Gotch、imai、JUN MURATAら集結 古里おさむが店主を務めるウミネコカレー『10周年記念イベント』を振り返る

 古里おさむ(古里おさむと風呂敷き、uminecosounds)が店主を務めるカレー店・ウミネコカレーの開店10周年を記念するライブ&トークイベント『ウミネコカレー10周年記念イベント「いつもありがとうございます」』が、2月11日に東京・Spotify O-nestにて開催された。メインフロアでのライブとラウンジスペースでのトークショーが順繰りに行われる形で進行し、バーカウンターではこの日だけの限定フードメニューとして古里プロデュースのカレーサンドも販売。食欲を刺激するスパイシーな香りが会場中に充満する中、盛りだくさんの演目が大いに観客を楽しませた。

 ライブアクトには古里おさむと風呂敷き、又吉直樹(ピース)、Gotch(Band Set)、imai(group_inou)、JUN MURATA(サイトウ“JxJx”ジュン/YOUR SONG IS GOOD×村田シゲ/□□□)の計5組が名を連ね、トークショーには古里、又吉、imai、サイトウに加え、写真家の佐内正史、カレー研究家の水野仁輔、下岡晃(アナログフィッシュ)といった面々が代わるがわる出演。さらにトークMCを五明拓弥(グランジ)、村田シゲが務めるなど、ウミネコカレーを愛する者たちがジャンルを問わず集結した形だ。

 イベントはまず古里と水野によるオープニングトークで幕を開け、イベント趣旨の説明やフードメニュー決定までの顛末などが終始ほがらかなムードで語られた。これが終わると、次はJUN MURATAのステージだ。オーディエンスは一斉に6階ラウンジを退出し、階段を下りて5階のライブフロアへぞろぞろと移動を開始する。この大移動の光景がこのあともライブアクトとトークショーの転換のたびに盛大に繰り広げられることになったのは言うまでもないが、それに伴う混乱などが起こる様子はまったくなかった。主催者である古里本人やウミネコカレーが醸し出す空気感そのままに、集まった観客たちもおおむね穏やかな性質を持つ人種が大勢を占めていたということかもしれない。

JUN MURATA

 又吉と佐内が登壇したトーク第2部では、五明に加えて村田もMCとして参加。ウミネコカレーとの出会いやお気に入りメニューについて語り合われたほか、古里たっての希望だというトークテーマ「ウミネコ以外でお気に入りのカレー屋」など禁断の話題も繰り広げられた。ゆるりとしたトークゾーンと熱狂するライブゾーンのコントラストがどんどん強まっていく中、続いて行われたのはimaiによるライブアクトだ。ハイテンションなビートを畳みかけてフロアをひたすら踊り狂わせるのみならず、駆け出しの頃にウミネコカレー店舗で委託販売していたという思い出のCDの収録曲も披露。エモーショナルな選曲でイベントに花を添えた。

imai

 そんなimaiのステージに続き、後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)のソロ名義・Gotchのライブが間髪入れずにスタート。後藤はもともと本イベントに「弾き語りで」とオファーされたそうだが、「どうしてもソロのバンドがやりたくなって」とバンドセットでの出演を決めたという。mabanua(Dr / Ovall)、中西道彦(Ba / Yasei Collective)、井上陽介(Gt / Turntable Films)を従えた4人編成でフォーキーかつオルタナティブなバンドサウンドを叩きつけ、ウミネコカレー10周年を気だるくも爽やかに彩った。

Gotch Band

 最終トークパートとなる第3部は、その裏で古里おさむと風呂敷きがステージリハを行う都合上、50分というかなりの長尺が割り振られていた。このパートを任されたサイトウ、下岡、村田、五明は与えられた持ち時間に対する不安感を幾度となく口にしながらも軽妙なトークを展開。大いに場を盛り上げ、急遽imaiをステージに上げるなどの荒技も駆使しながら充実の時間を作り出してみせた。

 イベントもいよいよ大詰めを迎え、すべての観客がメインフロアに集結すると、トリ前のアクトを務める又吉がステージに姿を現した。1冊のノートを手に現れた彼は「音楽にまつわるさまざまな文章を読みます」と告げ、エッセイやショートショート、詩など短めの文章を矢継ぎ早に読み上げていく。笑える話もあれば、不思議な話、ある種感動的な話などテイストはさまざまで、1編読み終えるごとにフロアは温かな拍手で埋め尽くされた。

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