緒にクラップ!」と盛り上げる。「いよいよ楽しみにしていた東京ドームが始まりましたね!」(ユンホ)、「思い切り楽しむ準備はOK?」(チャンミン)と、2人もこの公演を心待ちにしていたようだ。ムービングステージでスタンド席に近づいた「Cheering」を経て、紫色のライトが一面を照らす「Purple Line」のイントロが流れると大きな歓声が沸き起こる。

 VTRでは、近未来で生きる子どもと対面した2人が「僕達の世界を見せてあげるよ」といざない、まるで失われかけた何かを思い出させるように、その空間にこれまでのライブ映像が流れ始める。「僕たちの世界、もっと見てみたい?」「手を貸して」と2人が目を瞑ると、時計の針が巻き戻り、時代は現代の東京へ。20周年を迎えた東方神起だからこそ、過去、現在、未来の時を繋ぐ物語に説得力が生まれるのだろうと感じる。

 パーカッションが豪華なサウンドで華を添える「Something」では、ゴールドと紫を基調とした煌びやかなステージや、ロープをギターに見立てたような演出が見所に。「シアワセ色の花」でも、まるで花が綻ぶような優しい歌声がドームを包んでいた。

 MCで「皆さんとまたこうやって東京ドームでお会いすることができてとても嬉しいです」と再会を喜んだチャンミンは、「目の前にいらっしゃる皆さんがどうしても花のような素敵な綺麗な笑顔ですから、今日はお花見ZONEにしましょうって話してました」と言葉を並べてドームを見渡す。ユンホも「チャンミンさんいいこと言いますね」と言い、「実際にお花は用意してないですけど、皆さんがお花っぽく見えるんですよ」と話す。かと思えば、「今すごく甘い言葉を言っているけど、照れてるんですよ」「花束を渡すつもりできましたので思い切り楽しんでくださいね」とはにかむ彼らしさも見られた。

 また、「昔はMCで決まったセリフを喋ることで精一杯だったけど、今は日本語も覚えてこうして皆さんと近況も話すことができて、20周年を迎えて日本で活動する外国人の貫禄というか......」とのチャンミンに、会場が笑いの渦に包まれる。一挙一動に滲み出るアットホーム感にも、日本デビュー20周年の重みを感じた。さらに、今年1月にトーク番組『人生最高レストラン』(TBS系)に出演した際に加藤浩次から提示された罰ゲームとして、明石家さんまさんのネタを約5万人の前で披露。「モニターに映る自分の顔が最悪で......」「でも約束は守りました」という彼らに、会場からアンコールを催促する手拍子が聞こえてくる。堂々とやり終えた2人は「さんまさんくらいの境地に辿り着かないと、簡単にできるギャグじゃありませんよね」とひと息つきつつ、「本当に、僕らも目指しましょう、境地」「20周年を乗り越えて今の東方神起がいる境地――ZONEですからね!」と意気込んだ。

 チャンミンは、「今、目の前にいる皆さんの声援や応援があったからここまで来られました」「愛に応えられるアーティストになるために一生懸命頑張っていきたい」と宣言。ユンホは、「これからも一緒に歩んでいきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします」と伝え、“(観客が)東京ドームで聴きたかった曲かもしれない”と語る「Duet」へ。「LIVE YOUR LIFE」からは2つのトロッコに分かれて会場中を周り、「Easy Mind」では最後に口笛を吹いて見せるユンホをチャンミンがなんとも言えない表情で見守るシュールな瞬間に笑いが起こり、「ARK」では、20年の歴を感じさせる歌唱力に圧倒される。

 後半は、ダンサーを従えたハードなダンスナンバー「ON MY RADAR」、スーツやドレス姿に着飾ったダンサーが恋模様を繰り広げる「PARTY LIKE MADONNA」、歌声に聴き入るミディアムテンポの「DAMN GOOD」と目まぐるしく移り変わるパフォーマンスが目白押しだ。

 ここからは一気に空気が変わる。ギターの音色が響いた直後、そのトーンを受け継ぐように赤黒く染まるドーム。東方神起の代表曲の1つ「Why? [Keep Your Head Down]」のイントロが聞こえ出した瞬間、この日最大の悲鳴が起こる。一瞬で白いファーニットに着替えると、ストリングスが優しい旋律を奏でる「Love in the Ice」へ。終始美しく芯のあるハーモニーを重ねていく2人の歌声は、東京ドームの広さに収まりきらないのではないかと思うほど天高くまで響き渡っていた。

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