THE RAMPAGE「蜘蛛の糸」バイラルヒット “和”と“HIPHOP”の融合で活かされる持ち味のダイナミズム
「蜘蛛の糸」は、和太鼓演奏グループのDRUM TAOとコラボレーションした1曲で、和太鼓や三味線の演奏が取り入れられている。“和”と“HIPHOP”の融合は、日本のダンスボーカルグループならではのアプローチで、これまでいくつものグループがチャレンジしてきたことだ。だが、「蜘蛛の糸」において特筆すべきは、THE RAMPAGEの最大の魅力であるダイナミズムを活かす形で和太鼓や三味線が印象的に配置されていることだ。尺八のような音色と太鼓で幕を上げる本曲はダンサブルなアップチューンだが、注目したいのはバックトラックのリズムだ。HIPHOP、ロック、エレクトロニカなど多彩なジャンルのリズムが複雑に入り組み、途中でBPMが落ちたように感じさせるアレンジの構成も見事だが、和太鼓の乱れ打ちをブレイクビーツやドラムンベースと捉えたうえでバックトラックを作ったのではないかと思わせるほどに斬新なのだ。
押しては引いていくコントラストの激しいバックトラックにしっかりライドオンするには、歌、ラップ、ダンス、すべてに相当のスキルと表現力が必要だろう。彼らの実力が、目まぐるしく、次々と繰り出される1曲である。
RIKU、川村、吉野北人の3人のボーカルに注目してみよう。歌い紡いでいくボーカルで、高音、低音、ファルセット、ユニゾン、掛け合いのようなコーラス、子音と母音を同時に強く発音するラップなど、次から次へと見せ場が登場する。最初から最後まで見せ場だらけで、それぞれのボーカルの違いを声質だけでなく、アプローチの違いでその力量をしっかり印象付け、ボーカルでも鮮やかなコントラストを見せる。中でも川村の中低音の安定感と迫力、バックトラックとあえてぶつかり合うようなラップはじつにエモーショナルで、楽曲のテンションを大きく上げている。
重厚で突進するようなエネルギーを放つ「蜘蛛の糸」で、THE RAMPAGEは次なる新たな頂へ挑む。
※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2025-02-05