乃木坂46、Ado、SEKAI NO OWARI、マカロニえんぴつ、FANTASTICS、Aooo……注目新譜6作をレビュー

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回は乃木坂46「ネーブルオレンジ」、Ado「わたしに花束」、SEKAI NO OWARI「琥珀」、マカロニえんぴつ「NOW LOADING」、FANTASTICS「FUNKTASTIC!」、Aooo「フラジャイル・ナイト」の6作品をピックアップした。(編集部)

乃木坂46「ネーブルオレンジ」

乃木坂46 38thシングル『ネーブルオレンジ』予告映像

 5期生の井上和と中西アルノがWセンターに抜擢された38thシングルの表題曲。作曲は乃木坂46をはじめ、King & Prince、Little Glee Monsterなどの楽曲を手がける中村泰輔が担当。昭和のフォーク〜歌謡曲を想起させるノスタルジックな肌触りの歌い出し、素朴さが心地よいハーモニー、大らかな解放感をたたえたサビを含め、より幅広いリスナーに訴求できる、穏やかなポピュラリティを備えた楽曲に仕上がっている。〈君が住んでいると聞かされた街〉を訪ねる場面を描いた歌詞も郷愁を誘い、リスナーそれぞれの思い出とつながりながら共有されることはまちがいなさそう。決して派手さはないものの、井上、中西の魅力がしっかり発揮されていることを含め、過渡期を迎えている乃木坂46にとって一つのポイントになる楽曲だと思う。(森)

Ado「わたしに花束」

Ado 新曲「わたしに花束」フルバージョン初公開!ジョージア CM第2弾

 ジョージアCMソングとなる最新曲。HoneyWorksが書き下ろした楽曲はアッパーな王道ポップスで、始まりはピアノとバイオリン、そのあと駆け出していくバンドサウンドが中心となる。直近は壮大なバラードの印象があるから、この明るく爽やかなエールソング自体が新鮮。少し語気を強めるだけでパンチが効いてしまい、なんとなれば厳めしい印象になっていくのがAdoの声質でもあるので、さりげない日常讃歌は逆にハードルが高いのかもしれない。しかし、〈きっと私って“その他大勢”〉〈ちょっとのご褒美も必要でしょう?〉といった歌詞を、あくまでフツーの女子感覚で、普段以上の愛嬌を意識しながら歌う。その絶妙な匙加減にも耳を傾けたい。(石井)

SEKAI NO OWARI「琥珀」

SEKAI NO OWARI「琥珀」

 震災で職を失った青年、罪を隠し続ける女性、“多聞”と名付けられた犬が織りなすストーリーを描いた映画『少年と犬』主題歌「琥珀」は、一緒にいられなくなった〈君〉と、痛みを抱えながら生きる〈私〉を映し出すミディアムバラード。Fukaseの友人で、2018年に急逝した千葉龍太郎(新世界リチウム)が遺した未発表曲に、Fukaseが新たなメロディと歌詞を加えて完成させた。触れば壊れそうな繊細さと穏やかな温かさを同時に感じさせる旋律、クラシカルな弦楽器を活かしたサウンドメイクのなかで、Fukaseは〈二人で始めた事/今も一人で続けてる〉と歌う。大切な存在との別離を経験したすべての人、「この人と別れたくないな」と思ったことがあるすべての人の心を揺さぶり、優しく肯定してくれる名曲だ。(森)

関連記事