二宮和也を突き動かす「人が喜んでくれるかどうか」の目線 “夢や目標がない”からできた成功
そんな言葉に、二宮が今年『インフォーマ -闇を生きる獣たち-』(ABEMA)への出演を決めたときの心境を振り返ったインタビューを思い出した。主演の桐谷健太から「どうしても出てほしい」と熱烈オファーを受けていたのだが、当時『ブラックペアン』シーズン2(TBS系)の撮影が続く多忙な日々だったそう。そのためギリギリまで粘って関係各所に調整をしながら出演にこぎつけたという。
その原動力は「もともとおもしろい現場の声がかかったら、どんな役であろうと極力そこに顔を出せるように努力したい」というポリシーと、「人から頼られたら事務的な対応じゃなくて、人間的な対応がしたい」という思いからだったそう。そこにも、桐谷を筆頭にこの仕事を受けることで喜んでくれるであろう人々の笑顔が二宮の脳裏をよぎっていたことが窺えた。
そうして二宮は、夢や目標を具体的に持たないことでフレキシブルに動ける自由を手に入れているが、一方でリスナーのように「夢が人生を彩るって言っている方々たちは、夢がないとね」と寄り添う。同じ言語圏、文化圏にいると、つい異なる価値観に対して疑問視を持ちたくなるけれど、二宮はそこに対してはとても寛容だ。その上で、夢を持ちたいけれどすぐに見つからないという人には「『二宮に会う』とか、『二宮に会ったら1万円あげる』とか!」と提案。真面目なトークからナチュラルにジョーク混じりの『ベイスト』らしい会話に戻っていくのも、二宮のエンターテイナーとしての力量を感じさせる部分だった。
2024年はテレビに、映画に、WEBに、ラジオ、書籍……と、まさに引く手あまただった二宮。独立し新たな会社を立ち上げて以降、これまで以上に自由度が増したように思う。番組ではまだ情報解禁されていない、「ニッチな活動」にも着手していきたいという話も飛び出した。そこには、よりシンプルに「おもしろがってほしい」「おもしろいのではと期待してもらいたい」という二宮の仕事観が反映されているのだと思うと、次にどんな動きで我々を楽しませてくれるのかと期待が高まる一方だ。