にしなの音楽の核心とは何なのか? 尊い祈りを鳴らした国際フォーラムワンマン『MUSICK』

 「終わるのがもったいない。みんなのおかげで、すごく楽しい時間です」と楽しそうに口にしたにしなは、続けて「ライブでやったことのない曲」という紹介とともに「つくし」を披露していく。オレンジの光が鮮やかにステージを照らし出すなか、この曲が持つおおらかなメッセージが鳴り渡る。「命」という大きなテーマとも向き合いながら、彼女にしか描けない切り口と彼女にしか紡げない言葉で歌を生み出していく、にしなの真骨頂だ。そしてずっと彼女のキャリアを支えてきた「ヘビースモーク」を重厚なバンドサウンドとともに届けると、早くも本編最後の曲へ。すべてをまとめ上げるようなスケール感で「わをん」が始まっていく。言葉と音、音楽を構成するものを象徴するようなこの曲。にしなが客席にマイクを向け、オーディエンスがシンガロングで応える。ゆったりとしたメロディが『MUSICK』というタイトルともシンクロしながら会場を包み込み、ライブはいったんの終わりを迎えたのだった。

 その後のアンコールでは会場一体の手拍子と〈ほっとけー〉の大合唱が響いた「ねこぜ」をまず披露し、全国10都市でのライブハウスツアー『MUSICK 2』の開催を発表。そして「新曲できたよー!」と言いつつ、その新曲「weekly」(4月30日配信リリース)を初披露。「みんなで楽しく歌える曲」だとにしなは言っていたが、グルーヴィーで朗らかな、たしかに思わず歌いたくなる楽曲だった。

 そしてバンドメンバーが退場したのち、ステージにひとり残ったにしなは「音楽できて、本当によかった。幸せだなと感じました」という言葉とともに弾き語りで未発表の新曲「harmonic flight」を披露した。実はこの日のライブ前、にしなは「心が折れて歌えなくなってしまった」のだという。だが、彼女はなんとかステージに立ち、一つひとつの歌を丁寧に積み重ねていった。その最後にギターと彼女の声だけで響き渡るこの曲は、とても美しく、尊いもののように感じられた。

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