アニソン20年の軌跡:シーンの変遷を辿る(2)水樹奈々、初日本武道館公演から20年 “声優史上初”の功績と今後の可能性

 公演回数という観点でも様々な功績を刻んでいる水樹。中でも特筆すべきなのは、2018年1月11日~21日にかけて合計7日間にわたり行われた日本武道館ライブ『NANA MIZUKI LIVE GATE 2018』だろう。同一公演での武道館の7日間開催というのは国内のみならず海外アーティストを見渡してみても稀な記録だ。また、2008年から現在まで定期的にライブを行っているさいたまスーパーアリーナでの公演回数は、FCイベントを含めると20回以上にのぼる。彼女がMCで「さいたまスーパーアリーナはホーム」と言っているのも納得である。

水樹奈々『NANA MIZUKI LIVE GATE』ダイジェスト映像

 そして彼女の記録において『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)への出場も語っておくべきだろう。2009年に声優として史上初めて『紅白』への出場を成し遂げ、そこから2014年まで6年連続で『紅白』に出場することとなった。特に初出場となった2009年に披露した「深愛」、そして2013年のT.M.Revolutionとのコラボパフォーマンス「-革命2013- 紅白スペシャルコラボレーション」での早着替えは記憶に残っている人も多いことだろう。ファンの間では本人の名前と掛けて7回目の出場を待ち詫びる声もあったりするが、それもいつか叶う気がするのは筆者だけであろうか? また、『紅白』にはμ’sやAqours、Linked Horizon、LiSAといったアニソン関連のアーティストがこれまでにも出場してきたが、これも水樹がアニソンシーンのパイオニアとして切り拓いたからこその景色に他ならない。

 後進への影響という話題を広げると、同レーベルに所属する水瀬いのりや、『NHKのど自慢』(NHK総合)で水樹本人の前で「DISCOTHEQUE」を歌った経験のある岡咲美保など、彼女に憧れて声優を志した人は多く、この2人以外にも渕上舞、鈴木愛奈、鈴木みのり、渡部優衣、林鼓子、木戸衣吹、秦佐和子といった多くの声優が水樹本人や水樹の楽曲からの影響を公言している。また、茅原実里は水樹の武道館ライブを見て、自らも武道館を目指した(※4)というエピソードがあるなど、水樹の声優/歌手として歩む姿は多くの人の人生に何らかの影響を与えている。彼女から影響を受けた人が、さらに影響を与えていくという正のスパイラルが起きているのは素晴らしいことであろう。

 アーティストデビュー25周年を迎える水樹だが、“声優史上初”という冠が今後もニュースに踊る可能性は十二分にあり得るだろう。声優界の生きるレジェンドと同じ時代を生きている幸せを噛み締めながら、彼女の勇姿を今後も陰ながら見続けていきたいと思う。

※1:https://www.oricon.co.jp/news/466/full/
※2:https://www.oricon.co.jp/news/72565/full/
※3:https://the21.php.co.jp/detail/3274?p=2
※4:https://minorhythm.jugem.jp/?eid=44

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