WOLF HOWL HARMONYが持つ“歌”というブレない軸 LDHのボーカルへのリスペクトと挑戦

 WOLF HOWL HARMONYが1stアルバム『WOLF』をリリースした。今作にはデビューシングル「Sweet Rain」から最新曲まで収められており、これまでのグループの軌跡がわかる1枚になっている。改めて一つのアルバムになると実に多彩な楽曲に挑戦してきた4人だが、どんな楽曲に挑戦しても変わらないのは彼らの「歌」へのこだわりだ。そこで、リアルサウンドではメンバー4人にインタビュー。一人ひとり異なる背景を持つメンバーに対するリスペクトや、楽曲への想い、これからの活動についても話を聞いた。(編集部)

アルバムになって改めて感じる、一曲一曲への大切な思い出

──4人とも金髪になられましたね。

GHEE:はい、髪色の明るさは意識の高さってことで……(笑)。

RYOJI: 違う違う(笑)。

GHEE:あれ、違った?(笑) 何でだっけ?

RYOJI:「BAKUON -爆音-」のミュージックビデオの撮影に向けて。今回初めて衣装をオーダーで作ってもらえることになったんですが、衣装が4人揃いなんです。だったら髪色も揃えたら粋なんじゃないかという話になって。確かにボーイズグループで全員金髪で揃いの衣装を着ているのって、あまり見ないしカッコいいなと思って金髪にしました。

SUZUKI:RYOJIとHIROTOの金髪は見慣れていたけど、GHEEちゃんは新鮮だよね。

RYOJI :確かに。GHEEちゃんが一番ビジュ変したかもね。金髪ってトレンドでもあると思うので、そこを取り入れているということもキャッチしてもらえたらうれしいです。

──ではここから1stアルバム『WOLF』について聞かせてください。デビュー以降リリースした楽曲が収録されたアルバムですが、今までリリースしてきた楽曲を並べてみてどんなことを感じましたか?

RYOJI:「こんなに個性がバラバラの楽曲だったんだ!」と改めて思いました。テーマもジャンルも全然違う。でも曲ごとに毎回、自分たちでそのテーマにしっかりフォーカスをあてて発信しているからこそ、聞いてくださる方の心を動かせているのかなと思うと、自信にもつながります。

GHEE:1曲1曲思い出が蘇ります。改めて全部大事な楽曲だなと感じました。

WOLF HOWL HARMONY、楽曲との出会いと変化

──音楽への向き合い方やグループに対する向き合い方などが変化した、ご自身にとってターニングポイントになった楽曲や印象的な楽曲を挙げるなら?

GHEE:僕は「Letters」です。最近発表した楽曲ですが、初めて作詞に全員が携わらせていただいたこともあって、この曲をきっかけに、よりグループの絆が深まったように感じています。自分の中でも迷っていた部分がクリアになって前向きになれたし。赤裸々に自分たちを曝け出した曲だったので、出す前は「どういう反応がくるんだろう」と少し心配もしていたのですが、出してみると、良いと言ってくれる声が多くて。こういう自分たちのリアルを綴った曲も出していいんだなと思いました。それは一つ発見でもありました。

SUZUKI:僕は「Sugar Honey」です。この曲は、最初、どうパフォーマンスすれば良いのがわからなくて。というのも、バラード調で始まるんですが、曲が進むにつれてビート感が上がっていって音も増えていく。しっとり始まるけど、しんみりするんじゃなくて、みんなで盛り上がる曲にしたいなと思っていたんです。だからパフォーマンスをし始めたときは、探りながらやっていました。だけど、タイでパフォーマンスさせてもらったときに、タイのお客さんがみんな一緒に歌いながら乗ってくださって。ちょうどタイで水かけ祭りというものをやっている最中だったこともあって、僕たちもテンションが上がっていたと思うんですけど、それもあってすごく楽しみながら、1つの空間を作り上げることができた。そこで「この曲って、こんなにみんなで楽しめる曲だったんだ」と気づいたんです。その後、この曲はライブでも一番盛り上がるくらいの曲になっていって。パフォーマンスの仕方で楽曲は変わるんだなと感じることができた1曲ですね。

