エンガブ流のマドンナ――ゲイカルチャーで愛され続ける名曲たちへの敬愛

――そして最後は、「Love is Always Light of My Life」とともに核になったという「(Life is always like a )Ball」。この曲が最後にあることで、エンガブが今回ダンスを歌った意味がわかるなと感じました。

Takassy：そうなの！　今回の作品は、LGBTQとかゲイカルチャーへのリスペクトも表したものにしたいなと思っていて。この曲は、ゲイのなかでも伝説的な楽曲と言われているマドンナの「Vogue」（1990年）のオマージュを作ろうというところから始まりました。「Vogue」はずっとカバーもしていて、そういう曲はいつか作りたいと思っていたので、「今だ！」と思って。

――具体的にはどのように作り進めていったのでしょう？

Takassy：ゲイカルチャーで愛されている歴代の楽曲をひたすら聴き続けました。ひとりで新宿二丁目のクラブにも行ったりして。友達と行くんじゃなくて、そういうところで遊んでいる人を客観的に見てイメージを膨らませていきましたね。同時に、ゲイカルチャーで愛されている映画にも触れたいなと思って、歌詞にも入っている『プリシラ』（1994年）という映画の世界観もミックスしました。『プリシラ』というのは、都市部に住んでいるドラァグクイーン3人が、バスに乗って旅をするというロードムービーです。荒地を進むなかで、いろんな街の人と出会って絆を深めたり、迫害を受けたりするんですけど、それが人生みたいだなと思って。同時に、すごく終末っぽくもあるんです。それが今の時代とちょっと重なって、「どうせ終わるんだったら私たちはエンガブを貫いてやっていくよ」ということを歌いたいなって思いました。「どうせ終わるんだったら踊って死んでこ！」みたいな。

HIDEKiSM：“踊る阿呆に見る阿呆”じゃないけど、せっかくだったら踊って楽しんで「私の人生最高だったわ！」って終えられたほうが、皆さんも楽しいんじゃないの？――そういう訴えかけを私も感じました。

――だからこそ、歌ううえで心がけたことはありますか？　

HIDEKiSM：ドラァグクイーンのマインドですね。マドンナもドラァグクイーンも、品格があり、堂々と「私はまわりにどんなふうに言われようとも自分を貫くから！」みたいな姿勢があるなと感じて。だから、ただハッピーに歌うのではなく、凛々しく、誇り高く歌うように心がけました。

Kamus：あるライブ終わりにTakassyに「『プリシラ』観たことある？」って聞かれて、その帰りの新幹線のなかで観たんですよ。そのあとにこの曲を聴くと、聴き方が変わって。最初はただ楽しく音にノっているだけだったけど、重みのあるノり方になるというか。ノリ自体も冒頭と終盤で変わるので、ラストっぽくて、アルバムの最後にこの曲があるのがいいなと思いました。

Takassy：あら、うれしい。

――コンセプトアルバムではないけれど、曲順も含めてすごく意味のある10曲が並んでいますよね。『ENGABALL』というアルバムができあがってみていかがですか？

Takassy：ふたりがどう思っているのか聞きたい。

Kamus：私は早くみんなに聴いてもらいたい。そのうえで、うちら3人が作り上げるステージの一部に、みんなもなってほしいなって思っています。

HIDEKiSM：私は「Love is Always Light of My Life」と「(Life is always like a )Ball」というディスコソングで挟むのがミソかなと思っていて。人生っていいときもあれば、悪いときもあって、それが続いていく。それが表現されたアルバムだなって思います。そうやって全部聴いてもらったら、「この曲、好きだわ！」と思う曲があると思うので、全曲聴いてもらえたらうれしいです。

Takassy：10曲目のタイトルがどうして「(Life is always like a )Ball」なのかというと、ボールルームダンスのイメージで。ボールルームダンスは、社交ダンスとかマスカレードとか、輪になってパートナーが次々変わっていくダンスのこと。それって、人生とか世界にすごく通ずるなと思ったんです。我々は恋愛も含めて、相手を変えてぐるぐる回りながら、人間関係を繰り返していく。HIDEKiSMが言ってくれたみたいに、最初に愛を歌って、最後にそれを歌うことで、うまい具合に言いたいことを表現できたんじゃないかなと思います。

※1：https://youtu.be/urW97O8mH2M

■リリース情報
メジャー2ndフルアルバム 『ENGABALL』
発売中

配信URL：https://engab.lnk.to/engaballPR
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KING e-SHOP限定豪華盤
・仕様：CD+Blu-ray+サコッシュ+キーチャーム
・品番：ECB-1773
・価格：13,200円（税込）

通常盤
・仕様：CD+Blu-ray
・品番：KIZC-776～7
・価格：4,950円（税込）

＜CD収録内容＞
01. Love is Always Light of My Life
02. 誕生誕生Birthday
03. 利害一致
04. OL - Happy Ever After -
05. Raining Raining
06. HSP
07. Divalicious
08. Unloved
09. サイコダンス
10. (Life is Always Like a )Ball

＜Blu-ray収録内容（KING e-SHOP限定豪華盤）＞
『ENVii GABRIELLA LIVE TOUR 2024「DVORAKKIA」 2024年7月14日 Zepp DiverCity(TOKYO)』
01. Sail On
02. B&G
03. Message in a Bottle
04. Portrait of Love
05. Petal Dance（Zepp ver.）
06. BL（Short ver.）
07. Kamus Solo Dance
08. DVORAKKIA（Zepp ver.）
09. APHRODITE
10. Fate（Zepp ver.）
11. 哀恋
12. Moratorium（Short ver.）
13. Strangers
14. melamela
15. Cherry Pie
16. Mother Ship
17. 僕の名を持つ君へ

アンコール
01. メドレー
～ハッピーハッピーウェイウェイドンチー
～Lonely Burning Boom Boom Night
～PAY ME～AMNESIA～High Heels
02. イキル
03. 豪華ネェサン

＜Blu-ray収録内容（通常盤）＞
「誕生誕生Birthday」Official Music Video
Making of「誕生誕生Birthday」Official Music Video

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