Little Black Dress、解放の歌「PLAY GIRL」を語る 異色のドラマと呼応するメッセージ
“恵比寿駅の化粧室”から得たインスピレーション
――歌詞についてはどんなテーマがあったんですか。
遼:実は曲を作り始めた時は、テーマが違っていたんです。トロフィーガールというテーマでした。大先輩のアーティストさんに、「昔は“アクセサリーガール”とか“アクセサリーボーイ”という言い方があったのよ」と教えていただいたりもしたので。
――装飾品のように連れている男性だったり、女性だったり……たしかに昭和の頃はそういう言い方があったかも。
遼:そういうカテゴライズは今はあまりないかもしれないけど、「それを今時風に表現したらどうなるだろう?」と思ったのが最初のきっかけでした。あと、上京してきた頃に見た、恵比寿駅の化粧室のイメージもありました。広尾でバイトしていたので、恵比寿駅で乗り換えていたんですけど、夕方5時くらいに駅の化粧室に入ると「これから行くわよ!」という雰囲気の女性たちがクイッとまつ毛を上げているんです。そうやって自分にスイッチを入れている姿を見て、「かっこいいな」と思ったんです。都会に出てきたからこそ経験できる刺激がいっぱいあった時期だったんですよね。
――そういう女性たちを見て「かっこいい」と思ったのは、どうしてだったんですか?
遼:これからお仕事なのか、遊びに行くのかはわからないけど、自分をきれいに見せたい、着飾りたい理由があると思うんですよ。これから会う人に気に入られたいのか、別の自分になりたいのか、かっこよくいたいと思っているのか。理由はどうあれ、そうやって自分を飾ることはすごくいいことだと思うんです。もしかしたら「そんなメイクして……」と皮肉めいたことを言われることもあったかもしれないけど、もっと自信を持って自由に生きていいし、「私のスタンスは変えないわよ」っていう(笑)。「PLAY GIRL」には、そういうメッセージも込めたかったんですよね。
――今を生きる女性たちへのエールでもある、と。
遼:はい。この曲を聴いて、その人なりに感じてもらえるものがあればいいなと思ってます。今は性別にかかわらずメイクしていいし、その人が「きれいだな」「かっこいいな」と思うものを自由にやってほしいというか、実際、「PLAY GIRL」のとらえ方って人それぞれなんですよね。私としては「張りきった曲だと思う人が多いのかな?」と思っていたんだけど、「さびしい曲ですね」と言われたこともあって。そういう解釈の違いも面白いです。
――〈愛された分だけ さびしい夜をこえて/女は強くなれるの〉という歌詞もありますからね。強い女性像を描いているだけではない、というか。
遼:そうですね。以前、「なりたい自分がわからない」と二面性に悩んでいた友人がいたんです。「この人と一緒にいる時は自分が好きな自分でいられるけど、あの人といる時は自分が自分じゃない気がする」、というような。でも、それってどっちも“自分”だと思うんですよ。笑顔で街を歩いている自分だったり、家で泣いている自分だったり、どんな自分にもよさがあるし、支え合っているんじゃないかなって。(この曲で)「それでいいんだよ」と後押ししてあげたい気持ちもありましたね。
――「本当の自分」がいて、そうじゃない自分は嘘だと考えるとツラいですからね。どんな自分も自分なんだと肯定できるのは、すごくいいことだと思います。
遼:そうなんですよね。ただ、そのことを直接歌詞にしているわけではないので、こういったインタビューを通してお伝えできたらなと思っています。自分のために飾ってもいいし、誰かのためにきれいになりたいでもいい。そうやって自分を解放できるきっかけになれたらうれしいです。
新たな刺激を吸収しながら取り組むアルバム制作
――それはドラマ『マイ・ワンナイト・ルール』のテーマともつながっていますよね。女性の欲望を肯定するというか。
遼:“性欲”を打ち出したドラマは少ないじゃないですか。原作も読ませていただいたんですが、コミカルに描かれているのがいいなと思いました。主演の足立梨花さんのお人柄もぴったりで、この主人公の明るさ、ポジティブさに惹かれている方も多いだろうなと。私のラジオ番組(『TOKYO MUSIC SHOW』/InterFM、『Little Black DressのMake Sense』/FM大阪)でも若い女性から40代、50代、男性まで、いろんな方がドラマの感想を送ってきてくれています。
――ドラマで描かれる「自分の身体と感情は自分もの」という考え方も大事ですよね。
遼:そういう考え方は以前からあったと思うんですけど、SNSなどで情報が共有されて、たくさんの方が認識するようになってきたなと感じます。私自身、LGBTQ+の皆さんを支援するイベントで歌わせてもらったこともあるんです。そういう時はいろいろと勉強してから参加するんですけど、そこで出会った方々に実際にお話をお聞きすると、「世界は広い!」って実感します。
――いろいろな表情を持った楽曲ですが、歌入れの際はどんなことを意識していましたか?
遼:レコーディングの時は、切ない気持ちで歌いました。アレンジがすごく凝っているんです。ストリングスが入っていて、土方(隆行)さんの泣きのギターが入っていて、かなりロックな仕上がり――まさに着飾っているような――だったんですが、歌う時は「夜に枕を濡らしているような自分でいよう」と。
――この曲をカバーしたいという人も多そうですけど、人によって歌の表現も違ってきそうですね。
遼:そうですよね! めちゃくちゃ明るく歌っても似合いそうだし、バラード調にしてもよさそうだし。「遼ちゃんの曲、歌うのが難しい」ってよく言われるんですけど(笑)、ぜひ自由に歌ってみてほしいです。
――最後に、『PLAY GIRL』から始まる2025年について聞かせてもらえますか?
遼:アルバムの制作がスタートとしているので、それをしっかり形にしたいですね。今、絶賛制作中です。
――曲作りでスランプを感じたことは?
遼:もちろんあります。前回のアルバムの時も、最後の一曲の歌詞が一年くらい書けなかったりしました。環境を変えたほうがいいなと思って、ひとりで逗子のほうに旅に出たんです。冬だったんですけど、海に行ってみたら砂浜に足跡がついていて。その上をなぞって歩いていたら、「誰かの人生の上を歩いているみたい」と思って、それが(歌詞を書くための)きっかけになりました。次のアルバムの制作はまだまだこれからなので、がんばって突っ走ります!
■リリース情報
デジタルシングル「PLAY GIRL」
配信中
リンク:https://king-records.lnk.to/PLAYGIRLSS
■公開収録イベント
TOKYO MUSIC SHOW 公開収録&ミニLIVE
~昭和歌謡を愛するオールジェネレーションの仲間たち~
出演者:Little Black Dress
開催会場:TOKYO FMホール(東京・半蔵門)
開催日程:2025年2月11日(火・祝)
開場:18:00/開演:18:30
チケット料金:¥3,500
<イベント詳細>
https://www.interfm.co.jp/news/single/tokyomusicshow01282025
<チケット申込サイト>
https://ticket.rakuten.co.jp/music/rtififi/
■関連リンク
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