HIROTO:僕は「Frozen Butterfly」。この曲ではKADOKAWA DREAMSさんとコラボさせてもらったのですが、そこで自分たちの中のダンスに対する苦手意識が改善されて、モチベーションがグッと上がった感じがします。個人的にも、この曲と、次に出した「Pink Flash Lights」で自分のダンスのスタイルが確立できた気がして。よりダンスが好きになり、今では街中でもどこでも踊ってしまうくらいダンスへの熱が上がりました。そういう変化が生まれるきっかけになったのが「Frozen Butterfly」なので、僕個人にとっても、WOLF HOWL HARMONYにとっても大事な作品です。

RYOJI:まだ挙がっていない曲で言うと、僕は「ピアス」ですね。この曲は初めてのロックナンバーで、僕らの可能性を広げられた楽曲なのかなと思います。それにこの曲は歌詞を僕たちの経験から作ってもらったもの。僕も〈先生ヅラとかダリィ〉とかリアルなことを書けてスッキリしました(笑)。GENERATIONSさんのライブのオープニングアクト(GENERATIONS LIVE TOUR 2024 "GENERATIONS 2.0" -」)でも歌わせてもらっていたのですが、皆さんも一緒に手を挙げて、一緒に歌うように聞いてくれて。そうやってライブでどんどん育っていった感覚もある曲で。それくらい巻き込む力のある曲だなと思いますし、この先、もっともっと育っていくんだろうなと思います。

新曲「BAKUON -爆音-」で感じる手応え

RYOJI

──本作には、これまでの楽曲群に加え、新曲「BAKUON -爆音-」が収録されます。この曲を初めて聴いたときの印象はどのようなものでしたか?

RYOJI:みんな、「クソカッコいい!」ってなりましたね。

一同 うん!

GHEE:この曲はバイレファンキというブラジル発祥の音楽の要素が含まれています。僕はブラジルのクォーターで、国籍もブラジル。だから、聴いた瞬間に自分の血が騒いだというか。「ッジャッジャッ」っていうリズム感やサウンド感は昔から好きなので、めちゃくちゃテンションが上がりました。

──WOLF HOWL HARMONYにとってはまた新たなタイプの楽曲だと思いますが、レコーディングの際にはどのようなことを意識しましたか?

GHEE:1stアルバムのリード曲ということで、今まで自分が学んできて、増やしてきた表現の幅の集大成を見せたいと思ってレコーディングに挑みました。ラップパートにしても、最初は1〜2パターンしかなかったところから、いろいろな楽曲を経て、今は自分のなかの引き出しが増えている。それを出せたらと思って、冒頭と真ん中と後半でアプローチを変えてみたり。レコーディングのディレクションをしてくれたKenyaくん(Kenya Fujita)と「この世代のラッパーのニュアンスを落とし込んでみたいんですけど」とかを提案しながら、いろいろなラップに挑戦したり。

SUZUKI:歌の部分に関してはガラッと雰囲気が変わるタイミングでもあるので、特に90年代のR&Bっぽいニュアンスやハイトーンは意識して歌いました。ただ今回の曲に関してはそれよりも言いたいことがあって! 僕、WOLF HOWL HARMONYのリリースした楽曲の中では初めてラップに挑戦したんです。

SUZUKI

──ご自身としての手応えは?

SUZUKI:……あります! 自分で言うのはちょっと恥ずかしいですけど、歌もラップもボーダレスにやっていきたいと思っていたので、それを体現できる第一歩になったかなと思います。

HIROTO:この曲はグルーヴィなところとラップ部分のメリハリが大事になる曲だなと思って。ラップがあるから歌が輝くし、歌があるからラップが光る。それがWOLF HOWL HARMONYだと思うんです。それを上手に繋いでいけたらと思って歌いました。1曲ずっとワクワクさせられる曲にしたいなという思いを込めてレコーディングに挑みました。

RYOJI:僕は〈Switch 退きな〉から始まる最初のパートを歌わせてもらっているんですが、Kenyaくんもメンバーのみんなも「ここはRYOJIが一番似合うんじゃないか」と言ってくれたんです。だからその責任を感じつつ「絶対にカマしてやる」と思って準備していったので、それがちゃんと発揮できたなと思います。あと注目して聴いてほしいのが、そのパートではオクターブ上の声を被せているんですが、別テイクを重ねているんじゃなくて、同じテイクのキーを上げたものを被せているんです。それによって人間味がなくなるというか、サイケデリックな雰囲気が出る。そうしたのは、そのあとの僕のパートで感情を出したいと思ったから。次の僕のパートは〈食い散らかす like Wolfgang〉から始まるところなんですが、そっちがすごく自分っぽいなと思ったんです。“もしウルフギャングのような高級ステーキが食べられるような生活ができるようになっても、俺は何も変わらない”というスタンスを歌ったパートで、自分はまさにそういう人間でありたいと思った。だからこっちのパートで人間味を感じさせるためにも、最初のラップでは人間味を消して、まずはこの曲の世界観に引き込むように、どちらかというとサウンドとしての役割を出せたらと思って取り入れたギミックです。注目して、それこそ“爆音で”聴いてもらえとうれしいです。

GHEE

──この曲のパフォーマンスはどのようなものになっていますか?

SUZUKI:今まで一番、難易度が高いです。

GHEE:今回はLIFULL ALT-RHYTHMとコラボさせていただいたのですが、本当にいい意味でヤバいのが来ました。「BAKUON -爆音-」の持つ独特の奇妙さにマッチした振り付けで、LIFULL ALT-RHYTHMさんとのコラボで良かったなと思いました。あとは、このパフォーマンスに勢いがつけられるように踊りこなすことが今の課題です。

RYOJI:僕ら自身もパフォーマンスするのがすごく楽しみなパフォーマンスです。さっきHIROTOも言っていましたが、「Frozen Butterfly」以降ダンスの面でもかなり成長してきたと思うので、それを発揮するチャンスでもある。さらに僕たちの可能性を感じてもらえるように、思い切りパフォーマンスしたいなと思っています。

──先ほどGHEEさんが、今までの集大成としてレコーディングに挑んだとおっしゃっていましたが、パフォーマンスも含めて「BAKUON -爆音-」はどのような曲になったと思いますか?

WOLF HOWL HARMONY / "BAKUON -爆音-" Music Video

HIROTO:先月リリースした「Letters」は自分たちのこれまでを振り返っている曲なのに対して、「BAKUON -爆音-」は僕たちのこれからを感じさせるような曲になっているような気がします。MVでもまたボーイズグループとして新しい姿を見せられていると思いますし、新しいWOLF HOWL HARMONYを感じさせるような1曲になったのかなと思います。

──「BAKUON -爆音-」も含めた収録曲の中で、他メンバーの「ここが好き」というポイントや楽曲があれば教えてください。

GHEE:みんな良いから悩みますけど……さっき話に出ていた「BAKUON -爆音-」の最初のRYOJIくんのパートは好きですね。新しいRYOJIくんという感じがして。僕たちはこれまでの制作の最中のRYOJIくんを知っているので似合うだろうなと想像ができたけど、それを知らなかったらあまり想像がつかなかったかもしれない。それくらい、表に見せるRYOJIくんとしては新しいパートだと思います。

SUZUKI:僕は「Pink Flash Lights」のくっく(HIROTO)ですかね。曲のイメージにすごくマッチしているんですよ。まさに“ピンクのイナズマ”のような爽やかな衝撃を感じるボーカルで。くっくの魅力がすごく伝わってくる。だからいつも「Pink Flash Lights」は特にくっくにハマっているなと思いながら聴いています。

HIROTO:僕は「ROLLIN' STONES」かなぁ。この曲に関しては、誰かと言うことではなく、みんな。それぞれの個性もすごく出ているし、一緒にパフォーマンスしていて、すごくみんなが頼もしく感じられるんですよ。その姿に感化されて自分自身もより火がつくというか。「もっと盛り上げてやるぞ」という気持ちになります。

RYOJI :僕も「ROLLIN' STONES」で、特に好きなのがDメロのGHEE。僕が声を張り上げるパートの前にGHEEちゃんのロングトーンがあって、いつも「すごく気持ちいいな」と思います。それに、オーディションのときかな、GHEEちゃんが「ラッパーとシンガー、どっちものスキルを上げたい」と言っていたと思うのですが、それが少しずつ叶えられているんじゃないかなって思えるような、人の心を揺さぶるロングトーンだなと思います。

HIROTO

──今作には、MEMBER PRODUCE盤も用意されました。お互いのプロデュース盤を見ての感想を教えてください。

RYOJI:制作段階ではお互い何も見せたり伝えたりしなかったので、完成品を見て初めてお互いの世界観を知ったんですが、どれも“らしいな”と感じました。

──そうやって作ったのに全然デザインがかぶらなかったのがすごいですね。

RYOJI:一応、最初にかぶらないように打ち合わせはしたんです。

SUZUKI:でもその段階で、すでにかぶりそうにもなかったよね(笑)。

RYOJI:そうそう、「大丈夫だよね?」っていう確認くらいで。

SUZUKI:さすがだったよね。

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